渡り廊下の恋

抹茶もち

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初めての外出デート

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 「あれ?ゆいくん出かけるの?」
 「なんかすっごくオシャレしてる!可愛い~!」
 「どこ行くの?」
 「デート?」
 「イケメン?」
 「それとも可愛い系?」


 ───待ちに待った蓮先輩と約束していた土曜日。

 姉ちゃんズや兄ちゃんに出かけるって言うと、誰と?どこに?って質問攻めにされるのが分かっていたから父さんにだけ出かけるからご飯当番お願いしますって言ってソロリと出かけようとしてたんだけど、いざ玄関を出ますって時に姉ちゃんズに見つかってしまった。

 好きな人と出かけるって家族に言うの、なんか恥ずかしいし内緒にしたかったんだけど。
 しかも完璧僕の片想いだしね。


 「・・・先輩とケーキ食べに行くだけだよ」


 嘘はついてないよ、嘘は。


 「・・・ふぅ~ん?先輩、ねぇ?」
 「怪しい。すっごく怪しいねぇ」


 あ、これはまずい。このまま質問攻めされるやつ。僕の本能が今すぐ家から出ないと遅刻するって言ってる!!


 2人顔を見合わせてニンマリしはじめた姉ちゃんズに一気に危機感が膨れ上がって、後ろ手で玄関の扉を押し開けた。


 「じゃあ姉ちゃん!僕行くね!行ってきます!!」

 「あ!コラ!」
 「ゆいくんが逃げたぁ!」



 僕だって伊達に長年姉ちゃん達の弟やってない。こういう時は逃げるが勝ちです!


 後ろから追いかけてきた声を華麗にスルーして蓮先輩と待ち合わせしている駅に向かうべく歩みを進めた。




 あー・・・・・・、今更緊張してきた。服、大丈夫かな?
 放課後匠に付き合ってもらって買った真新しい服に身を包む自分を見て不安になる。


 『ゆいはこういう可愛い感じのが似合うと思うんだよね』なんて匠に言われて買ったのは、ネイビーのダボっとしたVネックTシャツと白と黒に細い茶色の線が混じっている大きいチェックのストンとしたパンツ。

 Tシャツの首元には白のラインが入っていて、なんか学校に着て行ってるニットベストみたいって匠に言ったら半目で見られちゃったんだよね。それにしても柄物のパンツなんて初めて履いたからなんだかソワソワする。



 僕はだいたい無難に無地のTシャツかパーカーにジーンズみたいな組み合わせばっかりしてるからなぁ。オシャレって難しい。



 緊張で心臓大爆発しそうになっていると、携帯の通知音が鳴った。



 『ゆいの事だから今頃不安になってるんじゃない?僕の見立ては正しいよ、絶対可愛いから大丈夫!デート楽しんでね!ちなみに僕も今日は陸とデートなんだ。また話聞いてね』



 匠から届いたメッセージに思わずコテリと首を傾げつつ笑ってしまう。


 匠ってエスパーの魔法使いなのかも。僕の緊張、一気にどっかいっちゃった。



 ありがとう、と呟きながら柴犬が大きなハートを抱えて大好き!って言ってるスタンプを送る。

 本当に匠には助けられてばっかりだなぁ。




 先程よりは幾分か軽くなった足取りで待ち合わせ場所の近くまで行ったんだけど。



 待ち合わせ場所には何やら綺麗なお姉様方に囲まれながら無表情で携帯を弄っている蓮先輩が居た。





 ・・・・・・え、どーしよう。







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