渡り廊下の恋

抹茶もち

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番外編

【初夜編】温泉宿で⑤

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 「そろそろ風呂、入ろうか」


 僕の頭を優しく撫でて時折唇にキスを落としてくれていた蓮先輩が艶やかな笑みを浮かべてそう言って。



 正直恥ずかしくて堪らなかったけど、僕だって蓮先輩とイチャイチャしたかったから一気に染まった真っ赤な顔のままコクリと頷いた。




 「あ、あの・・・、トイレ、行ってくる、ので、先に入っててもらっても良いですか・・・?」

 「ん、分かった。待ってるな?」



 そう言ってお風呂場へ向かった蓮先輩の背中を見送った後、僕はトイレに行って一生懸命準備をした。初エッチはお風呂、上がった後かもしれないけど・・・でも今を逃したらいつ準備したら良いかわからないから。


 準備をしている間にえぇいっ!男は度胸だっ!って謎に吹っ切れた僕は、ちゃんと準備が出来ているのを確認して急いで蓮先輩が待っているお風呂に向かった。




 すっぽんぽんになって、腰にタオルを巻いた状態でヒョコリと内風呂に繋がっている扉から顔を覗かせると、蓮先輩の逞しい背中が見えて。


 髪を洗っているみたいで少し丸まっている背中。同じ男の筈なのに僕の身体とは全然違う。思わずヒョロっとした自分の身体を見下ろして眉間に皺が寄ってしまう。

 ・・・・・・筋肉つかないんだよなぁ。運動苦手だし。



 「結翔?何してんの?おいで」



 むむむ・・・っ!ってしてたら髪を洗い終わった蓮先輩に気付かれてキョトンとされてしまった。



 ・・・・・・しかし水も滴る良い男って、蓮先輩の事を言うんだろうなぁ。いつもサラリとしているホワイトベージュの髪の毛からポトリと滴る水滴をそのままに、少し鬱陶しそうに前髪ごと後ろへと流して。髪の毛から滴る水滴が引き締まった身体に流れていく。



 なんか!なんか!すっごくえっち!!



 見てはいけないものを見てしまった気持ちになってしまって、つい両手で茹で上がった顔を覆ってしまった。




 ヒタ、ヒタ、と僕の方へと向かってくる水気を含んだ足音。


 呼ばれた僕が蓮先輩の方へ行かなきゃいけないのに一気に緊張してしまった僕の足はその場に固まってしまっていて。




 ピタリと僕の目の前で止まった足音。ゴクリ、と生唾を飲み込む音がした。




 「結翔、おいで。俺が洗ってあげる」




 そう言った蓮先輩はいつもより少し掠れた声で。顔を覆っていた両手をソロリとおろして蓮先輩を見上げると同時に手を取られてそのまま椅子に座らされてしまったので、蓮先輩の表情は見えなかった。



 「あの・・・、蓮先輩。僕、自分で洗えます」

 「・・・だぁめ。大人しくしてて?」




 耳元で囁かれる低く甘い声に身体がヒクリと震えた。





 まずは髪を洗われて。これが凄く気持ちよかった。さっきまで緊張していた筈なのに、身体の力がふにゃって抜けちゃうくらい。



 トリートメントまでしっかりしてくれた蓮先輩がすっかり綺麗になった僕の頭を撫でて小さくよしって呟いた。そうして力が抜けたままの身体に、蓮先輩の手が降りてくる。




 ボディーソープを手に広げ、僕の身体をゆっくりと撫でるように洗う蓮先輩。ぬるぬるするその感覚がちょっと擽ったくて思わずふふって笑っちゃったんだけど。



 突然僕の背中に這わせるように撫で下ろされたその感覚にヒクリ、と身体が震えた。




 体育祭のお昼休憩の時、蓮先輩にキスをされながらひたすら撫でられていた背中はその気持ちよさを覚えていて。




 「んぁっ!」



 執拗に撫でられ、指で背骨を辿られ、甘い吐息と共にビクビクと身体が反応してしまう。





 「は・・・っ、ふぁ、ん・・・んぅ・・・っ!れ、蓮先輩っ!ちゅー・・・、ちゅーしたい・・・!」




 背中の愛撫だけでトロトロになってしまった頭で、あの時みたいにたくさんちゅーして欲しくて振り向いて必死におねだりをした。




 一瞬グッて眉間に皺を寄せた蓮先輩にヒョイって向き合うように抱えられて。



 「あんまり煽んなよ・・・。優しくしたいんだ」



 素肌のままピタリと抱きしめられて、肌と肌が触れるその感覚がなんだか心地よくて。


 煽るって、何のことだろう?ってまだ残ってる少しだけ冷静な頭で考えてみたけど、すぐに蓮先輩の大きな手が僕の身体を撫で回し始めてそんな思考は一気に霧散した。



 「ほら、ちゅー・・・するんだろ?」

 「ん・・・する・・・っ、あ・・・」


 身体を這う手をそのままに顔を近付けてくれる蓮先輩。

 そのままちゅーしてもらえるかと思ったのに至近距離で止まってしまって。


 くっつきそうでくっつかないその距離に僕は我慢できなくなっちゃて、蓮先輩の首に腕を巻き付けてピタリと肌を合わせたまま、いつの間にか熱くなっていた蓮先輩の唇に自分の唇を重ね合わせた。



 嬉しそうに目を細める蓮先輩は、むちゅって重ねただけの僕の唇を舌でノックする。それはお口を開いてっていう合図。また吐息まで食べられてしまいそうなほど深いキスをしてもらえるって僕の身体は勝手に期待してふるりと震えた。



 そっと開いた唇の間から差し込まれた舌に口内を余す所なく探られて。ハフハフと息を乱しながらもそれに応えようと一生懸命蓮先輩の舌を追いかける。

 頭の芯から蕩けてしまいそうな甘い甘いキスにトロトロにされて身体の力もふにゃりと抜けてしまった僕は、蓮先輩の首に腕を引っ掛けたまま縋り付くみたいな体勢になってしまって。


 もうこれ以上甘くて幸せでジン・・・とした快感はないんじゃないかって思ってたのに。



 僕の身体を這っていた蓮先輩の大きな手が僕の胸の尖りに辿り着いた時、じわじわと溜まるような快感が身体に走って。


 「あ・・・、ふぁ、んっ、んっ」


 深いキスをしながら触れるか触れないかくらいの距離で両方の尖りをさすられて、気持ちいいのにもどかしいような気持ちが僕の身体にじわじわと溜まっていく。



 その快感を逃そうとクイっと少し動いた腰が、いつの間にか勃ち上がってしまっていた僕のソレと蓮先輩の熱いモノをピタリ、とくっつけた。




 
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