87 / 136
【3.あのときからずっと 】「イヤな私」
「イヤな私」(2)
しおりを挟む
腫れた瞼が伏せられる。
義弟は家から、出て行った。
しばらくしたら戻るだろうと起きて待っていた星歌は、そのまま世界遺産のDVDとともに朝を迎えたものだ。
──ともだちの……。
「男の! 友だちのところにでも行ったかな」
わざわざ言い直したことが、かえって空しく感じられる。
義弟のスマートフォンの画面に出ていたあの名前……脳裏から振り払うように首を振る。
「いたた……」
寝不足の頭がズキンと脈打った。
自分とて馬鹿ではないと、星歌は思う。
あのとき──。
行人の様子がいつもと違うことは分かった。
近距離から降り注ぐ静かな声に、胸が高鳴ったことも認めよう。
星歌を姉としてなんて見たことない──その意味が分かるかという問いに、しかし頷くわけにもいかなかったのだ。
義弟は家から、出て行った。
しばらくしたら戻るだろうと起きて待っていた星歌は、そのまま世界遺産のDVDとともに朝を迎えたものだ。
──ともだちの……。
「男の! 友だちのところにでも行ったかな」
わざわざ言い直したことが、かえって空しく感じられる。
義弟のスマートフォンの画面に出ていたあの名前……脳裏から振り払うように首を振る。
「いたた……」
寝不足の頭がズキンと脈打った。
自分とて馬鹿ではないと、星歌は思う。
あのとき──。
行人の様子がいつもと違うことは分かった。
近距離から降り注ぐ静かな声に、胸が高鳴ったことも認めよう。
星歌を姉としてなんて見たことない──その意味が分かるかという問いに、しかし頷くわけにもいかなかったのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる