星降る世界で君にキス

コダーマ

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【1.運命のキスは星のみちびき? 】もはや異世界しかない!

もはや異世界しかない!(4)

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「我が義弟、行人ゆきとに命ずる。我の靴を脱がせよ」

「ねえちゃ…………」

 一瞬の沈黙の後、行人と呼ばれた男は玄関先で跪いた。

「はいはい。じっとしててください、星歌さま」

「お、おう……」

 うつむいた行人のつむじを見下ろす格好になり、星歌は我知らず声を上ずらせる。
 彼女の視線になど気付く由もない。彼は星歌の右足にそっと手を触れた。
 無理して履いている幅の細い五センチのヒールに触れると、踵からそっとすべらせる。
 力が入るたびに筋が浮き出る手の甲を見下ろしながら、星歌はゆっくりと息を吐いた。

「姉ちゃん、どした? ほっぺが赤いよ」

 急に顔を上げるものだから、星歌は驚いたように声をあげる。
 意外なほど近くに迫る行人の目、その大きな黒目に一瞬見とれたのだ。
 そこには、ぼんやりと口を開けた自分の姿が映っている。

「ち、ちがう! ちがうよ?」

 ブンブン首を振る彼女に苦笑を投げて、行人はその場に立ち上がった。

「あのさ、姉ちゃん……」

 低い声が降ってくる。
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