diver

不知火美月

文字の大きさ
上 下
2 / 9

2

しおりを挟む
さぁ、ここからだ!ここから私の青春が始まるのだ!きっと毎日ドキドキワクワクして、辛く悲しんだり、苦虫を噛み潰すような悔しい事もあるだろう。だけど、きっと最後には幸せなハッピーエンドが待っている。大人になってから家族や友人と思い出して語り合えるようなキラキラした素晴らしい青春が!
そして憧れの彼と——


の、筈だったのだ。

『卒業証書授与。代表、潮崎しおざきみなと

「はぁ~」

半分開いた窓から柔らかな風が滑り込み、頬を伝って髪を揺らし教室に染み渡っていく。

「ではここを三船。三船!聞いてるのか三船!!」

「は、はい!えっと・・・
「あなたは本当に真面目なんですか」
と先生が念を押した。
「私は過去の因果で、人を疑りつけている。
だから実はあなたも疑っている。
しかしどうもあなただけは疑りたくない。
あなたは疑るにはあまりに単純すぎるようだ。私は死ぬ前にたった一人で好いから、ひとを信用して死にたいと思っている。
あなたはそのたった一人になれますか。
なってくれますか。
あなたは腹の底から真面目ですか」」

「はい、結構です。今は理科の授業中です。1限はとっくに終わっていますよ」

顔が火を吹く程熱い。消え入りそうな声で、はいと呟き席に座ると教室に笑い声が鳴った。
もうこんなのたくさんだ。神様は良い事と悪い事を半々で与えると聞くが、丁度中間の私には悪い事が無ければ良い事も与えては貰えないというのか。それではあまりにも・・・

その先は考えない事にした。
あぁ、どうか神様。悪い事も受け入れます。耐え忍んでみせますから、私にも良い事を恵んでください。どうか——。どうか——。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

彗星と遭う

皆川大輔
青春
【✨青春カテゴリ最高4位✨】 中学野球世界大会で〝世界一〟という称号を手にした。 その時、投手だった空野彗は中学生ながら152キロを記録し、怪物と呼ばれた。 その時、捕手だった武山一星は全試合でマスクを被ってリードを、打っては四番とマルチの才能を発揮し、天才と呼ばれた。 突出した実力を持っていながら世界一という実績をも手に入れた二人は、瞬く間にお茶の間を賑わせる存在となった。 もちろん、新しいスターを常に欲している強豪校がその卵たる二人を放っておく訳もなく。 二人の元には、多数の高校からオファーが届いた――しかし二人が選んだのは、地元埼玉の県立高校、彩星高校だった。 部員数は70名弱だが、その実は三年連続一回戦負けの弱小校一歩手前な崖っぷち中堅高校。 怪物は、ある困難を乗り越えるためにその高校へ。 天才は、ある理由で野球を諦めるためにその高校へ入学した。 各々の別の意思を持って選んだ高校で、本来会うはずのなかった運命が交差する。 衝突もしながら協力もし、共に高校野球の頂へ挑む二人。 圧倒的な実績と衝撃的な結果で、二人は〝彗星バッテリー〟と呼ばれるようになり、高校野球だけではなく野球界を賑わせることとなる。 彗星――怪しげな尾と共に現れるそれは、ある人には願いを叶える吉兆となり、ある人には夢を奪う凶兆となる。 この物語は、そんな彗星と呼ばれた二人の少年と、人を惑わす光と遭ってしまった人達の物語。        ☆ 第一部表紙絵制作者様→紫苑*Shion様《https://pixiv.net/users/43889070》 第二部表紙絵制作者様→和輝こころ様《https://twitter.com/honeybanana1》 第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》 登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/

俺と後輩とバスケ

夜納木ナヤ
青春
柳瀬大志は後輩である笹瀬愛実のことをが好きだった。 彼女にいいところ見せるためにバスケを頑張り、全国大会を目指した。 そんなある日、愛美は急に姿を消した。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

月夜の遭遇

馬場 蓮実
青春
中秋の名月。 高校生になった少女は、恒例行事となりつつあるお月見のために山の『公園』へと向かう。 獣道の先にあるその公園のベンチは少女の特等席。 ……の、はずだった。

文具沼への招待

涼格朱銀
青春
父親からもらって何気なく使っていた鉛筆は、現在廃番の伝説の品だった? 文具好き向けにいろいろ小ネタを仕込んだ、学校生活モノ短編。

坂津眞矢子星花短編集

坂津眞矢子
青春
星花系統の、短編を集めたものです 集まるほどあるかは不明ですが、色々頑張ってみます。 本家の方もしっかり進めたいです()

処理中です...