エデン~鳥籠編~

不知火美月

文字の大きさ
上 下
14 / 20
第3章

第14話 再会

しおりを挟む

無限に繰り返される行程をただ眺め続けるだけ。

いい加減、頭が変になりそうだった。

変…変といえば、ここにいる奴らはとても静かだ。ストレスで喧嘩をしたり、奇行に走る奴、脱走を図る奴さえもいない。

これは…おかしいんじゃないか…

「おい!」

「あ?ランチタイムにはまだ早いぞウサギ!寝ぼけてんのか?!ティータイムってか?!」

「お前ではない。後ろのお前だ。」

「俺ですか?」

「そうだ貴様だ!」

「一体なんの用でしょうか?」

「図が高いぞ!控えぬか!!」

そう言うと警備のラビットは後ろに下がり槍を片手に片膝をついてしゃがみ込んだ。

「まぁまぁ、聞きたいのはこっちなんだ、そんなに脅かさなくてもいいと思うぞ?」

警備のラビットの後ろからとても懐かしい声が聞こえてきた。かと思うと、ピンとした長い耳、白くフワフワの毛に包まれた顔には大きな瞳が2つ。

「オイラに会いたいって言ったのはお前か?」

「……シュ…ガー?ホントにお前なのか?」

長い前歯を二本覗かせた笑顔は昔と変わらない。

目頭が熱いと思ったら自然と涙が溢れ出していた。

「全く、急に走り出すもんだから。俺、あの後から結構成長したんだぜ!此処のことも結構分かってきたんだ!だから」

「悪いけどよ。オイラ、お前と会った覚えなんてないんだ。」

「そ、そんな訳ないだろ!?一緒にワイバーンから隠れたり、走ったり、それに木に登ってこの鳥籠の事教えてくれたじゃないか。一緒にファームを目指して」

「オイラは確かにお前たちよりも馬鹿だ。だがな、天地が返ってもオイラ達がプレイヤーの力になる事は無い。」

「待てよシュガー!俺お前に!」

ガチャン

牢へと続く扉は冷たい音を立てて閉じられた。

何でだ!どうして!?何が起きたんだ!?

シュガーは嘘をつくような奴じゃない!…筈だ。

俺が…おかしいのか……

『オイラ達がプレイヤーの力になる事は無い。』

だったら…どうして…助けたんだよ。

その時、上の方から大きな爆発音が響いてきた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~

白野ケイ
ファンタジー
【異世界転生で誤字られるなんてことあるのかよ!? 実は最強じゃねぇか!】 進路に悩む高校2年生の【秋宮魁斗】。親友のイケメン【中野悟】、幼馴染の美少女【真白聖羅】達といつも通りの日常を過ごしていたがある日ひょんなことから異世界に! 剣闘士という職を授けられたが剣がまったく使えず、最弱だと罵られた秋宮だったが、実は誤字で職業を間違えられていただけで最強だった!? 異世界で繰り広げられるドタバタコメディバトル小説!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

王女殿下の大罪騎士〜大罪人にされたので、第三王女の騎士になる〜

天羽睦月
ファンタジー
国に人生を奪われた少年ノアは、大罪人として戦場で戦う罰を受けた。家族を失ったノア失意を隠すため、大罪人が暮らす国境近くの村に併設された地下牢で暮らしている。贖罪として国に尽くす日々を過ごしていると、村が襲われていると看守から報告受けた。ノアは村を守るために戦場に行くと、遠くで戦っている少女を見つけた。 その少女は第三王女ステラ・オーレリア。ノアの人生を奪い、大罪人に陥れた王族の一人だ。なぜ戦場にいるのかと考えていると、ステラに魔法が迫っていることに気が付いた。 自身を道具として扱っている王族を助けたくはないが、なぜかステラを救うために自然と身体が動いてしまう。 大罪人と第三王女の二人が出会ったことで、数奇な運命が動き出す。 他サイト様にも投稿しております。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

西からきた少年について

ねころびた
ファンタジー
西から来た少年は、親切な大人たちと旅をする。

処理中です...