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【3.あのときからずっと 】ないしょのはなし
ないしょのはなし(12)
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焦ってその場を飛びのくふたり。
顔を赤らめてパクパクと口を動かす互いの姿を眺めるのみ。
「行人くん、星歌、ごはん冷めるわよ」
母の声に、星歌は我に返る。
義弟に向かってクイクイと顎で玄関を指し示した。
「お母さんにはナイショだよ!」
行人の生母の裁縫箱のことか、今のキスのことかは、自分でもよく分かっていない。
星歌は鼻息荒く、もう一度「ナイショダヨ!」と大きく声をあげた。
こくり。
頷く行人は、彼女の勢いに呑まれている様子。
フン、仕方のないヤツだなと呟いて、星歌は義弟の手をとった。
──今日から仲良しになったと言ってやろう。お母さんもお義父さんも喜ぶだろう。
そう思うと、くすぐったいような気持ちに心が華やぐ。
この先、何もかも上手くいく──このときは、そう思った。
どこへも行かなくても、星歌の世界は優しかった。
幼いあの日の、内緒の思い出。
顔を赤らめてパクパクと口を動かす互いの姿を眺めるのみ。
「行人くん、星歌、ごはん冷めるわよ」
母の声に、星歌は我に返る。
義弟に向かってクイクイと顎で玄関を指し示した。
「お母さんにはナイショだよ!」
行人の生母の裁縫箱のことか、今のキスのことかは、自分でもよく分かっていない。
星歌は鼻息荒く、もう一度「ナイショダヨ!」と大きく声をあげた。
こくり。
頷く行人は、彼女の勢いに呑まれている様子。
フン、仕方のないヤツだなと呟いて、星歌は義弟の手をとった。
──今日から仲良しになったと言ってやろう。お母さんもお義父さんも喜ぶだろう。
そう思うと、くすぐったいような気持ちに心が華やぐ。
この先、何もかも上手くいく──このときは、そう思った。
どこへも行かなくても、星歌の世界は優しかった。
幼いあの日の、内緒の思い出。
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