周三

不知火美月

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「さぁ、皆!新しい家族が来るわよ!笑顔でね!」

広い建物に檻ごと並べられた俺たちを人間達が見ていく。
子供、大人、老人、オスメス様々な知らない人間が檻の中をギョロリッと覗き込む度、俺は飛び上がった。
怖くて怖くて、威嚇をする気も起きずただただ祈った。

どうか、選ばれませんように――

「この子、足が悪いのですか?」

「えぇ、トラックに跳ねられた時に大怪我をしたそうですよ・・・でもとても強い子で、諦めずに必死にリハビリをして他の子と変わらず生活が出来るようになったんです。とはいえサポートは必要となります。強い心構えを持って迎え入れて頂ける御家族を探しております」

「・・・もしかしたら、これは運命なのかしら――。あの、この子を連れて帰っても宜しいですか?実は――」

一人の人間が仕切りに俺と無い足を見つめてくる。
なんだよ!俺は痩せっぽちで美味かないぞ!
あっち行け!!

「良かったねぇクロくん。引き取りたいって家族が居たよ!いい人みたいだけど、貴方が家族になれるのかしっかりと見極めないとね、そんな顔しないの!きっと大丈夫よ!」


違う・・・俺は家族が欲しいんじゃないんだ!
ただ猫として、ちゃんと生きていきたいだけ。
自立して寿命を全うする事の何が駄目だというんだ!


そんな思いも虚しく、俺は3人家族の一軒家に放り込まれる事となる。
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