星降る世界で君にキス

コダーマ

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【2.砕け散る星】夜空に降る涙

夜空に降る涙(10)

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 その目は星歌を捉えてはいない。
 彼女の背後にいる行人と、まるでにらみ合うかのように視線を絡ませているではないか。

 僅か数秒のこの時間を、星歌はふたりの思いを読み取ることなく無為に過ごした。
 やがて翔太の顔がこちらに向けられる。
 大きな瞳は柔らかく細められ、微笑を湛えた優し気な表情。

「僕は帰るね。明日もよろしく、星歌。一緒に働けるの、楽しみにしてるよ」

 軽やかな調子でそう告げると、バイバイと手を振って駆けていく。
 とっさに手を振り返し、星歌は何故だか背が冷たく凍るのを自覚した。

「アイツ、うちの姉ちゃんを呼び捨てに……!」

 肩がプルプルと震える。行人の手が震源地となっているのだ。
 いつも冷静で星歌のツッコミ役となっている義弟が、珍しく感情を高ぶらせている?

 どう声をかけたものか分からず、星歌はひとまず静観の構えをとることに決めた。
 静かな夜が過ぎて、また太陽が昇れば、気まずかった今の思いも吹き飛ぶに違いないと信じて。

 だが、事態は混濁へと向かうことになる──。
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