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憧れの異世界!

狼さん!

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「その、、体はもう大丈夫なの?」


家に入り、ソファでのんびりしていると、ギルがそんなことを聞いてきた。


「うん?だいぶ疲れてるけど大丈夫だよ。」



「ふ、ふーん。そっか。」


ギルが頭のなかで考えていることはわからないが頬を赤らめながら相打ちを打つ彼を見る限り恥ずかしいことを考えているのはわかった。


ボソ「もう媚薬抜けちゃったのか。」



「ん?どうした?」


「ううん、何にも言ってないよー。」



「そっか、、、、、」


またか独り言か、、、、、


ギルの家に着くまでに分かったことはいくつかあった。それはギルの独り言が異様に多いことだった。聞き取れないことがあり、聞き返すと2回に1回は独り言なのだ。そしてもうひとつ分かったことは、俺を襲ったスライムはただのスライムではなく、ラブスライムだったということだ。ラブスライムとは媚薬を分泌液として放出し、媚薬に影響されたものに子を孕ませるというとても厄介なスライムなのを知ったときは思わず絶叫しそうになった。



それからギルの用意してくれたお茶を飲みながらまったりしていた。




コンコン「ギル。いるか?」



低めの腰に響きゾクゾクようなエロい声が玄関の扉の向こうから聞こえてきた。



「分かった、今向かう。」



扉の向こうからの声になぜか不機嫌になりながら、ギルが声の方に向かう。



「いまさっき遠征から帰ってきてよー。町で食材とか買ってきたぞ。」




どうやら声の主はギルの同居人だったらしい。





「あぁ、、、、おかえり。ありがとう。」



「どうしたギル?覇気がねぇな。後、なんかめっちゃいい匂いがするな。菓子でも作ってんのか?」



そんなか会話をしながら、ドアが開かれた。


俺はギルの同居人の姿を見て、目を見開き固まってしまった。



「っっ!!!!」


なんと頭に耳、おしりにふさふさのしっぽが生えた獣人さんだったからだ。




「この子はカナって言うんだ。森でモンスターに襲われているところを僕が助けてさ、それでここに一緒に住むことになったんだ。いいよね?」



ギルの同居人は俺を目に映したときから何故か固まってしまっていた。



「ん?どうしたの?ジーク?」



同居人の名前はジークというらしい。



「な、なんでもねぇよ!それより腹減った、ギル飯頼むわ。」


「う、うん。」



同居人__ジークは何やら気が動転している様子だった。



ギルはそんなジークと俺をリビングに残し、不安そうな顔をしながらもキッチンへと向かっていった。



「・・・・・・・・・・・・・」



ギルが居なくなったリビングに沈黙が走る。




「名前はなんて言うんだ。」


さっきギルが言っていたけど聞いていなかったみたい。


「カナって言います。」



「そうか。敬語は使わなくていいぞ。」



「うん。わかった。」


「しかし、モンスターに襲われたなんて災難だったな。ここを自分の家だと思っていいからな。安心しろよ。」


「ありがとう。」



まだぎこちなくはあるけどポツポツと会話を繋げていく。




「ご飯できたよー。」



ジークがギルに話すような喋り方になってきた頃、ギルがリビングに戻ってきた。



「おっ、それじゃあ暖かいうちに食うか。」



「「神々に感謝致します。」」



「ん?何それ?」


「なんだこんなことも知らねぇのか?」


「ジーク、カナは自分の名前や性別以外の記憶が無いんだよ。」


「そうだったのか。それは悪いな。」



「大丈夫だよ。それで『神々に感謝します』ってどういうこと?」



「それはね、地球上の動物や植物は光の神リールン様が生み出していて、また、植物や動物を育てているのは水の神様と風の神様、土の神様、そして調理に使う炎は火の神様が生み出しているものなんだ。神々は僕達の生活を常日頃から支えてくださっている、その感謝を忘れないようにと、つくられたのがこの言葉なんだ。」



「へ~そうなんだ。」



「説明は終わったか?せっかくの飯が冷めちまうぞ。」



「うん。そうだね。」




それから俺たちは雑談をしながらも、食べ進めて言った。



「ふぅ。食った食った。」



「美味しかった~。」



「ふふ、ありがとう。」



「どういたしまして~。」



食前に挨拶があったので食後にも挨拶があるかと思ったけど想像に反してなかった。




久しぶりに、人の手料理を食べたので調子に乗って普段よりもいっぱい食べ、お腹いっぱいになり眠たくなってきてしまった。





「カナ、眠そうだね。早くお風呂に入って寝たらどう?」



「うん。そうさせてもらうよ。」




ギルに風呂場へと案内してもらう。



「このシャツ僕のだから大きいけどいいかな?」



「全然大丈夫!」




風呂場につき、替えの服を持っていなかったことに気づいた俺はギルの言葉に内心安堵した。





「浴槽にお湯が貯めてあるからそれで頭や体を洗ってね。」



「わかった。」




そう言い残しギルは風呂場を出ていった。




「はぁ~。不安だったけど、意外と順調だな~俺の異世界生活。」



そんなことをボヤきながらも服を次々と脱いでいく。



風呂場を見渡していると、壁にかかっているバレーボールぐらいの大きさの鏡が目に入った。



「あぁ~。そういえばこの世界に来てから新しい顔はまだ一回もいみていなかったな~。」



そう呟きながら、俺は鏡を覗いた。




「な、なんだこれ!ほんとに俺なの?」




俺は鏡に映っていたものがとてもじゃないが受け入れられなかった。だって銀髪に紫のクリクリとした瞳が印象的な想像を絶っする愛くるしい美少年だった。




「まじか、、、、ギルやジークもめちゃイケメンだったけど、俺も負けてないわぁ。」




まだ信じられなかったので頬をつねったり引っ張ったりしてみる。





「夢、じゃないか。」



そんな在り来りな事を呟きながらも、鏡から離れ、湯船に浸かることにした。





「ふぅ。久しぶりに湯船に浸かったな~。」




俺は以前一人暮らしだったため、いつもは湯船なんて滅多に浸からず、手短にシャワーで済ませていた。




「あんま、長湯すると待っているかもだし、迷惑かな~。」




湯船を出て髪を洗ってさっさと風呂場から出ることにした。








「ギル~風呂上がった。次入っていいぞー。」



「うん。ジークは今日お風呂入る?」





「いや、今日はやめとく。」




「わかった。」




ギルが出ていき、またしてジークと2人っきりになった。




「カナ、まだ寝ないだろ?寝るまで俺の部屋で少し話さないか?」




「いいよー。」





特にすることもなかったため、俺は気軽に頷いた。





俺は知らなかったんだ。









ジークが捕食者のようなギラギラとした目で俺を見ていたことに愚かにも気づかなかったんだ。













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