渡り廊下の恋

抹茶もち

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え、嫌ですけども

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 「キミ、調子に乗らないでよね?蓮くんに相応しいのは僕みたいな美人なんだから」

 「・・・・・・えーっと、どちら様でしょう?」



 体育祭の翌日、いつものように蓮先輩と登校してた僕は真面目に授業を受けて、昼休憩は蓮先輩といつも通りちゅっちゅして・・・今日も蓮先輩にヘニャヘニャにされちゃったんだよね。格好良かったなぁ・・・。

 でも昨日蓮先輩に触られて勃っちゃったのを思い出してちょっとソワソワしちゃったりして。

 こないだまではキスまでで精一杯だったのに、もっと蓮先輩に触って欲しくなっちゃったりしてる僕。

 ・・・もしかして僕ってハシタナイってやつ!?


 あ、いや違う違う、今はそういう話じゃなくて。危ない、気がついたら思考が蓮先輩の事に逸れてしまう。




 とにかく、いつも通りに1日を過ごした僕は放課後蓮先輩が迎えに来てくれるのを教室で待ってたんだけど。

 何だか今日は生暖かい視線を向けてくるような気がするクラスメイトの1人が、先輩が呼んでるよ!って教えてくれたから蓮先輩かな?って鞄を持って廊下に向かったんだ。


 そしたら突然、僕より頭ひとつ分くらい背の高い美人な先輩?に腕を組んでそう言い放たれました。


 ・・・とりあえずどなた様?え、初対面だよね??


 え、本当に誰?って困惑してしまった僕はコテリと首を傾げつつその先輩に聞いてみたんだけど。



 「はぁ!?僕の事知らないの!?信じられない!」

 「えぇ・・・?ごめんなさい?」



 何故か余計に怒らせてしまった。

 僕、先輩って蓮先輩とみっくん先輩くらいしか話す人居ないし・・・怒られても知らないもんは知らないよぉ。

 うーん・・・蓮くんって言ってたし蓮先輩のお知り合いなのかな?相応しいって何の話?僕って調子に乗ってたの?



 「えっと・・・?蓮先輩のお知り合い、と言うことでしょうか?」

 「ふんっ!お知り合いっていうか未来の恋人っていうか?」

 「え?未来の恋人?」

 「そう!蓮くんみたいに完璧な人、僕以外に相応しい恋人なんて居ないんだから!だからキミさ、もう蓮くんに付き纏うのやめてくれない?迷惑」

 「え?嫌ですけども」




 理解不能すぎて思わずコテリと首を傾げながら即答してしまった。

 蓮先輩に迷惑だから近寄んなって言われるならどんなに悲しくてももちろん従いますけども。だって蓮先輩が嫌がる事はしたくないし。

 でも僕この人知らないし。知らない人にそんな事言われましても。っていうか相応しいって何?



 「は・・・はぁ!??」


 あ、また怒らせてしまったかもしれない。どうしよ、意味分からなさすぎてちょっと面倒になってきた。



 「キミ、今嫌だって言った!?」

 「はい、言いましたねぇ」

 「な・・・なっ!」


 顔を真っ赤にしてプルプル震え出してしまった謎の先輩。

 っていうかお名前教えてくれないのも困る。蓮先輩に確認しようにも美人の先輩らしき人って事しか伝えられないし。



 「お!姫ちゃん!1年のクラスで何してんの?」


 僕が心底困っていたら、ガバって抱きつくみたいにして赤い髪の毛の不良さんが美人先輩に話しかけてきた。

 ・・・また知らない人が増えてしまった。多分この人も先輩なんだよね?美人先輩連れてってくれないかなぁ。



 「ちょ、やめて!僕に触って良いのは蓮くんだけなんだから!もう!僕はこの身の程知らずに忠告しに来ただけ!」

 「はぁ?姫ちゃんまだ諦めてなかったの?レンは無理だって。・・・っておい!もしかしてこの子蓮の豆柴ちゃんじゃね?」



 今気づいたって感じで僕に視線を向けた赤髪先輩がみるみるまに真っ青になっていって。


 「へ?あの、大丈夫ですか?顔色が・・・え?本当に大丈夫です??」



 美人先輩、姫ちゃんって呼ばれてるんだなぁ、じゃあ蓮先輩にも姫ちゃん先輩らしいですって言ったら分かるかなぁ?なんて考えてたのもすっ飛ぶくらい赤髪先輩が真っ青になって冷や汗をかき始めて。


 保健室!?あ、病院の方が良い!??


 思わず美人先輩に詰められてた事すらも忘れて赤髪先輩の心配をしてしまった。




 「だっ、大丈夫だ、豆柴ちゃんは優しいんだな。おま・・・っ、バカお前マジでレンにブチギレられるぞ!?レンが居ねぇうちに帰れ!ほら!早く!」

 「はぁ!?何で僕がキレられるの!?」

 「いやマジで!本当に!帰ってくれ!」




 「・・・・・・もう遅いかもなぁ?」






 豆柴ちゃんって僕の事?なんてコテリと首を傾げつつ、この状況どうしたら良いんだろうって2人の言い争い・・・痴話喧嘩?を聞いていたら愛しい愛しい蓮先輩の声が後ろから聞こえてきて。



 パって振り返ったと同時に蓮先輩に思いっきり抱きしめられていた。


 チラリと見えた教室の扉から匠が携帯をこちらに向けつつグッて親指を立てていたから、もしかしたら匠が蓮先輩に連絡してくれたのかも。

 正直どうしたら良いのか不明すぎて困ってたから助かったぁ。




 「レン・・・!」
 「蓮くんっ!」


 赤髪先輩と美人先輩のハモった声が蓮先輩の名前を呼んだけど、同じ人を呼んだとは思えないくらい声色が違って。


 心底嬉しそうな美人先輩の声色に比べて世界が終わりそうな程悲惨な声色の赤髪先輩。

 ・・・大丈夫かな?



 「蓮くんっ!僕、ちゃんと忠告しといてあげたからね!こんなチンチクリンに付き纏われて迷惑だったでしょ?明日からは僕がお弁当持ってくるし心配しなくていいよっ!」

 「バ・・・ッカ!おま、今すぐ謝れマジで本当に!」

 「はぁ?なんで?僕何も悪いことしてないし。蓮くんだってこんなチンチクリンと一緒にいるより僕みたいな美人と一緒にいる方が良いに決まってるよね?」



 ・・・あの赤髪先輩、苦労性なのかな?なんか不憫になってきた。美人先輩、ちゃんと言う事聞いてあげてって気持ちになっちゃう。

 なんて事を考えていたら。



 「・・・・・・結翔は世界一可愛いけど?っつーかお前、誰?」


 蓮先輩がひんやりとした声でそう言った。



 あれ?知り合いじゃないの?




 「・・・・・・え?冗談、だよ、ね?同じクラスだし・・・話した事もある、のに・・・」

 「ふーん、お前同じクラスなんだな。俺、蜜樹とそこに居るその仲間たちくらいしか覚えてねぇし。っつーか俺、お前に興味ねぇから覚える気起きねぇっつーか」

 「レ、レン!わかった、オッケー、コイツがマジですまんかった!ちゃんと言い聞かせておくから、な?」

 「あー・・・、まぁお前がそう言うなら?任せるけど。次俺の大事な恋人にちょっかいかけたらマジで潰すからな」

 「レン~・・・マジでありが「「恋人!?」」




 「・・・何で結翔まで驚いてんの?結翔は俺の恋人だろ?」




 ・・・・・・恋人?ペットって言ってた、よね?あれ?ん??



 突然の恋人宣言に、美人先輩より僕の方が驚いて連先輩を見上げてポカンと口を開けてしまう。



 「え・・・えぇ?だって、だって蓮先輩、ペットって・・・アニマルセラピーだって・・・えぇ??」

 「・・・あー。あれか。そんときはそう思ってたけどもう違う。俺、ちゃんとその後告白しただろ?」

 「コクハク・・・告白!?いつですか!??」

 「あー・・・。これは1回ちゃんと話さないとダメそうだな?でももう結翔は俺のだから嫌だって言っても離さねぇよ?」

 「え?えぇ??」

 「じゃ、そっちはお前に任せたからな。俺らは帰る」

 「お、おー・・・。ほどほどになぁ・・・?」



 グッて眉間に皺を寄せた蓮先輩にヒョイって抱き上げられて。


 困惑している間に蓮先輩のお家まで連れ帰られてしまった。



 ・・・・・・蓮先輩のお家!?



 
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