渡り廊下の恋

抹茶もち

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番外編

【初夜編】温泉宿で②

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 チェックインを終えると仲居さんが部屋まで案内してくれるみたいで、コチラですって先導してくれた。

 蓮先輩がココでも僕の手を引いてくれていたからか、仲居さんになんだか微笑ましいものを見るような生暖かい目で見られてしまってちょっとだけ照れちゃった。

 でも男同士で手を繋いでても怪訝な顔や不快な顔をしないでくれる仲居さんのおかげで元々素敵な旅館だと思っていたけど、一気にこの旅館が大好きになってしまった僕、単純かな?




 一度外に出た時はどこに向かうの!?ってちょっと不安になったけど、少し歩くと何個か小さい平屋が建っていて。本館はたくさんお部屋があるけど、この別館は一軒ひと組限定なんだって。蓮先輩、別館の方の予約を取ってくれていたみたい。


 1番端っこの平屋の中に案内されて一通り仲居さんが説明をしてくれた後、では夕飯までごゆっくりどうぞってにっこり笑って部屋を出ていった。


 平屋に入ってから部屋の中を探検したくてソワソワしちゃってた僕は、仲居さんが出ていってすぐに立ち上がって蓮先輩の手を取った。



 「蓮先輩っ!蓮先輩っ!お風呂とか見に行きませんかっ?」

 「・・・ふはっ!そうだな、部屋風呂が広くて綺麗だったからココに決めたんだ。結翔も気に入ってくれるといいけど。行こうか」

 「そうなんですか?余計に楽しみですっ!行きましょうっ!」


 今度は僕が蓮先輩の手を引いてお部屋を出て、すぐ先のドアを開けるとそこには黒い石が敷き詰めてある床に丸い大きな檜のお風呂があって。どうなってるのか分からないけど竹みたいなやつからお湯がお風呂に流れ続けている。檜のお風呂なんて初めての僕はもっとテンションが上がっちゃった。


 「蓮先輩っ!檜のお風呂ですっ!丸いお風呂も初めてだし・・・すごいっ!」


 繋いでいる蓮先輩の手をブンブンと振りながら喜色満面で蓮先輩を見上げると、蓮先輩が優しい目で僕を見ていて。


 「結翔が喜んでくれて嬉しいよ。後で一緒に入ろうな?」

 「はいっ!・・・・・・はぃ!?一緒に!?」



 喜びのまま思わず思いっきり頷いてから「一緒に」っていう意味を理解して顔がボンって熱くなった。



 「結翔と2人きりで風呂に入りたくて、内風呂条件にして探して見つけたココに即決したんだ。なぁ、結翔は俺と一緒に入るの、嫌か?」



 僕の顔を覗き込んで眉を下げながらそんなふうに聞く蓮先輩。そんなふうに言われちゃったら嫌なんて言えないよぅ・・・・・・!



 「い、いやじゃ、ない、ですけど・・・恥ずかしい、デス」

 「嫌じゃ無いなら一緒に入ろ?俺、すげぇ楽しみにしてたんだ」

 「うぅ・・・、わ、分かりました」



 多分僕は顔が真っ赤っかで。思わず蓮先輩と繋いでいた手を解いて両手で顔を覆ってしまった。

 2人っきりでお風呂って・・・、なんだかえっちぃ!




 ・・・・・・はっ!そういえばお風呂2人で入るなら準備はどうしたらいいんだろう?1人じゃないと準備とか出来ないよね!?



 えっちぃ!なんて思ったからか、すっかり頭から抜けていた初エッチのことを思い出して。そういえば準備の練習とかはしてたけどどのタイミングで準備しておけばいいのかサッパリ考えてなかったから思わずそのままフリーズしてしまった。



 そんな僕を見て困ってるって思われちゃったのか、蓮先輩にぎゅって抱き寄せられた。



 「ごめん、結翔を困らせたかったわけじゃねぇんだ。俺、ずっと結翔と温泉きたかったから調子乗っちまった。結翔が嫌なら我慢するから隠してないで可愛い顔、見せて?」

 「ち、ちがっ!あの、僕も蓮先輩と温泉なんて夢みたいに嬉しいんですっ!い、一緒に入るのだって恥ずかしいだけで嫌じゃ、なくて・・・。だ、だから・・・っ!」



 蓮先輩に誤解させて悲しませるのだけは嫌で。慌てて胸元に縋るみたいにしながら蓮先輩を見上げてつっかえながらも思った事を伝えたら、蓮先輩がみるみる間に笑顔になって僕の言葉を飲み込むみたいに僕のお口をガブリって食べちゃった。



 「・・・嬉しい、結翔。ありがとな」

 「僕の方がありがとう、ですよっ!」


 少しだけちゅっ、ちゅってキスをしてくれた蓮先輩がすごく幸せそうに笑って僕にお礼を言うから、蓮先輩からのキスで余計に赤くなってしまった顔をそのままにふにゃりと笑ってそう言った。


 蓮先輩が幸せそうにしてくれてると僕まですっごく幸せになっちゃう。本当、大好きだ。




 ふにゃふにゃの笑顔のままそんなふうに思っていたら、蓮先輩がング・・・!って急に苦しそうにするからびっくりして蓮先輩!?って顔を覗き込んだんだけど。


 「だ、大丈夫。結翔が可愛すぎただけで・・・。それより結翔。そこの引き戸開けてみなよ」


 僕が可愛すぎただけとは・・・?ってちょっとキョトンとしてしまった僕だけど、話を逸らすみたいに蓮先輩にそう言われて視線をそちらに向けると確かに檜風呂の後ろに引き戸があって。何があるんだろう?外に出れるのかな?って一気にワクワクしてさっきの蓮先輩の僕が可愛すぎるっていうのの疑問がさっぱり抜けてしまった。


 それにホッとしたみたいな蓮先輩に再度促されてソロリと引き戸を開けてみると、そこはやっぱり外につながっていて。



 外から見えないように高めの柵で囲われいる岩で造られた露天風呂になっていた。



 「うわぁ・・・!露天風呂だっ!すごいっ!お部屋に露天風呂までついてるなんて、すっごい贅沢!」


 キラッキラな瞳で蓮先輩を振り返ってそう言うと、また優しい目で僕を見ていた蓮先輩にちょっとはしゃぎ過ぎちゃったかなって恥ずかしくなっちゃったんだけど。


 「ココ、夜は星が綺麗らしいんだ。露天だったら星見ながら入れるし、一緒に贅沢な時間過ごそうな」



 こんなふうに優しく言ってくれて。僕が子供みたいにはしゃいでも呆れないでくれる蓮先輩が嬉しすぎてまたニッコニコになっちゃった。



 「はいっ!星を見ながら露天風呂なんてなんだか凄い素敵な感じしますねっ!暗くなるのも楽しみですねっ!」

 「だな。夕飯まで時間あるけど、先に1回風呂入るか?それとも外の温泉街行ってみる?」

 「あ・・・えと、温泉街、行ってみたいです・・・っ!」



 まだ一緒に入る心の準備が出来てないよぅ・・・!って思いながら、蓮先輩を伺うようにそう言ってみた。



 「ん、じゃあ温泉街行ってみるか!なんか色々店があるらしいし、楽しみだな」

 「良いんですか?やった!はい、楽しみですっ!」


 僕が恥ずかしがってるの、多分蓮先輩にはバレバレだったんだろうけど、それには触れずに同意してくれた蓮先輩。本当に優しくて。今日だけで僕、何回蓮先輩の事惚れ直しちゃうんだろう。ちょっとずるいぃ・・・っ!



 
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