13 / 14
上司とその息子
上司と2
しおりを挟む
「今日は19時まで。そこまで頑張って明日は14時には帰れるようにしよう!」
時刻は17時15分でした。朝の状態からするとかなり整ってきた感じはしますが、月曜日から通常業務を始めることを考えるとまだまだって感じです。
昼食の時、前職のことや、野々垣課長がこの会社に入社したばかりの頃のこと。プライベートでは奥様との出会いや、24歳で社会人になったばかりのひとり息子さんのこと等。色々な話を聞かせてくれたせいか身近に感じてしまい、「頑張れませんが、頑張りまーす!」とおどけてみる私。
そして19時ちょうどになり、一旦全員が集まって明日の予定の確認をし、今日は解散となりました。
「また明日もお願いね。ご苦労様」
野々垣課長にそう言われ、どこか名残惜しい気持ちを抱きながら私はオフィスを後にして駅に向かいました。
(あっ! スマホ忘れた!)
駅を目の前にしてスマホが無いことに気付き、記憶を辿る私。
(あそこだ!)
給湯室の荷物を整理していた時、電子レンジの上にスマホを置いたことを思い出しました。
もしかしたらもう誰もいなくて入れないかも……そう思いながら来た道を逆戻りすると、オフィスの真ん前で野々垣課長が立っていました。
「あっ、野々垣課長。すいません、まだ中に入れますか?」
すると野々垣課長の手に私のスマホが。
「これ、河合さんのかな? 誰のかは分からなかったけど、きっと忘れたことに気付いて戻ってくるかもと待ってたんだ」
「すいません、ありがとうございます! 野々垣課長はもう帰られるんですか?」
「あ、う、うん……帰る、かな」
急に表情が曇ったような、そんな気がしました。
「なんかすいません……」
「いや、河合さんは何も。今日は家内は実家に帰ってて、息子も友達と旅行に出てるみたいだから、ちょっと羽を伸ばそうかと思って」
「なんだ、そうだったんですね。変なこと聞いちゃってすいません。せっかくですから、いっぱい羽を伸ばしてくださいね!」
私はニコリと笑ってお辞儀をし、再び駅に向かおうとすると、
「あ、あの、河合さんは……今から」
足を止め、くるりと振り返ると、もじもじとした野々垣課長が私を見ていました。
「はい。私も羽を伸ばそうかと思ってます笑」
そして私たちは並んで駅とは違う方向に歩き出していました。
時刻は17時15分でした。朝の状態からするとかなり整ってきた感じはしますが、月曜日から通常業務を始めることを考えるとまだまだって感じです。
昼食の時、前職のことや、野々垣課長がこの会社に入社したばかりの頃のこと。プライベートでは奥様との出会いや、24歳で社会人になったばかりのひとり息子さんのこと等。色々な話を聞かせてくれたせいか身近に感じてしまい、「頑張れませんが、頑張りまーす!」とおどけてみる私。
そして19時ちょうどになり、一旦全員が集まって明日の予定の確認をし、今日は解散となりました。
「また明日もお願いね。ご苦労様」
野々垣課長にそう言われ、どこか名残惜しい気持ちを抱きながら私はオフィスを後にして駅に向かいました。
(あっ! スマホ忘れた!)
駅を目の前にしてスマホが無いことに気付き、記憶を辿る私。
(あそこだ!)
給湯室の荷物を整理していた時、電子レンジの上にスマホを置いたことを思い出しました。
もしかしたらもう誰もいなくて入れないかも……そう思いながら来た道を逆戻りすると、オフィスの真ん前で野々垣課長が立っていました。
「あっ、野々垣課長。すいません、まだ中に入れますか?」
すると野々垣課長の手に私のスマホが。
「これ、河合さんのかな? 誰のかは分からなかったけど、きっと忘れたことに気付いて戻ってくるかもと待ってたんだ」
「すいません、ありがとうございます! 野々垣課長はもう帰られるんですか?」
「あ、う、うん……帰る、かな」
急に表情が曇ったような、そんな気がしました。
「なんかすいません……」
「いや、河合さんは何も。今日は家内は実家に帰ってて、息子も友達と旅行に出てるみたいだから、ちょっと羽を伸ばそうかと思って」
「なんだ、そうだったんですね。変なこと聞いちゃってすいません。せっかくですから、いっぱい羽を伸ばしてくださいね!」
私はニコリと笑ってお辞儀をし、再び駅に向かおうとすると、
「あ、あの、河合さんは……今から」
足を止め、くるりと振り返ると、もじもじとした野々垣課長が私を見ていました。
「はい。私も羽を伸ばそうかと思ってます笑」
そして私たちは並んで駅とは違う方向に歩き出していました。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる