渡り廊下の恋

抹茶もち

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初めての外出デート

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 蓮先輩に手を引かれながら辿り着いたのは少し奥まった場所にある隠れ家みたいなカフェだった。

 ちょっと意外。桃のフェアとかしてるカフェのイメージってこう・・・なんか女子高生がキャッキャしながら写真撮ってる感じだったから。

 まだ外観だけしか見てないけど、なんだか落ち着いた雰囲気で居心地が良さそう。


 「ココ、俺のバイト先」

 「えっ!?そうなんですか!?わぁ・・・、すっごくオシャレな所ですねっ!でも僕が来ちゃってよかったんですか?そのうち蓮先輩のお仕事してる姿見たくなっちゃって押しかけちゃうかもですよ?」

 「結翔ならいつでも大歓迎。なんなら俺がバイト入る時に一緒に来ればいいよ。でも他の奴には内緒な?バイト先結翔以外には誰にも教えてないから。」


 お店を目の前にしてそんな事を言う蓮先輩に思いっきり何度も首を縦に振る。
 僕だけって言われて舞い上がっちゃうし、いつでも蓮先輩のお仕事姿を拝むお許しが出ちゃった!

 なんだか供給過多で胸が一杯になってジタバタしたくなっちゃう。外だからしないけど。我慢するけど!


 なんだかソワソワムズムズしながら蓮先輩に着いてカフェに入ると、真っ白なシャツに黒のソムリエエプロンを着けたイケメンさんが出迎えてくれた。


 「いらっしゃいま・・・なんだ、蓮か。お前今日バイトだっけ?」

 「今日は客っすよ」

 「へぇ。1人とか珍しいな」

 「・・・後ろに連れ居ますけど俺のなんでチョッカイ掛けないでくださいね」

 「え?まじ?蓮のコレか?なになにどんな子なの!?」

 「そのジェスチャーオッサンくさいっすよ」

 「えっ、嘘だろ!?俺まだ20代なんだけど!」



 僕がソワソワムズムズしている間に蓮先輩がイケメンさんとなにやらお話していた。正直蓮先輩のバイト先に足を踏み入れてしまった事に舞い上がってほぼ聞いていなかったんだけど。

 だってココ、聖地だよね。蓮先輩があの制服を着てお仕事してるの想像しちゃって知らず知らずのうちに頬が熱くなる。絶対に、ぜーったいに格好いいと思う。


 ピンクに染まっている頬っぺたをそのままにぼんやりと蓮先輩を見つめていると、蓮先輩の前からひょっこりとイケメンさんが顔を覗かせた。



 「・・・なるほど意外だ。こんちには、俺優斗ゆうとってんの。蓮の先輩。よろしくね」


 なるほど意外だってなんだろう?ってキョトリとしながらもペコリと頭を下げた。蓮先輩の先輩さんに失礼な事はできないからねっ!

 えっと・・・蓮先輩の先輩だから・・・先輩の先輩は僕にも先輩??んー・・・?先輩呼びでいいのかな?よく分かんなくなってきた。

 うん、まぁいっか。なんにせよ人生の先輩なのには変わりないよね!


 「こんにちは!蓮先輩の後輩の五十鈴結翔です。宜しくお願いします、優斗先輩っ!」

 「・・・優斗先輩だって!可愛いなぁこの子!」

 パァッと明るい笑顔になった優斗先輩に突然頭をグリグリと撫でられ、その力強さに僕の頭が物理的にぐわんぐわん振り回される。

 
 されるがまま、あわわわってなってたら蓮先輩が優斗先輩の手をグイッと取ってペイって放り投げてしまった。

 蓮先輩の優斗先輩への扱いが雑だっ!先輩にそんな事して良かったの!?って僕が目を白黒させている間に、呆れたような優斗先輩とブスッとした蓮先輩が話を続けている。



 あれ?これが通常運転っぽい?




 「お前・・・。重い男は嫌われるぞ?」

 「余計なお世話っすよ。優斗さんの馬鹿力で触ったら結翔の頭もげるでしょうが。やめてくださいよ。金輪際触らなくていいっす」

 「お前なぁ・・・。しかし何事にも冷めてる蓮がそんな風に独占欲丸出しにするなんてな。お兄さんは何だか嬉しいよ」

 「うるせぇっす。仕事してください」

 「へいへい。お好きなお席へど~ぞ~。結翔、また後でお話ししよぉな」

 「へぁ?あ、はいっ!」


 うむむ?って首を傾げてたら急に話を振られてビックリして変な声を出してしまった。

 「結翔、優斗さんは無視していいよ」

 そんな僕の頭をポンポンっていつも通り優しく撫でてくれた蓮先輩に、真顔でそう言われてキョトリとしてしまう。


 「お前先輩をもう少し敬え!」

 「敬ってますよ~。あぁ尊敬尊敬」




 軽口の応酬を続ける2人に、なるほど仲良しさんなんだね、うん!って納得した僕は、ふふってニッコニコになりながら蓮先輩の後ろに着いて行った。


 また知らない蓮先輩の姿が見れて、僕はとっても嬉しいですっ!



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