17 / 45
涙、涙の蒲鉾板
朔太郎の正体
しおりを挟む
「のぶ、元気そうだな。変わりはないか? 田楽屋は相変わらず評判じゃないか」
安居家の居間、うららかな午後の日差しが照らす庭を横目に、のぶは倉之助に向かって頭を下げた。
「はい、おかげさまでなんとかやっております。旦那さまもお変わりなく」
朔太郎の行方不明事件から一夜明けた今日、のぶと晃之進は朔太郎を連れて安居家を訪れた。晃之進が先に知らせをやっていたようで、倉之助は三人を待っていた。
ついてすぐに倉太郎が朔太郎を連れていき、庭でやっとうの真似事をしながら遊んでくれている。
「えいや、えいや」
と可愛らしい声が聞こえていた。
「兄上、昨日のこと、大変申し訳ありませんでした」
晃之進が頭を下げる。のぶも彼に習って頭を下げた。
「いや、任せきりにしてしまってこちらこそ申し訳ない。のぶには苦労をかけるな」
倉之助がのぶを労う。茶を運んできたりんが、盆を置いて倉之助を睨んだ。
「本当ですよ、おまえさま。のぶには店があるのに。どうして私でなくてのぶのほうがいいのか……」
そう言って彼女は、なぜか晃之進を睨む。晃之進が頭をかいた。
「いや、まぁ……詳細は言えぬが、これには事情があって……」
途端に倉之助は、やや歯切れが悪くなる。普段はおとなしい妻が怒ると怖いということがわかっているからだ。しかも、彼女はのぶのこととなると人が変わる。
晃之進が口を開いた。
「兄上、今日はそのことにつきお話があって参りました。朔太郎についての詳細をのぶに話すお許しをください」
「詳細をのぶに?」
「はい、のぶは朔太郎が私の隠し子だと疑っているのです」
「なに、隠し子⁉︎」
昨夜の晃之進と同じように驚いて声をあげ眉を寄せる倉之助に、晃之進が臆することなく続けた。
「どうやら近所ではもはやそうだと決めつけられているようでござる。もちろん、私は、くだらぬ噂とのぶ伝えましたが」
「ならそれで十分ではないか」
倉之助がのぶを見る。
のぶは恐縮して頭を下げた。
そこへ。
「殿方のお言葉は信用できないことも多くございますからね」
りんが割って入り、倉之助の前に茶をどんと置いた。そして晃之進をじろりと睨む。
「そもそもそのような噂が出るのは、晃之進さまの普段の行いが良くないからにございましょう? のぶを大切にしているとご近所の方たちから思われていれば、そんなことは言われないはずです。そのようなお方の言葉をどうして信じることができますか。旦那さま? お前さまは少しおなごを侮りすぎにございます」
もはや彼女は火がつく寸前だ。
倉之助があわあわと言った。
「い、いや、りん……! わしはおなごを侮ってなどおらぬ」
「口ではどうとでも言えますわ」
「兄上さま」
晃之進が口を開いた。
「この通り義姉上さまも、疑っておられるご様子。いくら違うと申し上げても疑惑は残りましょう。お役目は大事ですが、私、のぶにつらい思いをさせてまでお役目を続けたいとは思いませぬ。詳細をのぶに話すお許しをいただけぬなら、この役目下りさせていただきます」
きっぱりと言う晃之進に、のぶと倉之助は目を剥いた。まさか彼がそこまで言うと思わなかった。
りんだけは、
「んまっ」
と言って口に手を当てた。
「若い頃は、ふらふらしていた私が所帯を持つ気になったのはのぶだけにござりまする。現に一緒になってからは、のぶ一筋にござりますゆえ……」
「「え⁉︎」」
晃之進の言葉に、のぶとりんは声をあげた。のぶ一筋ということは、他の女と手を切ったということだろうか。にわかには信じがたい話だった。
言葉を遮られた晃之進が、驚くふたりを交互に見て、咳払いをしてからまた口を開いた。
「……のぶは私にはもったいない女房にござりまする。一緒になって三年、今まで一度たりとも私がすることに口を挟んだりはしませんでした。それが今回だけは涙を浮かべて訴えたのです。その姿に胸を打たれました。のぶにつらい思いをさせるなら、お役目をおりてもいいと思うくらいに……」
「そうです、そうです。のぶは晃之進さまにはもったいない子です。ようやくわかってくださったのね、晃之進さま」
りんが弾んだ声で答えて、倉之助を促した。
「お前さま、晃之進さまのおっしゃる通りになさいませ」
嬉々として結論を出す妻に、倉之助は腕を組み思案する。やがてため息をついて頷いた。
「まぁ、この件はわしに一任されておるし、そもそも奉行所の正式なお役目ではないからな……」
そして話し始めた。
「朔太郎は、さる藩の藩主のご烙印なのだ。藩主にはまだ子はおらず朔太郎が嫡男ということになるが、正室の子ではなく国元の身分の低いおなごとの間にできた子だ。今までは国元で育てられていたのだが、少し前に藩主とともに江戸へやってきた。母親が病を得て亡くなったから、これからは江戸で正室のもとで育てるおつもりだったのだ」
あまりの話にのぶは返事もできず、倉之助の話に聞き入った。
「だが江戸まできて、藩主が怖気づかれてな。……ご正室さまは少々悋気のきつい方らしく朔太郎のことを内密にしていたらしい。それで連れてきたはいいものの言い出せずにいるというわけだ。決心がつくまでは預かってほしいとある筋を通じて頼まれたというわけだ」
一国の主ともあろう者が、なんとも情けない話しだとのぶは思う。朔太郎は晃之進の隠し子ではなかったけれど、蓋を開けてみれば信州屋の徳次と同じような境遇だったというわけだ。
どうやらりんも同じことを考えたようだ。
「結局、同じような話なのね……どこもかしこもこんな話ばかり」
と呆れたように呟いた。
「でもそれならどうしてお前さまは、私が面倒見るよりものぶのところがよいとおっしゃったの?」
「うむ、跡目争いに巻き込まれんとも限らんからだ。ご正室と近い距離の者たちにとっては朔太郎は都合の悪い存在だ。藩主の目が離れた時を見計らって悪いことを考える奴がおらんとも限らん。八丁堀におるよりも市井に紛れさすほうが、そういった者の目をごまかしやすいだろうと思ったのだ」
「ごまかしやすい……そうでしたの」
りんが納得した。
「うむ。護衛として、晃之進をなるべく早く帰らせていた」
晃之進が早く帰ってきていたのは、そういうわけだったのかと、のぶも納得する。
一方で言葉にできないくらいの胸の痛みを感じている。母親が亡くなったばかりなのに、大人の都合に振り回される朔太郎が不憫だった。こんなことならば、晃之進の隠し子だったほうがよかったと思う。
とそこであることを思い出し「あ」と声をあげる。
「おまえさん、どうしよう。さくちゃんお客さんたちから、殿ちびちゃんって呼ばれてるんです……!」
真っ青になって晃之進に告げる。彼が殿ちびちゃんと呼ばれはじめたのは言動が殿さまみたいだからだが、まさか本当に殿さまの子だとは思わなかったからそのままになっていて、もはや定着してしまっている。
「殿ちびちゃん?」
晃之進が瞬きをして繰り返す。噴き出し、はははと声をあげた。
「おもしれえあだ名をつけるもんだなぁ」
「笑いごとじゃありませんよ! ま、まさか本当にお殿さまのご嫡男だなんて知らなかったから、私も止めなくて……!」
「大丈夫だ。まさか本物の殿さまの息子だとは誰も思わねえよ」
それはそうかもしれないが、万が一ということもある。のぶは心配でたまらなくなった。晃之進の子ではないとわかっても、朔太郎のためならば、なんでもしてやりたいという気持ちに変わりはない。
「ですが晃之進さま」
りんが口を挟んだ。
「坊やが、晃之進さまの隠し子だというご近所の噂話は、きっぱりと否定してくださいましね? でないとのぶが可哀想です」
彼女の思いやりをありがたいと思いつつ、のぶは首を横に振った。
「いいえ、おかみさん。噂はそのままにしておきます」
「そんな……。のぶ、どうして? 隠し子だなんて不名誉な噂」
「その方が、さくちゃんにとって安全だからですよ、おかみさん。そのためならば、私の名誉など地に落ちてもかまいません」
きっぱりと言って倉之助に向き直った。
「旦那さま。時がくるまで、あの子は家の子としてしっかりお預かりいたします」
畳に手をついて深々と頭を下げるど、倉之助が満足そうに頷いた。
「うむ、頼んだぞ」
隣で晃之進がふっと笑った。
「さすがは、のぶだ」
安居家の居間、うららかな午後の日差しが照らす庭を横目に、のぶは倉之助に向かって頭を下げた。
「はい、おかげさまでなんとかやっております。旦那さまもお変わりなく」
朔太郎の行方不明事件から一夜明けた今日、のぶと晃之進は朔太郎を連れて安居家を訪れた。晃之進が先に知らせをやっていたようで、倉之助は三人を待っていた。
ついてすぐに倉太郎が朔太郎を連れていき、庭でやっとうの真似事をしながら遊んでくれている。
「えいや、えいや」
と可愛らしい声が聞こえていた。
「兄上、昨日のこと、大変申し訳ありませんでした」
晃之進が頭を下げる。のぶも彼に習って頭を下げた。
「いや、任せきりにしてしまってこちらこそ申し訳ない。のぶには苦労をかけるな」
倉之助がのぶを労う。茶を運んできたりんが、盆を置いて倉之助を睨んだ。
「本当ですよ、おまえさま。のぶには店があるのに。どうして私でなくてのぶのほうがいいのか……」
そう言って彼女は、なぜか晃之進を睨む。晃之進が頭をかいた。
「いや、まぁ……詳細は言えぬが、これには事情があって……」
途端に倉之助は、やや歯切れが悪くなる。普段はおとなしい妻が怒ると怖いということがわかっているからだ。しかも、彼女はのぶのこととなると人が変わる。
晃之進が口を開いた。
「兄上、今日はそのことにつきお話があって参りました。朔太郎についての詳細をのぶに話すお許しをください」
「詳細をのぶに?」
「はい、のぶは朔太郎が私の隠し子だと疑っているのです」
「なに、隠し子⁉︎」
昨夜の晃之進と同じように驚いて声をあげ眉を寄せる倉之助に、晃之進が臆することなく続けた。
「どうやら近所ではもはやそうだと決めつけられているようでござる。もちろん、私は、くだらぬ噂とのぶ伝えましたが」
「ならそれで十分ではないか」
倉之助がのぶを見る。
のぶは恐縮して頭を下げた。
そこへ。
「殿方のお言葉は信用できないことも多くございますからね」
りんが割って入り、倉之助の前に茶をどんと置いた。そして晃之進をじろりと睨む。
「そもそもそのような噂が出るのは、晃之進さまの普段の行いが良くないからにございましょう? のぶを大切にしているとご近所の方たちから思われていれば、そんなことは言われないはずです。そのようなお方の言葉をどうして信じることができますか。旦那さま? お前さまは少しおなごを侮りすぎにございます」
もはや彼女は火がつく寸前だ。
倉之助があわあわと言った。
「い、いや、りん……! わしはおなごを侮ってなどおらぬ」
「口ではどうとでも言えますわ」
「兄上さま」
晃之進が口を開いた。
「この通り義姉上さまも、疑っておられるご様子。いくら違うと申し上げても疑惑は残りましょう。お役目は大事ですが、私、のぶにつらい思いをさせてまでお役目を続けたいとは思いませぬ。詳細をのぶに話すお許しをいただけぬなら、この役目下りさせていただきます」
きっぱりと言う晃之進に、のぶと倉之助は目を剥いた。まさか彼がそこまで言うと思わなかった。
りんだけは、
「んまっ」
と言って口に手を当てた。
「若い頃は、ふらふらしていた私が所帯を持つ気になったのはのぶだけにござりまする。現に一緒になってからは、のぶ一筋にござりますゆえ……」
「「え⁉︎」」
晃之進の言葉に、のぶとりんは声をあげた。のぶ一筋ということは、他の女と手を切ったということだろうか。にわかには信じがたい話だった。
言葉を遮られた晃之進が、驚くふたりを交互に見て、咳払いをしてからまた口を開いた。
「……のぶは私にはもったいない女房にござりまする。一緒になって三年、今まで一度たりとも私がすることに口を挟んだりはしませんでした。それが今回だけは涙を浮かべて訴えたのです。その姿に胸を打たれました。のぶにつらい思いをさせるなら、お役目をおりてもいいと思うくらいに……」
「そうです、そうです。のぶは晃之進さまにはもったいない子です。ようやくわかってくださったのね、晃之進さま」
りんが弾んだ声で答えて、倉之助を促した。
「お前さま、晃之進さまのおっしゃる通りになさいませ」
嬉々として結論を出す妻に、倉之助は腕を組み思案する。やがてため息をついて頷いた。
「まぁ、この件はわしに一任されておるし、そもそも奉行所の正式なお役目ではないからな……」
そして話し始めた。
「朔太郎は、さる藩の藩主のご烙印なのだ。藩主にはまだ子はおらず朔太郎が嫡男ということになるが、正室の子ではなく国元の身分の低いおなごとの間にできた子だ。今までは国元で育てられていたのだが、少し前に藩主とともに江戸へやってきた。母親が病を得て亡くなったから、これからは江戸で正室のもとで育てるおつもりだったのだ」
あまりの話にのぶは返事もできず、倉之助の話に聞き入った。
「だが江戸まできて、藩主が怖気づかれてな。……ご正室さまは少々悋気のきつい方らしく朔太郎のことを内密にしていたらしい。それで連れてきたはいいものの言い出せずにいるというわけだ。決心がつくまでは預かってほしいとある筋を通じて頼まれたというわけだ」
一国の主ともあろう者が、なんとも情けない話しだとのぶは思う。朔太郎は晃之進の隠し子ではなかったけれど、蓋を開けてみれば信州屋の徳次と同じような境遇だったというわけだ。
どうやらりんも同じことを考えたようだ。
「結局、同じような話なのね……どこもかしこもこんな話ばかり」
と呆れたように呟いた。
「でもそれならどうしてお前さまは、私が面倒見るよりものぶのところがよいとおっしゃったの?」
「うむ、跡目争いに巻き込まれんとも限らんからだ。ご正室と近い距離の者たちにとっては朔太郎は都合の悪い存在だ。藩主の目が離れた時を見計らって悪いことを考える奴がおらんとも限らん。八丁堀におるよりも市井に紛れさすほうが、そういった者の目をごまかしやすいだろうと思ったのだ」
「ごまかしやすい……そうでしたの」
りんが納得した。
「うむ。護衛として、晃之進をなるべく早く帰らせていた」
晃之進が早く帰ってきていたのは、そういうわけだったのかと、のぶも納得する。
一方で言葉にできないくらいの胸の痛みを感じている。母親が亡くなったばかりなのに、大人の都合に振り回される朔太郎が不憫だった。こんなことならば、晃之進の隠し子だったほうがよかったと思う。
とそこであることを思い出し「あ」と声をあげる。
「おまえさん、どうしよう。さくちゃんお客さんたちから、殿ちびちゃんって呼ばれてるんです……!」
真っ青になって晃之進に告げる。彼が殿ちびちゃんと呼ばれはじめたのは言動が殿さまみたいだからだが、まさか本当に殿さまの子だとは思わなかったからそのままになっていて、もはや定着してしまっている。
「殿ちびちゃん?」
晃之進が瞬きをして繰り返す。噴き出し、はははと声をあげた。
「おもしれえあだ名をつけるもんだなぁ」
「笑いごとじゃありませんよ! ま、まさか本当にお殿さまのご嫡男だなんて知らなかったから、私も止めなくて……!」
「大丈夫だ。まさか本物の殿さまの息子だとは誰も思わねえよ」
それはそうかもしれないが、万が一ということもある。のぶは心配でたまらなくなった。晃之進の子ではないとわかっても、朔太郎のためならば、なんでもしてやりたいという気持ちに変わりはない。
「ですが晃之進さま」
りんが口を挟んだ。
「坊やが、晃之進さまの隠し子だというご近所の噂話は、きっぱりと否定してくださいましね? でないとのぶが可哀想です」
彼女の思いやりをありがたいと思いつつ、のぶは首を横に振った。
「いいえ、おかみさん。噂はそのままにしておきます」
「そんな……。のぶ、どうして? 隠し子だなんて不名誉な噂」
「その方が、さくちゃんにとって安全だからですよ、おかみさん。そのためならば、私の名誉など地に落ちてもかまいません」
きっぱりと言って倉之助に向き直った。
「旦那さま。時がくるまで、あの子は家の子としてしっかりお預かりいたします」
畳に手をついて深々と頭を下げるど、倉之助が満足そうに頷いた。
「うむ、頼んだぞ」
隣で晃之進がふっと笑った。
「さすがは、のぶだ」
20
お気に入りに追加
205
あなたにおすすめの小説
深川あやかし屋敷奇譚
笹目いく子
歴史・時代
第8回歴史·時代小説大賞特別賞受賞。コメディタッチのお江戸あやかしミステリー。連作短篇です。
大店の次男坊・仙一郎は怪異に目がない変人で、深川の屋敷にいわく因縁つきの「がらくた」を収集している。呪いも祟りも信じない女中のお凛は、仙一郎の酔狂にあきれながらも、あやしげな品々の謎の解明に今日も付き合わされ……。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
三賢人の日本史
高鉢 健太
歴史・時代
とある世界線の日本の歴史。
その日本は首都は京都、政庁は江戸。幕末を迎えた日本は幕府が勝利し、中央集権化に成功する。薩摩?長州?負け組ですね。
なぜそうなったのだろうか。
※小説家になろうで掲載した作品です。
和ませ屋仇討ち始末
志波 連
歴史・時代
山名藩家老家次男の三沢新之助が学問所から戻ると、屋敷が異様な雰囲気に包まれていた。
門の近くにいた新之助をいち早く見つけ出した安藤久秀に手を引かれ、納戸の裏を通り台所から屋内へ入っる。
久秀に手を引かれ庭の見える納戸に入った新之助の目に飛び込んだのは、今まさに切腹しようとしている父長政の姿だった。
父が正座している筵の横には変わり果てた長兄の姿がある。
「目に焼き付けてください」
久秀の声に頷いた新之助だったが、介錯の刀が振り下ろされると同時に気を失ってしまった。
新之助が意識を取り戻したのは、城下から二番目の宿場町にある旅籠だった。
「江戸に向かいます」
同行するのは三沢家剣術指南役だった安藤久秀と、新之助付き侍女咲良のみ。
父と兄の死の真相を探り、その無念を晴らす旅が始まった。
他サイトでも掲載しています
表紙は写真ACより引用しています
R15は保険です
証なるもの
笹目いく子
歴史・時代
あれは、我が父と弟だった。天保11年夏、高家旗本の千川家が火付盗賊改方の襲撃を受け、当主と嫡子が殺害された−−。千川家に無実の罪を着せ、取り潰したのは誰の陰謀か?実は千川家庶子であり、わけあって豪商大鳥屋の若き店主となっていた紀堂は、悲嘆の中探索と復讐を密かに決意する。
片腕である大番頭や、許嫁、親友との間に広がる溝に苦しみ、孤独な戦いを続けながら、やがて紀堂は巨大な陰謀の渦中で、己が本当は何者であるのかを知る。
絡み合う過去、愛と葛藤と後悔の果てに、紀堂は何を選択するのか?(性描写はありませんが暴力表現あり)
出雲屋の客
笹目いく子
歴史・時代
短篇です。江戸堀留町の口入屋『出雲屋』は、乳母奉公と養子縁組ばかりを扱う風変わりな口入屋だった。子を失い、横暴な夫に命じられるまま乳母奉公の口を求めて店を訪れた佐和は、女店主の染から呉服商泉屋を紹介される。
店主の市衛門は妻を失い、乳飲み子の香奈を抱えて途方に暮れていた。泉屋で奉公をはじめた佐和は、市衛門を密かに慕うようになっていたが、粗暴な夫の太介は香奈の拐かしを企んでいた。
夫と離縁し、行き場をなくした佐和を、染は出雲屋に雇う。養子縁組の仕事を手伝いながら、佐和は自分の生きる道を少しずつ見つけて行くのだった。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
【受賞作】小売り酒屋鬼八 人情お品書き帖
筑前助広
歴史・時代
幸せとちょっぴりの切なさを感じるお品書き帖です――
野州夜須藩の城下・蔵前町に、昼は小売り酒屋、夜は居酒屋を営む鬼八という店がある。父娘二人で切り盛りするその店に、六蔵という料理人が現れ――。
アルファポリス歴史時代小説大賞特別賞「狼の裔」、同最終候補「天暗の星」ともリンクする、「夜須藩もの」人情ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる