星降る世界で君にキス

コダーマ

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【3.あのときからずっと 】「イヤな私」

「イヤな私」(2)

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 腫れた瞼が伏せられる。

 義弟は家から、出て行った。
 しばらくしたら戻るだろうと起きて待っていた星歌は、そのまま世界遺産のDVDとともに朝を迎えたものだ。

 ──ともだちの……。

「男の! 友だちのところにでも行ったかな」

 わざわざ言い直したことが、かえって空しく感じられる。
 義弟のスマートフォンの画面に出ていたあの名前……脳裏から振り払うように首を振る。

「いたた……」

 寝不足の頭がズキンと脈打った。
 自分とて馬鹿ではないと、星歌は思う。

 あのとき──。

 行人の様子がいつもと違うことは分かった。
 近距離から降り注ぐ静かな声に、胸が高鳴ったことも認めよう。

 星歌を姉としてなんて見たことない──その意味が分かるかという問いに、しかし頷くわけにもいかなかったのだ。
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