越中富山の九田部さん

池田ラテ雫

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一章 立山に白鷹は舞い降りる

8話 下山途中

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 立山山頂からの下山、それは上りの時とは見える者が一変していた。
阿弥陀ヶ原では鬼と亡者が仲良く談笑し地獄谷でも仲良く温泉に浸かっている。
はたから見ているととてもカオスでシュールでそれでいて楽しそうだ。
どうやら白鷹さまの祝福で普通の人には見えない世界がみえるようになってしまったようだ。

 佐伯 まお「ねぇ九田部さん?鬼ってなんていうかこう・・亡者に意地悪とかしているんじゃないの?」
後ろを振り返るとまだぜいぜいいいながらまって~まって~っと四足歩行でついてきている。
こちらもなかなかカオスでシュールな光景だ。しかたがないのでちょっと休憩にしよう。

 九田部 麒麟「はぁ・・・すいません・・やっと落ち着きました」
少し休憩してやっと息を整える九田部さん。
九田部 麒麟「私達からしたら昔から変わらぬ光景なのでなんとも思いませんよ」
九田部 麒麟「(悪神)もそもそも(神)ですし妖怪は人間が良くも悪くも分類されなかった力ある者達です」
九田部 麒麟「ですから日本では悪さをした猿や狐がこれ以上悪さをしないように神社を奉ったりしています」

九田部 麒麟「つまり悪神と善神というのは人間の主観で決まりますし、宗教というのは神様の都合ではなく人間の都合で改竄されていくのです」
そういう九田部さんの表情はちょっと寂しそうだ。

 佐伯 まお「じゃぁじゃぁ・・昔話みたいにいっぱい奇跡とかみせたら信者さんとか正しい教えをひろめなおしたら良いんじゃない?」

九田部 麒麟「それは人間側の都合なんですよ、創造主じは人間以外にも生き物をつくっています日本ではそれこそ八百万というように総ての生き物を大事にしています、そんなにかみさまはひまではありませんし神様を象ったのが人というのも人の改竄話です」
九田部 麒麟「寧ろかみさまとは人とはかけ離れた姿をしているから少しでも話を聞き入れやすくするために天使や仏という両方の中間に属する人が双方のはしわたしをしているにすぎません、これはもちろん人以外、虫や草、鳥にも橋渡しをする存在がいます」

 佐伯 まお「でも、今回は災いを防ぐために九田部さんがきてくれたんでしょ?」
九田部 麒麟「えーかみさまそんあことまで喋ったんですか?まだ助けるとはきまってないですよ、ただ先ほどもいいましたように妖怪が善神になるのも悪神になるのも人間次第なんです。私達妖怪だってやはり尊敬されれば嬉しいですし、嫌悪されればいい気はしないです。それに人間は利己的ですからね。昔
は其れでも猿や狐にでも神社をたててくれましたけど、最近はお金儲け以外の神様にはとんとお呼びがかかりません」

 確かにそうだ最近は安産祈願や学業成就達成前には沢山のお守りや鉛筆を買ったりするが
無事、出産・合格したあとに感謝の御祈りと報告にくる人間がどれだけいるだろう、
残念ながら「困ったときの神頼み」でしかないのだ。
そんなことで拝み倒されてれば最初は善意でたすけてくれてる神様だって、そのうち嫌気がさして当然だろう
人間同士でそうなのだから寧ろ神様は心が広いというほかない、ただどれだけ広い池だろうが許容量はあるのだ
それいつ決壊するかは人間の心がけ次第だ。

人間の立場でそんな話をきかされどんよりとした空気になってるところにふいに話かける影。

赤鬼「九田部のお兄ぃじゃないですか~元気ですか~?HAHAHAHA」
やたら陽気な外国人風なフレンドリーをみせるムキムキマッチョな人じゃなかった鬼。どっちが鬼ぃさんなのやら

 九田部 麒麟「やあ、丁度こちらのお嬢さんがね、白鷹さまにお参りして見鬼の力を手に入れたのでこのカオスな光景を説明してたとこさ」
赤鬼「あ~そ~なんでやんすね、お嬢さんはじめまして~わっしら鬼っていわれてますがべつに悪いこととかしてないですよ~あくまで神様に敵対するひとの排除とここの秩序の管理をするのが仕事でしてね~ま~警察みたいなもんですかい?悪い人が見れば悪人・・じゃなかった悪鬼っでしょうし?いい人がみたらただの鬼ですよ?あ!人間は鬼って全部悪者なんでしたっけ?がははははは!」

自分で自分のことを卑下してる感じにはさっぱりみえない

 九田部 麒麟「人間にはその鬼ジョークは受けが悪いからやめた方がいい良いよ?、最近の日本人は謙遜が通じない人がおおいみたいだからNA」
九田部さんも外人風の陽気さにあてられて最後をNAとか言っちゃってる人間と話すよりはリラックスできるのだろう。
佐伯 まお「今の謙遜なんですね?初対面でどう対応していいか躊躇しただけです鬼さん佐伯 まおといいます宜しくね」
私は鬼さんに向けて右手を差し出す。
赤鬼「あ~いきなり砕けすごでしたかね?すみません、根がこんなもんなんでね~宜しくまおさんHAHAHAHA」
そういって握手で返してくれる鬼さん

うん、異文化ショックなだけで、けっして悪い人・・じゃなかった鬼ではないようだ。

 佐伯 まお「じゃぁここは本当の地獄じゃないんですね?」
赤鬼「本当が何かはわかりやせんが、ここは昔から祖霊の地(先祖がなくなったらくる地)であっしらはそこを管理しているだけですぜHAHAHAHA」
赤鬼さんは自虐的だが卑屈ではなく寧ろ人間がどーおもってるのか解った上で配慮されているように感じた。
すくなくとも九田部さんよりは絶対紳士的だ。うん。

佐伯 まお「いままで勘違いして鬼ってみんな怖くて悪いものだと思っていましたごめんなさい」
私は鬼さんに向かって丁寧に頭を下げる。
私は相手が気を使ってくれているのにそれを鬼ジョークで流してしまうほど大人でもないし
誠意で接してくれている鬼にいはちゃんと誠意をもって接したい。

改まって頭を下げる人は少なかったのだろう。
赤鬼さんはちょっと焦った後、優しく私の頭を撫でてくれた。
赤鬼「なんか困ったことあったら、いつでも相談なきなよ」
佐伯 まお「ありがとう、困ったときは九田部さんよりさきに相談するね体力ありそうだし」
そういってずっと岩にすわりこんでる九田部さんに意地悪な笑みを送る

其のあと赤鬼さんと別れを告げ、九田部さんと新たに仲間に加わった雷鳥(普段はインコに変化)のぴーちゃんと
立山を下山した。

帰ってくるとテレビでは世界で広がっている原因不明の病気の感染者が
東京でもでたと報道していた。


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