渡り廊下の恋

抹茶もち

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凄く甘くて少しだけほろ苦い

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 「とりあえず腹減った。結翔、食べよ?」

 イジイジしているみっくん先輩をスルーした蓮先輩に手を引かれていつもお昼を食べている日陰に腰を下ろしたんだけど。

 ・・・みっくん先輩そのままにしちゃっていいのかな?



 コテリと首を傾げつつ蓮先輩に促されるままにお弁当を開いた。



 「あぁ~!うっまそうなお弁当だぁ!もしかして蓮、ゆいくんにお弁当持ってきてもらってるのぉ?」

 「そう。結翔の愛妻弁当、いいだろ。やんねぇよ」

 「え、これゆいくんが作ってるのぉ!?すっごい!俺にもひと口ちょーだいよぉ!」

 「やだむりだめ」

 「蓮くんのケチンボっ!」

 「ケチで結構」



 さっきまでイジイジしていたみっくん先輩だけど、知らない間に復活してまた蓮先輩に絡んでる。

 その気兼ねないやりとりに、本当に仲良しさんだなぁってちょっと微笑ましくなっちゃった。


 にこにこしながら特に口を挟まずに自分のお弁当を食べてたら、なんだか熱い視線を感じて視線を上げるとみっくん先輩が何故か僕をジッと見つめてた。



 ・・・あれ?これ、僕じゃなくて僕のお弁当見てるのかな?



 コテリと首を傾げてみっくん先輩の視線を追うとシッカリと僕のお弁当に注がれていて。

 お腹がすいたならみっくん先輩も可愛らしいお弁当箱を持ってるんだから、食べれば良いのに。



 「みっくん先輩、どうしました?お弁当食べないんですか?」

 「え~、食べるけどさぁ、俺もゆいくんの手作り料理食べたい!」

 「え?僕の?」

 「そう、ゆいくんが作ったのが食べたいのぉ~!」

 「良いですけども・・・普通のお弁当ですよ?」



 どうぞってお弁当箱を差し出すと、みっくん先輩がキラッキラの瞳で破顔した。

 そんなにお腹が空いてたのかなぁ?なんて思ってたんだけど。



 「いやダメだから。結翔もそんなに易々と餌付けしちゃダメだからな?」



 蓮先輩がみっくん先輩の頭をガシって片手で掴んで止めてしまった。


 「いでででで・・・っ!良いじゃんかぁ~!ゆいくん~助けてぇ~!」



 あれれ?ダメだったみたい。



 「えーっと・・・?ごめんなさい、僕蓮先輩が嫌がる事はしたくないので、蓮先輩がダメって言うならダメですっ!でも蓮先輩、みっくん先輩痛そうだから頭は離してあげた方が良いと思います」



 餌付け?ってキョトリとしながらも、お弁当を置いてペコリと頭を下げてみっくん先輩にごめんなさいしてから蓮先輩のシャツをクイっと引っ張ってそう言うと、蓮先輩がみっくん先輩から手を離して僕の頭を撫でてくれた。


 「結翔は優しいなぁ。蜜樹はちょっと雑に扱うくらいが丁度いいから大丈夫だよ」


 「そう、なんですか・・・?」


 「そうそう。じゃあ続き食べようなぁ。はい、あーん」

 キョトリとしてしまった僕の頭をもう1度撫でてくれた蓮先輩は、僕がさっき置いたお弁当箱を手に取って、箸でひと口サイズにしただし巻き卵を口元に持ってきてくれた。


 反射でお口をパカリと開けた僕は、優しく放り込まれただし巻き卵をもぐもぐと咀嚼した。うん、今日のだし巻き卵もいい感じに出来てる。よかったぁ!


 「・・・えぇ?コレ、本当に蓮?ニセモノじゃないのぉ?」


 「あ?ニセモノってなんだよ。んなわけねぇだろ?お前大丈夫?」


 「あ、この返しはやっぱ蓮だ。ほぁ~・・・。こないだから思ってたけどやっぱり別人みたいじゃあん。蜜樹くんびっくりだよぉ!」


 「そぉか?お前はとりあえず飯食え。昼終わるぞ?」

 「あ、うん、食べるけどさぁ?俺、砂糖吐きそうって意味が初めて分かった気がするぅ~。しょうがないからお気に入りは諦めたげるけどぉ、2人にチョッカイかけるのはやめなぁい!仲間外れは寂しいからぁ!」

「なんでそうなった。チョッカイも諦めろよ・・・。つーか真面目に食え、俺も早く食いたい」



 蓮先輩がみっくん先輩と話している間もずっと僕のお口の中にお弁当を絶え間なく放り込んでくれてるから、僕はひたすらもぐもぐと咀嚼し続けてたんだけど。


 
 蓮先輩が俺も早く食いたいって言ってるのを耳が拾ってしまった。

 そうだよね、僕に食べさせてくれてるから蓮先輩は食べれないよね・・・!


 ハッて気付いた僕は蓮先輩のお弁当を手に取って、あーんって口元に持っていった。


 「お、食わせてくれるの?嬉しい、ありがとな」


 お礼言われた、嬉しいっ!



 にへへへってニマニマしながらもぐもぐしてたら、みっくん先輩の力の抜けたような声が聞こえてきた。




 「あー・・・本当に砂糖吐いちゃいそぉ~・・・」



 みっくん先輩、お弁当に何か甘いものでも入ってたのかな?




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