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第25話 事件の終わり
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事件解決の三日後、私と兄様は再び騎士団本部を訪れていた。
空は青々と晴れ渡り、窓を抜ける陽光は室内を明るく照らしていた。
「こちらに居たんですね」
忌ま忌ましい惨劇が起こった儀礼室は、厳戒令が解かれたようで衛兵の姿もない。
たった一人で天井を見上げていたのは、最上級の騎士服を着たブルアンだった。
予告もなしの訪問に驚いた様子はなく、ただ静かに言った。
「さっき、終わったよ」
その言葉に、刑が執行されたのだと分かった。
「ずいぶん早い執行でしたね」
「ああ。支部の連中ときたら、あいつが死んだ時には逃げたがっていたのにな。
お前さんらが解決した途端、すぐに事件を終わらせやがったよ」
憎々しい口ぶりに、責任逃れしたいのは誰でも同じなのだと分かった。
上官殺しは断首刑と言っていた。
そして軍法裁判で出された刑は、騎士団長が執行するらしい。
前任のレオーネ亡き今、その立場はブルアンに繰り上がったのだろう。
妥当な采配とはいえ、やるせなさを押さえきれなかった。
「あの子の首は、修道院の墓地に埋葬しようと思うんだ。ゾロさんや他の連中も賛成してくれたよ」
断首刑の場合、頭と胴を一緒に埋葬することは許されない。
その決まりさえ守られれば、どこで供養するのも勝手ということだ。
シスターとして生きるはずだったルーヴにとって、教会は帰る家のようなものだろう。
出来る限りの手配をしてくれることに安堵した。
「今でも、偉くなんてなりたくなかったですか?」
「……もう、何も分からねぇよ」
兄様の問いかけに、ブルアンは低く答えた。
頼りなく肩を丸めた姿ではなくなったが、弱々しさばかりが目に映る。
すべてを諦めたような雰囲気は痛々しく、掛ける言葉は思いつかない。
けれど兄様はそうではないようで、気にした様子もなく話を続けた。
「この状況を生み出した要因の一つに、あなたの行動もあったんじゃないですか?」
その言葉に、何度も思い浮かべたことが蘇る。
もしもレオーネではなく、ブルアンが騎士団長になっていたら。
独裁政治や陰湿ないじめなどは起こらなかったかもしれない。
死を喜ぶほどの不満を抱くことはなかったかもしれない。
不慣れな騎士団への入団など考えなかったかもしれない。
ただ、そんなの無意味な妄想だ。
黙って宝剣を見上げていたブルアンは、ふっと苦笑を漏らした。
「そうかもしれん。だが、そうならなかったとも限らないだろう?」
憔悴し、捨て鉢にも感じる雰囲気に不安を感じてしまう。
ただ、私たちはブルアンを叱咤激励しに来たわけではないのだ。
窓明かりを受ける場所まで進み、ブルアンと向き合った。
「今日は約束を果たしに来たんですよ」
兄様はそう言ってローブの中に手を入れ、ほんの小さな包みを取り出した。
不審そうなブルアンの手に置くと、開くようにと促す。
「ルーヴ嬢からブルアン副団長……いえ、ブルアン団長に渡してほしいと頼まれたんです」
ルーヴの最後の頼みがこれだった。
自分の刑が執行されたら、ブルアンに渡してほしいものがあると。
その包みは、女神像が置かれていた木箱にひっそりと隠されていた。
「これ、は……」
ブルアンが恐る恐る開いた先に見えたのは、リボンで束ねた髪だった。
男として騎士団に入団する時に切り落としたのだろう。
真っ白なハンカチに包まれ、丁寧に梳られている。
短い時は煤けた金髪に見えたものは、長く束ねると落ち着きと品の良さを備えていた。
「自分には過分なものだと、一度もつけてもらえなかったんだ……」
緻密に織られた薔薇色のリボンは、贈り物に相応しい一品だろう。
ブルアンは声と目蓋を震わせながら、触れたら消えてしまうかのようにそっと手を伸ばした。
「俺はただ……あの子が飾った姿を、見せてほしかっただけなんだ。
こんな風に、残してほしかったわけじゃあ……っ」
喉を詰まらせたブルアンの手は、髪に触れる前に握りしめられる。
一筋の乱れもない髪は、ルーヴそのもののように見えてしまった。
「こんなことになるなら、あの時、助けるべきじゃなかったのか」
「助けてなければとっくに死んでいたでしょうね」
苦悶の声に冷めた返事をする兄様だけれど、それは正しい意見だろう。
性別を隠した孤児がのうのうと行きていけるほど甘い世の中ではない。
だからブルアンは手を差し伸べたのだろう。
それを間違いだと言ってしまえば、ルーヴの生きた時間まで否定することになる。
拳を振るわせて押し黙るブルアンに対し、兄様は静かに問いかけた。
「ブルアン団長がルーヴ嬢に抱いていたのは、父性だったんですか?」
躊躇うことのない問いは、当然の疑問だった。
ルーヴはブルアンに恩があると言っていた。
けれど、ブルアンはどう思っていたのか。
その答えはとても簡単なものだった。
「……違うに決まっているだろう」
まるで悔やむように漏らし、頭を抱えた。
自分の中の驚きを出さないようローブを握りしめると、ブルアンの嘆きはさらに続いた。
「だが、それでどうしろってんだ。俺とあの子は親子ほど歳が離れてたんだぞ?」
十八歳のルーヴに対し、ブルアンはもう四十も半ばだろう。
珍しい年の差に好奇の目が集まったかもしれない。
ただ、それがどうしたというのだ。
感情のままにルーヴを女性として扱っていれば、こんな結果にはならなかったかもしれないのだ。
すべてが終わったあとに、ふと思ってしまう。
レオーネの損壊に、ルーヴの意思はどこにも反映されていなかった。
ルーヴ自身がレオーネから受けた呪縛は存在しなかったのだ。
レオーネに対する悪意はなかった。
けれど、もしあったとしたのなら、それはブルアンに対してだったのではないか。
自分の命を救ってくれた相手に、親愛以外の気持ちを抱いたとしてもおかしくない。
そして、聡明なルーヴがブルアンの気持ちに気づかなかったとも思えないのだ。
もしかしたら。
ルーヴは、憤怒していたのかもしれない。
親愛を向ける英雄が、肩を丸めて下を向き、すべてを諦めたように生きる姿に。
恋情を向ける男性が、世間体など気にして、自分への愛を抑え込んでいることに。
その怒りこそが、レオーネに凶刃を向けた動機なのだとしたら。
その考えは兄様も、そしてブルアンも抱いているのだろう。
兄様は冷めた視線を送ると、突きつけるように言った。
「これがあなたの怠慢です」
その言葉にブルアンは叫び、崩れ落ちた。
堪えきれない感情を振りまきながら咽び泣く姿は、彼女が望んだものなのだろうか。
感情の浮かばない目のルーヴに真意を問いかけたかったけれど、それは生涯叶わない。
例えようのないやるせなさを感じながら、私たちはブルアンを残して部屋を出た。
扉が閉まれば嘆きは聞こえない。
一瞬の心残りは、振り返った兄様の行動によって霧散した。
「兄、様……?」
いつかの夜のように、きつく、強く、抱きしめられる。
痛みは耳元で聞こえる苦しげな呼吸と、緊迫した雰囲気に抑え込まれる。
一体どうしたというのだろう。
優しさの感じられない抱擁に、私は驚きに満たされながら身を任せるしかできない。
「僕は……決して怠惰にならない」
まるで誓いのような言葉の意味が、分かった気がする。
私がルーヴに自分を重ねていたように、兄様もブルアンに同じ思いを持っていたのだろう。
ほんの僅かな躊躇が、取り返しのつかない空虚を生み出すのだとしたら。
「お前に僕は殺させない」
身体に響く声には、強い意志が感じられた。
私を捕らえる長い腕は、絶対に離さないつもりなのだろう。
その気持ちを受け止めるように、窮屈な腕を兄様の身体に回す。
何度も罪の雫を呷り、痛めつけられている身体。
ひたすらに生にしがみつく、贄の駒。
どうにもならない運命の中に、私たちは生きているのだから。
誰も彼も関係なく、私たちはお互いを離すことなど考えられない。
縋り付くように抱きしめあったあと、隠された赤い視線を交わす。
「そろそろ次の事件に行こうか」
「はい……兄様」
真紅の馬車の足音に惹かれるように、私たちは手を取り一歩踏み出した。
空は青々と晴れ渡り、窓を抜ける陽光は室内を明るく照らしていた。
「こちらに居たんですね」
忌ま忌ましい惨劇が起こった儀礼室は、厳戒令が解かれたようで衛兵の姿もない。
たった一人で天井を見上げていたのは、最上級の騎士服を着たブルアンだった。
予告もなしの訪問に驚いた様子はなく、ただ静かに言った。
「さっき、終わったよ」
その言葉に、刑が執行されたのだと分かった。
「ずいぶん早い執行でしたね」
「ああ。支部の連中ときたら、あいつが死んだ時には逃げたがっていたのにな。
お前さんらが解決した途端、すぐに事件を終わらせやがったよ」
憎々しい口ぶりに、責任逃れしたいのは誰でも同じなのだと分かった。
上官殺しは断首刑と言っていた。
そして軍法裁判で出された刑は、騎士団長が執行するらしい。
前任のレオーネ亡き今、その立場はブルアンに繰り上がったのだろう。
妥当な采配とはいえ、やるせなさを押さえきれなかった。
「あの子の首は、修道院の墓地に埋葬しようと思うんだ。ゾロさんや他の連中も賛成してくれたよ」
断首刑の場合、頭と胴を一緒に埋葬することは許されない。
その決まりさえ守られれば、どこで供養するのも勝手ということだ。
シスターとして生きるはずだったルーヴにとって、教会は帰る家のようなものだろう。
出来る限りの手配をしてくれることに安堵した。
「今でも、偉くなんてなりたくなかったですか?」
「……もう、何も分からねぇよ」
兄様の問いかけに、ブルアンは低く答えた。
頼りなく肩を丸めた姿ではなくなったが、弱々しさばかりが目に映る。
すべてを諦めたような雰囲気は痛々しく、掛ける言葉は思いつかない。
けれど兄様はそうではないようで、気にした様子もなく話を続けた。
「この状況を生み出した要因の一つに、あなたの行動もあったんじゃないですか?」
その言葉に、何度も思い浮かべたことが蘇る。
もしもレオーネではなく、ブルアンが騎士団長になっていたら。
独裁政治や陰湿ないじめなどは起こらなかったかもしれない。
死を喜ぶほどの不満を抱くことはなかったかもしれない。
不慣れな騎士団への入団など考えなかったかもしれない。
ただ、そんなの無意味な妄想だ。
黙って宝剣を見上げていたブルアンは、ふっと苦笑を漏らした。
「そうかもしれん。だが、そうならなかったとも限らないだろう?」
憔悴し、捨て鉢にも感じる雰囲気に不安を感じてしまう。
ただ、私たちはブルアンを叱咤激励しに来たわけではないのだ。
窓明かりを受ける場所まで進み、ブルアンと向き合った。
「今日は約束を果たしに来たんですよ」
兄様はそう言ってローブの中に手を入れ、ほんの小さな包みを取り出した。
不審そうなブルアンの手に置くと、開くようにと促す。
「ルーヴ嬢からブルアン副団長……いえ、ブルアン団長に渡してほしいと頼まれたんです」
ルーヴの最後の頼みがこれだった。
自分の刑が執行されたら、ブルアンに渡してほしいものがあると。
その包みは、女神像が置かれていた木箱にひっそりと隠されていた。
「これ、は……」
ブルアンが恐る恐る開いた先に見えたのは、リボンで束ねた髪だった。
男として騎士団に入団する時に切り落としたのだろう。
真っ白なハンカチに包まれ、丁寧に梳られている。
短い時は煤けた金髪に見えたものは、長く束ねると落ち着きと品の良さを備えていた。
「自分には過分なものだと、一度もつけてもらえなかったんだ……」
緻密に織られた薔薇色のリボンは、贈り物に相応しい一品だろう。
ブルアンは声と目蓋を震わせながら、触れたら消えてしまうかのようにそっと手を伸ばした。
「俺はただ……あの子が飾った姿を、見せてほしかっただけなんだ。
こんな風に、残してほしかったわけじゃあ……っ」
喉を詰まらせたブルアンの手は、髪に触れる前に握りしめられる。
一筋の乱れもない髪は、ルーヴそのもののように見えてしまった。
「こんなことになるなら、あの時、助けるべきじゃなかったのか」
「助けてなければとっくに死んでいたでしょうね」
苦悶の声に冷めた返事をする兄様だけれど、それは正しい意見だろう。
性別を隠した孤児がのうのうと行きていけるほど甘い世の中ではない。
だからブルアンは手を差し伸べたのだろう。
それを間違いだと言ってしまえば、ルーヴの生きた時間まで否定することになる。
拳を振るわせて押し黙るブルアンに対し、兄様は静かに問いかけた。
「ブルアン団長がルーヴ嬢に抱いていたのは、父性だったんですか?」
躊躇うことのない問いは、当然の疑問だった。
ルーヴはブルアンに恩があると言っていた。
けれど、ブルアンはどう思っていたのか。
その答えはとても簡単なものだった。
「……違うに決まっているだろう」
まるで悔やむように漏らし、頭を抱えた。
自分の中の驚きを出さないようローブを握りしめると、ブルアンの嘆きはさらに続いた。
「だが、それでどうしろってんだ。俺とあの子は親子ほど歳が離れてたんだぞ?」
十八歳のルーヴに対し、ブルアンはもう四十も半ばだろう。
珍しい年の差に好奇の目が集まったかもしれない。
ただ、それがどうしたというのだ。
感情のままにルーヴを女性として扱っていれば、こんな結果にはならなかったかもしれないのだ。
すべてが終わったあとに、ふと思ってしまう。
レオーネの損壊に、ルーヴの意思はどこにも反映されていなかった。
ルーヴ自身がレオーネから受けた呪縛は存在しなかったのだ。
レオーネに対する悪意はなかった。
けれど、もしあったとしたのなら、それはブルアンに対してだったのではないか。
自分の命を救ってくれた相手に、親愛以外の気持ちを抱いたとしてもおかしくない。
そして、聡明なルーヴがブルアンの気持ちに気づかなかったとも思えないのだ。
もしかしたら。
ルーヴは、憤怒していたのかもしれない。
親愛を向ける英雄が、肩を丸めて下を向き、すべてを諦めたように生きる姿に。
恋情を向ける男性が、世間体など気にして、自分への愛を抑え込んでいることに。
その怒りこそが、レオーネに凶刃を向けた動機なのだとしたら。
その考えは兄様も、そしてブルアンも抱いているのだろう。
兄様は冷めた視線を送ると、突きつけるように言った。
「これがあなたの怠慢です」
その言葉にブルアンは叫び、崩れ落ちた。
堪えきれない感情を振りまきながら咽び泣く姿は、彼女が望んだものなのだろうか。
感情の浮かばない目のルーヴに真意を問いかけたかったけれど、それは生涯叶わない。
例えようのないやるせなさを感じながら、私たちはブルアンを残して部屋を出た。
扉が閉まれば嘆きは聞こえない。
一瞬の心残りは、振り返った兄様の行動によって霧散した。
「兄、様……?」
いつかの夜のように、きつく、強く、抱きしめられる。
痛みは耳元で聞こえる苦しげな呼吸と、緊迫した雰囲気に抑え込まれる。
一体どうしたというのだろう。
優しさの感じられない抱擁に、私は驚きに満たされながら身を任せるしかできない。
「僕は……決して怠惰にならない」
まるで誓いのような言葉の意味が、分かった気がする。
私がルーヴに自分を重ねていたように、兄様もブルアンに同じ思いを持っていたのだろう。
ほんの僅かな躊躇が、取り返しのつかない空虚を生み出すのだとしたら。
「お前に僕は殺させない」
身体に響く声には、強い意志が感じられた。
私を捕らえる長い腕は、絶対に離さないつもりなのだろう。
その気持ちを受け止めるように、窮屈な腕を兄様の身体に回す。
何度も罪の雫を呷り、痛めつけられている身体。
ひたすらに生にしがみつく、贄の駒。
どうにもならない運命の中に、私たちは生きているのだから。
誰も彼も関係なく、私たちはお互いを離すことなど考えられない。
縋り付くように抱きしめあったあと、隠された赤い視線を交わす。
「そろそろ次の事件に行こうか」
「はい……兄様」
真紅の馬車の足音に惹かれるように、私たちは手を取り一歩踏み出した。
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