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【3.あのときからずっと 】「イヤな私」
「イヤな私」(8)
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「ケイ……石野谷、待ってくれ!」
そう叫んで制服の長袖の裾をつかむ手。
腕しか見えないが、大きく節が目立つその手は男のものだ。
ところどころ、赤や青の汚れが付いているのがみえる。
「石野谷、オレの話を聞いてくれ、な! な!」
そう、その名前。
液晶に浮かんでいた「石野谷」の文字。
石野谷ケイという名のその生徒は、どうやら男性に話しかけられ──いや、絡まれて困惑しているように見受けられた。
一瞬、その場で身を縮ませた星歌。
だが、振り払われても尚も彼女に伸びる手が、行人のものと違っていることに少なからず安堵していたのは事実。
部活動の生徒の登校時間にあたるのだろう。校門は開いている。
門柱の死角になるように徐々に近づいていったのは、単純な好奇心であった。
ふつふつと……よからぬ感情が込みあげる。
「な、なんだよ、あの子。モテまくりか。モテ自慢か。うらやま…いや、違うんだけどもね!」
たしかに美少女だけどねっ!
ちょっとだけだけどねっ──そう呟いたところで、嫌な自分にハタと我に返る。
そう叫んで制服の長袖の裾をつかむ手。
腕しか見えないが、大きく節が目立つその手は男のものだ。
ところどころ、赤や青の汚れが付いているのがみえる。
「石野谷、オレの話を聞いてくれ、な! な!」
そう、その名前。
液晶に浮かんでいた「石野谷」の文字。
石野谷ケイという名のその生徒は、どうやら男性に話しかけられ──いや、絡まれて困惑しているように見受けられた。
一瞬、その場で身を縮ませた星歌。
だが、振り払われても尚も彼女に伸びる手が、行人のものと違っていることに少なからず安堵していたのは事実。
部活動の生徒の登校時間にあたるのだろう。校門は開いている。
門柱の死角になるように徐々に近づいていったのは、単純な好奇心であった。
ふつふつと……よからぬ感情が込みあげる。
「な、なんだよ、あの子。モテまくりか。モテ自慢か。うらやま…いや、違うんだけどもね!」
たしかに美少女だけどねっ!
ちょっとだけだけどねっ──そう呟いたところで、嫌な自分にハタと我に返る。
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