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エリートは迷わず勇者で無く魔王を選んだようです。4

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「な、な、何だ!?あの光は!!」

「分からねぇ!!死ぬのは御免だ!俺は逃げるぜ!?」

「俺もだ!!死ぬのは嫌だぁーーー!!!!」

はぁ!?何だとーーーー!!!!

「ふざけるな!!さっさと俺を殺さんかーー!ゴブリン共ーー!!」

だが、時すでに遅し。
目を開けた時には足に怪我を負ったゴブリンが一匹、腰を抜かして震えているのみで、残りは綺麗さっぱり消えていた。

もう6分をきっている――

「まぁいい。喜べ!お前にこの俺を殺す権利を与えてやる。さあ殺せ!!その短刀で俺の喉をスパーーっとかき切れ!!嫌か。
仕方ないなぁ、なら出血大サービスで心臓をズブッと一突きにして、グリッとしてもいいぞ!?さ、殺れ。一思いに、頼むから!
な?!この通りだ。頼む、頼むから!!
早く殺してくださいぃーーーーー!!!!!」

「あ、あの・・・勇者よ?取り込み中悪いのですが、一つ忘れた事があった故再び登場しました女神様ですよ?私の話を」

「今!!!!この俺が!この俺が!!殺して頂けるよう頼んでいるんだぞ!!??それが分かって」

ん?待て、待つんだ俺。
冷静に考えてもみろ、コイツに俺が殺せるのか?
大量の発汗で体はベタベタ、口からは泡を吹き出し、目は白目を向いて――
・・・・・・完全に失神している。

――女神?

「今!!女神と言ったか!?」

勢い良く振り返ると、そこには頼もしく胸を張った姫様と光る指輪があった。

「え、ええ。さっきも言」

「勇者様!!勇者様の危機をお救いしようと私、必死に主に祈ったのであります!その私の必死の!懇親の!祈りが女神様へと届いたのです!!ご無事で良かったです!勇者様ーーー!!!!」

おい、俺は女神に話があるんだ!
それをわざわざ遮りよって、いくら姫と言えどこれ以上俺の邪魔をするなら此方にも考えが――

ん?よもやアイツ、いやまさかな・・・待て待てもしかして!?いやもしかもするぞ奴は!!
こっちに向かって来てるーー!!!!

「待て!ストップだ。止まれ!!!!
よし、そこから動くな。
まさかとは思うが、今抱きつこうとしたのか?正気か!?この世界のコミュニケーションがどうかは知らんが、俺の世界で知らない男女が触れ合ってみろ、途端にどちらかが刑務所に送られ一生犯罪者として生きる事になるんだぞ!?
これからは、節度ある距離より絶対に近づくな!」

「そ、そんなーーーーー!!!!!
私の抱擁を断る人間がこの世に存在するなんて・・・
生まれてこの方、私のこの美貌と聡明さ、そして純真で清らかな心で虜にならない人間は見た事がありません。
皆競って私を愛し、私の愛を求めたもの!
そんな私の抱擁を断るだな、ん、て!

いいえ、待つのですミレーヌ。
貴方はミレーヌ・アリステリア、即ち完璧なのです。
対してかの御方は異世界のお人。
きっと緊張と恐れの多さに萎縮しておられるか、私の素晴らしさがお分かりになられなかった。
そう!きっと其れだけの事ですわ!」

全部聞こえているぞ・・・
俺の考え――それは、存在否定完全無視だ!

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