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運命のつがい
運命の相手
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あの出会いのあと、運命の番|《つがい》である高村さんとは全く接点がなかった。登録された連絡先を見て名前を知ったくらいで、お互いに名乗りもしなかったことに後で気付き、愕然とした。
<運命の番>に会えば無条件で恋に落ちると思っていた。すぐに気付いて一目惚れして、その日のうちに恋人同士 になれるって。
実際、動悸がしたし体も熱くなったし、微笑まれたら恋に落ちたかもしれない。
でも、目が合った直後の嫌そうな顔と、品定めされた目線に、全てが一瞬にして凍りついた。
運命の相手というのはこうなのか。
よく知りもしない相手の顔色ひとつで感情が乱高下して、思考も理性も追いつかない。まして、αに従う性のΩなら、その存在感は尚更だ。
本当は、どんな人なのか知りたくて、遠くからでも見ようかと思ったが、視界に入れたらフラフラ近寄りそうだったし、近づくなと言われてた手前どんな顔をされるかと想像するだけで恐怖で動けず、高村さんのことは未だに知らなかった。
同じゼミを受講してる友達の田中くんが高村さんを知っていたので、どんな人か聞いてみた。
「あまり評判よくないかな。ヒートのΩを見つけたらすぐヤッてるし、普段はそこらの女にも手を出してる。晶馬の相手って本当?言いたくないけど……その……あんまり……」
言いにくそうに言葉を濁してくれた。
でも、出会ってしまったのだ。それに僕たちは運命の相手なんだ。怖いけれど、お互い色々知っていけばきっと上手くやっていける筈。
しばらくは何事もなく、以前と同じように学校生活を送っていたが、ある日の朝、風邪に似た怠さと発熱を感じた。
それは段々と酷くなり、一人で立ち上がれなくなってしまった。
ついに、初めての発情期が始まったのだ。
体中から力が抜け、腕さえ上がらない。熱いのに熱は外に出ず溜まる一方で、呼吸も浅く短くなっていた。抑制剤は……ああ、そうだ机の三番目の引き出し……
思考もふわふわしてきた。
高村さんに連絡しろと言われていた事を思い出してヒートがきた事をメールし、田中くんには一週間引きこもる事を大学に伝えてもらって、なんとか薬を飲んでベッドに倒れこんだ。
<運命の番>に会えば無条件で恋に落ちると思っていた。すぐに気付いて一目惚れして、その日のうちに恋人同士 になれるって。
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運命の相手というのはこうなのか。
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