31 / 45
思い出の焼き餅
のぶの憂うつ
しおりを挟む
晃之進から和泉屋の話を聞いた日から三日後、のぶはきよの月命日で安居家を訪れた。いつものように仏壇に線香をあげて手を合わせて仏間で茶を飲んでいると倉之助が奉行所から帰ってきた。随分早い帰りだ。
「たまにはな。今はとくに込み入った事件を抱えていないし」
部屋着に着替えた倉之助が、床の間を背にして座り言った。
朔太郎は茶を飲むのもそこそこに倉太郎のところへ行ってしまった。ここへ来れば遊んでもらえると心得ていて、この日を指折り数えて楽しみにしていたのだ。今日は、お文から買い求めためんこを持ってきたから、さっそくやっているのだろう。隣の部屋からえいやーという楽しそうなかけ声が聞こえてくる。
「なら晃之進さまもご一緒にこちらへ帰っていただけばよかったのに。のぶがこちらに来ているのはご存知でしょう? 久しぶりに兄弟揃って夕食を囲みたかったわ」
彼の分の茶を出して、りんが不満そうに言った。
「いや、あいつは、まだ終わってはおらん。聞き込みがあるといって出ている」
倉之助が答えた。
「お前さまは、晃之進さまがまだお勤めなのに帰ってきたのですか」
「いや、わしが命じたわけではないが……」
そもそもふたりは日中は別々に行動している。倉之助が奉行所で調べ物などの業務に携わり、奉行に出す資料を作成する。晃之進は江戸の街を歩きまわり、倉之助がお奉行に出す資料を作るだけの材料を集めてくるといった具合だ。
「どうしてか、気になる件があるようで、裏取りをしたいと言って聞き込みを続けておるのだ」
その言葉にのぶの胸がこつんと鳴る。三日前の夕食時の会話が頭に浮かんだ。
「旦那さま、それはもしかして、和泉屋さんの件ではございませんか?」
尋ねると倉之助が頷いた。
「そうだ。のぶは知っておるのか」
「はい、少し……」
「その話なら私も知っています」
りんが口を開いた。
「晃之進さまは、和泉屋さんの件の聞き込みを?」
「そのようだな。なんだお前も知ってるのか」
「はい。お茶会で一緒の方が日本橋にお住まいなんです。あちらでは随分話題になってるみたいですよ。和泉屋さんっていったら家族仲がいいので評判だったという話ですから。お嫁さん同士の仲もよくて皆で店に出ていたんだそうです。おふたりとも別の呉服屋さんの娘さんですから、いい生地をお勧めすると評判で……それなのに」
りんが眉を寄せた。
「次男さんがあんなことを言い出したものだから当然お嫁さん同士の仲もうまくいかなくなっているみたい。お店の雰囲気もなんとなくよくなくて、活気がなくなったって言ってたわ」
「随分詳しく知ってるな」
倉之助が苦笑した。
「晃之進さまは、この件について聞き込みを続けているのですね?」
のぶが倉之助に確認すると、彼は頷いた。
「ああ、どうも気になるようだな。今は他に込み入った件があるわけではないから、好きにさせているんだが」
「だけどその次男さんも困った人ね……。こんな騒動を起こしたら、ご自身の評判は落ちる一方だもの。暖簾分けしたって日本橋や京橋辺りではもうお店は出せないでしょう」
りんが眉を寄せた。
呉服屋は品物もさることながら、客と店の者とのやり取りが売り上げに大きく関係する。店の中のごたごたはよくないのは確かだ。政次郎の評判が落ちている……ということは、のぶが思った通り世間では長男に分があると見ているようだ。
「だけど晃之進さまはいったいなににこだわっておいでなのかしら、あまりややこしい話にも思えないけれど……」
りんの言葉に倉之助が答える。
「うむ、長男が身代を継ぐのが不満で次男が訴え出る事件は、珍しくもないからな」
にべもなく言う。政次郎が無理を言っているのだと決めつけるような言葉に、のぶはなぜか反発を覚えた。
この話をしていた時の晃之進の様子を思い出した。結論がほぼ決まっている問題なのに、わざわざ朔太郎に無理をさせてまで確認したいと言う彼の行動。
それは隠密廻同心の手先として、江戸中の揉め事を目の当たりにしてきた彼の勘が動いたからか。
それとも……。
「それよりのぶ、例のぼうやとの暮らしはどうだ? 随分元気じゃないか」
隣の部屋から聞こえてくる「わしの勝ちじゃ!」という声に耳を澄ませて倉之助が問いかける。のぶはハッとして口を開いた。
「おかげさまで、つつがなく過ごせております。例の一件からは特に危ない目に遭ったこともございません」
「この辺りまで評判が聞こえてるくらいよ。殿ちびちゃんの田楽屋って」
弾んだ声でりんが言った。
その話にのぶは眉尻を下げた。
「田楽がよく売れるのはありがたいですが、なんだか少し変なことになっちゃって……。わざわざさくちゃんに会いに来たなんて言うお客さんもいて困っています。お預かりしてる事情が事情ですから、あまり目立たない方がいいのに」
「あら、それはいいんじゃない? 殿ちびちゃんなんて言っても誰も本当の殿さまだなんて思わないわ。ねえ、おまえさま?」
「うむ」
「でもなんだかさくちゃんを商売に利用しているみたいで……」
もちろんのぶが自分から朔太郎を売りにしたことはない。
それなのに、最近ではしょっちゅう客から『殿ちびちゃんの田楽ふたつ!』などと言われるのだ。
「まぁそれはそうね。だけどのぶの田楽が美味しいのは確かだもの。それにぼうやがいるのは今だけの話だし……」
その言葉にのぶの胸はぎゅーと強い力で掴まれたようになる。ここのところ考えないようにしていたことだった。
朔太郎は、あくまでもお役目で預かっているだけなのだ。頭ではわかっている、忘れたことは一瞬たりともないのは確かだが、心はまた別だった。
親子のように過ごす中で感じる、朔太郎の温もりとかかさまと呼ぶ可愛い声、大福餅の頬に唇を寄せてぷうとやる時の幸福感……。
今ののぶには"その時"がくるのが怖くてたまらない。
普段はなるべく考えないようにしているがいつかは彼の父親の元に返さなくてはならないのだ。
「だがまだしばらくはかかりそうだな」
「まだかかりそう……。お殿さまはご正室さまに打ち明ける決心がまだつかないのでしょうか?」
倉之助の言葉にのぶは尋ねると、彼は難しい顔で腕を組んだ。
「うむ。どうやら藩主が心配されているのはご正室さまだけではないようだ。つまり朔太郎さまのご母堂は身分が低く後ろ盾のない方だ。しかもお亡くなりになっている。対してご正室さまは藩の実権を握っている江戸家老が後ろ盾となっている。だからそもそも朔太郎さまは藩にとって少し都合の悪い存在なのだ。今のところ江戸家老には、朔太郎さまは国元に置いてきたままと伝えているようだ。つまり江戸にいると知られたら家老がどうでるかわからず……場合によっては……ということもある。そこのところを図りかねているようだな」
「そんな……」
あまりにもひどい話に、のぶは絶句する。朔太郎は一国の主となる身で本当なら江戸屋敷で大切にされるべきなのに。こんな扱いを受けるなんて、いくら大名だろうが許せないという気持ちだった。
涙が浮かべ唇を噛むのぶに、倉之助とりんが顔を見合わせている。ただの役目で預かっているはずののぶの情が朔太郎にすっかり移っていることに気がついたようだ。
「ま、まぁ、藩主さまは、なんとか朔太郎さまに滞りなくお世継ぎになってもらうためにあれこれ策を講じていらっしゃる。あまり心配せぬように……」
取りなすように言う倉之助の言葉にも返事をすることもできなかった。
胸の中は、本当にそうだろうかという懐疑的な気持ちでいっぱいだ。藩主ならば、「朔太郎が世継ぎなのだ、文句は言わせん」とはっきり言えばいいじゃないか。それができなくてなにが侍かとすら思う。
「とにかく、今のところは朔太郎さまが江戸にいると知っているものは少ないが、今後はどうなるかわからん。周囲の人に目を配ってくれ。もちろん晃之進にもそのように伝えた」
倉之助が言う。
隣の部屋で倉太郎とめんこに興じている朔太郎と倉太郎がわーきゃーと嬉しそうに声をあげているのを聞きながら、のぶは奥歯を噛み締めてこくりと頷いた。
「たまにはな。今はとくに込み入った事件を抱えていないし」
部屋着に着替えた倉之助が、床の間を背にして座り言った。
朔太郎は茶を飲むのもそこそこに倉太郎のところへ行ってしまった。ここへ来れば遊んでもらえると心得ていて、この日を指折り数えて楽しみにしていたのだ。今日は、お文から買い求めためんこを持ってきたから、さっそくやっているのだろう。隣の部屋からえいやーという楽しそうなかけ声が聞こえてくる。
「なら晃之進さまもご一緒にこちらへ帰っていただけばよかったのに。のぶがこちらに来ているのはご存知でしょう? 久しぶりに兄弟揃って夕食を囲みたかったわ」
彼の分の茶を出して、りんが不満そうに言った。
「いや、あいつは、まだ終わってはおらん。聞き込みがあるといって出ている」
倉之助が答えた。
「お前さまは、晃之進さまがまだお勤めなのに帰ってきたのですか」
「いや、わしが命じたわけではないが……」
そもそもふたりは日中は別々に行動している。倉之助が奉行所で調べ物などの業務に携わり、奉行に出す資料を作成する。晃之進は江戸の街を歩きまわり、倉之助がお奉行に出す資料を作るだけの材料を集めてくるといった具合だ。
「どうしてか、気になる件があるようで、裏取りをしたいと言って聞き込みを続けておるのだ」
その言葉にのぶの胸がこつんと鳴る。三日前の夕食時の会話が頭に浮かんだ。
「旦那さま、それはもしかして、和泉屋さんの件ではございませんか?」
尋ねると倉之助が頷いた。
「そうだ。のぶは知っておるのか」
「はい、少し……」
「その話なら私も知っています」
りんが口を開いた。
「晃之進さまは、和泉屋さんの件の聞き込みを?」
「そのようだな。なんだお前も知ってるのか」
「はい。お茶会で一緒の方が日本橋にお住まいなんです。あちらでは随分話題になってるみたいですよ。和泉屋さんっていったら家族仲がいいので評判だったという話ですから。お嫁さん同士の仲もよくて皆で店に出ていたんだそうです。おふたりとも別の呉服屋さんの娘さんですから、いい生地をお勧めすると評判で……それなのに」
りんが眉を寄せた。
「次男さんがあんなことを言い出したものだから当然お嫁さん同士の仲もうまくいかなくなっているみたい。お店の雰囲気もなんとなくよくなくて、活気がなくなったって言ってたわ」
「随分詳しく知ってるな」
倉之助が苦笑した。
「晃之進さまは、この件について聞き込みを続けているのですね?」
のぶが倉之助に確認すると、彼は頷いた。
「ああ、どうも気になるようだな。今は他に込み入った件があるわけではないから、好きにさせているんだが」
「だけどその次男さんも困った人ね……。こんな騒動を起こしたら、ご自身の評判は落ちる一方だもの。暖簾分けしたって日本橋や京橋辺りではもうお店は出せないでしょう」
りんが眉を寄せた。
呉服屋は品物もさることながら、客と店の者とのやり取りが売り上げに大きく関係する。店の中のごたごたはよくないのは確かだ。政次郎の評判が落ちている……ということは、のぶが思った通り世間では長男に分があると見ているようだ。
「だけど晃之進さまはいったいなににこだわっておいでなのかしら、あまりややこしい話にも思えないけれど……」
りんの言葉に倉之助が答える。
「うむ、長男が身代を継ぐのが不満で次男が訴え出る事件は、珍しくもないからな」
にべもなく言う。政次郎が無理を言っているのだと決めつけるような言葉に、のぶはなぜか反発を覚えた。
この話をしていた時の晃之進の様子を思い出した。結論がほぼ決まっている問題なのに、わざわざ朔太郎に無理をさせてまで確認したいと言う彼の行動。
それは隠密廻同心の手先として、江戸中の揉め事を目の当たりにしてきた彼の勘が動いたからか。
それとも……。
「それよりのぶ、例のぼうやとの暮らしはどうだ? 随分元気じゃないか」
隣の部屋から聞こえてくる「わしの勝ちじゃ!」という声に耳を澄ませて倉之助が問いかける。のぶはハッとして口を開いた。
「おかげさまで、つつがなく過ごせております。例の一件からは特に危ない目に遭ったこともございません」
「この辺りまで評判が聞こえてるくらいよ。殿ちびちゃんの田楽屋って」
弾んだ声でりんが言った。
その話にのぶは眉尻を下げた。
「田楽がよく売れるのはありがたいですが、なんだか少し変なことになっちゃって……。わざわざさくちゃんに会いに来たなんて言うお客さんもいて困っています。お預かりしてる事情が事情ですから、あまり目立たない方がいいのに」
「あら、それはいいんじゃない? 殿ちびちゃんなんて言っても誰も本当の殿さまだなんて思わないわ。ねえ、おまえさま?」
「うむ」
「でもなんだかさくちゃんを商売に利用しているみたいで……」
もちろんのぶが自分から朔太郎を売りにしたことはない。
それなのに、最近ではしょっちゅう客から『殿ちびちゃんの田楽ふたつ!』などと言われるのだ。
「まぁそれはそうね。だけどのぶの田楽が美味しいのは確かだもの。それにぼうやがいるのは今だけの話だし……」
その言葉にのぶの胸はぎゅーと強い力で掴まれたようになる。ここのところ考えないようにしていたことだった。
朔太郎は、あくまでもお役目で預かっているだけなのだ。頭ではわかっている、忘れたことは一瞬たりともないのは確かだが、心はまた別だった。
親子のように過ごす中で感じる、朔太郎の温もりとかかさまと呼ぶ可愛い声、大福餅の頬に唇を寄せてぷうとやる時の幸福感……。
今ののぶには"その時"がくるのが怖くてたまらない。
普段はなるべく考えないようにしているがいつかは彼の父親の元に返さなくてはならないのだ。
「だがまだしばらくはかかりそうだな」
「まだかかりそう……。お殿さまはご正室さまに打ち明ける決心がまだつかないのでしょうか?」
倉之助の言葉にのぶは尋ねると、彼は難しい顔で腕を組んだ。
「うむ。どうやら藩主が心配されているのはご正室さまだけではないようだ。つまり朔太郎さまのご母堂は身分が低く後ろ盾のない方だ。しかもお亡くなりになっている。対してご正室さまは藩の実権を握っている江戸家老が後ろ盾となっている。だからそもそも朔太郎さまは藩にとって少し都合の悪い存在なのだ。今のところ江戸家老には、朔太郎さまは国元に置いてきたままと伝えているようだ。つまり江戸にいると知られたら家老がどうでるかわからず……場合によっては……ということもある。そこのところを図りかねているようだな」
「そんな……」
あまりにもひどい話に、のぶは絶句する。朔太郎は一国の主となる身で本当なら江戸屋敷で大切にされるべきなのに。こんな扱いを受けるなんて、いくら大名だろうが許せないという気持ちだった。
涙が浮かべ唇を噛むのぶに、倉之助とりんが顔を見合わせている。ただの役目で預かっているはずののぶの情が朔太郎にすっかり移っていることに気がついたようだ。
「ま、まぁ、藩主さまは、なんとか朔太郎さまに滞りなくお世継ぎになってもらうためにあれこれ策を講じていらっしゃる。あまり心配せぬように……」
取りなすように言う倉之助の言葉にも返事をすることもできなかった。
胸の中は、本当にそうだろうかという懐疑的な気持ちでいっぱいだ。藩主ならば、「朔太郎が世継ぎなのだ、文句は言わせん」とはっきり言えばいいじゃないか。それができなくてなにが侍かとすら思う。
「とにかく、今のところは朔太郎さまが江戸にいると知っているものは少ないが、今後はどうなるかわからん。周囲の人に目を配ってくれ。もちろん晃之進にもそのように伝えた」
倉之助が言う。
隣の部屋で倉太郎とめんこに興じている朔太郎と倉太郎がわーきゃーと嬉しそうに声をあげているのを聞きながら、のぶは奥歯を噛み締めてこくりと頷いた。
24
お気に入りに追加
205
あなたにおすすめの小説
陸のくじら侍 -元禄の竜-
陸 理明
歴史・時代
元禄時代、江戸に「くじら侍」と呼ばれた男がいた。かつて武士であるにも関わらず鯨漁に没頭し、そして誰も知らない理由で江戸に流れてきた赤銅色の大男――権藤伊佐馬という。海の巨獣との命を削る凄絶な戦いの果てに会得した正確無比な投げ銛術と、苛烈なまでの剛剣の使い手でもある伊佐馬は、南町奉行所の戦闘狂の美貌の同心・青碕伯之進とともに江戸の悪を討ちつつ、日がな一日ずっと釣りをして生きていくだけの暮らしを続けていた……
隠密同心艶遊記
Peace
歴史・時代
花のお江戸で巻き起こる、美女を狙った怪事件。
隠密同心・和田総二郎が、女の敵を討ち果たす!
女岡っ引に男装の女剣士、甲賀くノ一を引き連れて、舞うは刀と恋模様!
往年の時代劇テイストたっぷりの、血湧き肉躍る痛快エンタメ時代小説を、ぜひお楽しみください!
御庭番のくノ一ちゃん ~華のお江戸で花より団子~
裏耕記
歴史・時代
御庭番衆には有能なくノ一がいた。
彼女は気ままに江戸を探索。
なぜか甘味巡りをすると事件に巡り合う?
将軍を狙った陰謀を防ぎ、夫婦喧嘩を仲裁する。
忍術の無駄遣いで興味を満たすうちに事件が解決してしまう。
いつの間にやら江戸の闇を暴く捕物帳?が開幕する。
※※
将軍となった徳川吉宗と共に江戸へと出てきた御庭番衆の宮地家。
その長女 日向は女の子ながらに忍びの技術を修めていた。
日向は家事をそっちのけで江戸の街を探索する日々。
面白そうなことを見つけると本来の目的であるお団子屋さん巡りすら忘れて事件に首を突っ込んでしまう。
天真爛漫な彼女が首を突っ込むことで、事件はより複雑に?
周囲が思わず手を貸してしまいたくなる愛嬌を武器に事件を解決?
次第に吉宗の失脚を狙う陰謀に巻き込まれていく日向。
くノ一ちゃんは、恩人の吉宗を守る事が出来るのでしょうか。
そんなお話です。
一つ目のエピソード「風邪と豆腐」は12話で完結します。27,000字くらいです。
エピソードが終わるとネタバレ含む登場人物紹介を挟む予定です。
ミステリー成分は薄めにしております。
作品は、第9回歴史・時代小説大賞の参加作です。
投票やお気に入り追加をして頂けますと幸いです。
狐侍こんこんちき
月芝
歴史・時代
母は出戻り幽霊。居候はしゃべる猫。
父は何の因果か輪廻の輪からはずされて、地獄の官吏についている。
そんな九坂家は由緒正しいおんぼろ道場を営んでいるが、
門弟なんぞはひとりもいやしない。
寄りつくのはもっぱら妙ちきりんな連中ばかり。
かような家を継いでしまった藤士郎は、狐面にていつも背を丸めている青瓢箪。
のんびりした性格にて、覇気に乏しく、およそ武士らしくない。
おかげでせっかくの剣の腕も宝の持ち腐れ。
もっぱら魚をさばいたり、薪を割るのに役立っているが、そんな暮らしも案外悪くない。
けれどもある日のこと。
自宅兼道場の前にて倒れている子どもを拾ったことから、奇妙な縁が動きだす。
脇差しの付喪神を助けたことから、世にも奇妙な仇討ち騒動に関わることになった藤士郎。
こんこんちきちき、こんちきちん。
家内安全、無病息災、心願成就にて妖縁奇縁が来来。
巻き起こる騒動の数々。
これを解決するために奔走する狐侍の奇々怪々なお江戸物語。
浅葱色の桜 ―堀川通花屋町下ル
初音
歴史・時代
新選組内外の諜報活動を行う諸士調役兼監察。その頭をつとめるのは、隊内唯一の女隊士だった。
義弟の近藤勇らと上洛して早2年。主人公・さくらの活躍はまだまだ続く……!
『浅葱色の桜』https://www.alphapolis.co.jp/novel/32482980/787215527
の続編となりますが、前作を読んでいなくても大丈夫な作りにはしています。前作未読の方もぜひ。
※時代小説の雰囲気を味わっていただくため、縦組みを推奨しています。行間を詰めてありますので横組みだと読みづらいかもしれませんが、ご了承ください。
※あくまでフィクションです。実際の人物、事件には関係ありません。
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる