周三

不知火美月

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傷も塞がる頃、俺は歩く練習を始めた。
人間達はそんな俺を見てリハビリ、リハビリと呪文を唱えるが、全く意味を生してはいない。
殆どは俺が嫌いな男が監視役を務めているので、俺は一刻も早く治ってやろうと躍起になった。

「リハビリを始めて一週間で、もうこんなに歩けるようになったぞ!」

「先生が、補助をするとよく歩きますよね」

「なんだ、俺が好きなのか??いっそウチの子になるか?」

「ダメですよ、拾われた方が治療費まで出して下さっているんですからね!あ、噂をすれば。どうぞ」

あと、たまにくる人間のオスがいる。
その人は俺の頭をぐちゃぐちゃにはしないが、声が少しデカいのが気になるところだ。
それともう一つ気になるところがある。

周三しゅうぞう!元気してたか!?足はどうだ!?ちゃんと食ってるのか!?」

この人間も俺に周三と言う事。
周三とは一体何なんだろう・・・

「大丈夫ですよ。このままいけばすぐ退院できます」

「良かったなぁ周三!!本当に良かった・・・あの、先生。大家さんと話し合ったんですけどやっぱり難しいみたいで・・・どうにかコイツを幸せにしてやりたいんです!だけど・・・」

「愛護団体を頼るのはどうでしょう?譲渡会で理解のある方が見つかるかもしれませんし、もし見つからなければ私が責任もって世話をしますから、どうかそんなに思い詰めないで下さい」

「ありがとうございます先生、俺も最後まで探してみます!」


早く、一刻も早くここから出て俺はまた野生で生きていくんだ!
そろそろ走ったりジャンプの練習も始めたいところだ、案外三本足でも大丈夫なんじゃないか?

絶対に生き抜いて寿命を全うしてやるぞーー!!
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