星降る世界で君にキス

コダーマ

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【2.砕け散る星】夜空に降る涙

夜空に降る涙(2)

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 それは、星歌のブレスレットの馴れの果ての姿である。

 手作りのアクセサリーだ。
 作られてから長い年月の間に中の糸が劣化していたのだろう。
 僅かな衝撃で弾け、バラバラに壊れて飾りが落ちてしまったのだ。

「……行人は覚えてないよね」

 震える指先が、小さな星をひとつひとつ拾い集める。
 次第に星の輪郭がぼやけていくのが分かり、星歌は下唇を噛みしめた。
 義弟の態度がいつになく冷たく感じられたこと、それ以上に押し寄せる自己嫌悪。

 負の感情をいっぱい詰めていた水風船の残骸が、まだ腹の奥にこびりついているようだ。
 押し潰されまいとするかのように、わざと明るい声をあげて現状を嘆いてみせる。

「あーあ、義弟も独り立ちだよ。や、とっくに独り立ちしてたよね、あの子は。もう私なんて完全に見捨てられちゃったよ……昔はお姉ちゃんって呼んでくれて……可愛くて……」

 ダメだ。
 拾い集めた星が、手の平でにじんで見える。

「リ、リア充はほっといて、もう私には本格的に異世界しかないようだね。いっそイケメン魔王にさらわれて城に閉じ込められたいもんだよ。城といってもアレだ。ベルサイユ的なアレなんだ。そして、寂しい過去を背負った魔王と恋に落ちるんだ……」

 ハハッと力なく笑う。
 いつもの妄想だが無理にでも笑ってみせたことで、幾分気持ちが明るくなった気がする。

 カラ元気であっても構わない。
 星歌はその場に立ち上がる。
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