渡り廊下の恋

抹茶もち

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夢のような日々

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「ほら、口開けて?」

ふにゃふにゃになっちゃいそうになりながら蓮先輩の言う通りにお口をカパリと開けると、口の中に小さなマカロンがころりと入ってきた。

反射で口を閉じてもぐもぐと噛み締めると甘酸っぱいラズベリーの味が口内に広がり自然と瞳がキラキラと輝く。


「初めてのマカロン、どう?」


目を細めて僕を見る蓮先輩にそう聞かれ、何度も首を縦に振った僕は口の中のマカロンをゴクリと飲み込んで口を開いた。


「すっごく美味しかったです!ラズベリー味で甘酸っぱくて・・・マカロンってこんなに美味しいものだったんですねっ!」


瞳を輝かせたまま蓮先輩を見上げてそう言うとニッコリと笑った蓮先輩が僕の後頭部に手を添えた。


また頭撫でてくれるのかな?なんて思って僕もニコニコしてたら急に蓮先輩の顔がガッて近付いて。


「俺も味見させて?」

「・・・へぁ?」


僕の後頭部を大きな手で固定したまま吐息がかかるような至近距離でそう言った蓮先輩。


思わず変な声を出しながらもそのお顔に見惚れているうちに気付けば唇を塞がれていた。




昨日のキスとは違い少しも離れない唇に息継ぎが出来なくて息が苦しくなってくる。でも離れようと思っても蓮先輩の手がしっかり僕の頭を固定しちゃってるから動けなくて。

ついに我慢できなくなってくっついてる唇をずらすようにプハって口を開いた。


やっと酸素が吸えるってハー、ハーって必死に呼吸をしてたら今度はかぶりつくみたいに僕の唇をパクって蓮先輩の唇に覆われて。


「んぅ・・・っ!」


ビックリして目をまん丸にしたまま変な声出しちゃった。それが恥ずかしくてギュッて目を瞑ったら開いていた唇からにゅるって蓮先輩の舌が入り込んできたんだ。



「ん・・・ふぁ、あ・・・、んっ」


蓮先輩の熱い舌が僕の口内を味わうみたいにゆっくりと這っていく。

頬の裏や口蓋を余す事なく這った舌は所在が無くて奥に仕舞い込んでいた僕の舌を絡めとった。


舌を重ね合わされ、舐られ、吸われて。


なんだかゾクゾクした感覚が背中を走り抜けていく。


初めての感覚に恥ずかしい声が零れ落ちちゃうのに、それすら自分で気にならなくなっちゃうくらい頭がぼんやりとしていく。



しばらくの間蓮先輩の舌に翻弄され続けていると、ちゅぷり、と唇が名残惜しそうに離れていった。


「結翔可愛い・・・。口の中、甘酸っぱくてうまいな。じゃあ次はこれな?」


ハフハフと一生懸命息を整えようとしていると、今度は濃い緑色のマカロンを唇につけられる。


ボーッとしたままの頭は全く動いてくれなくて、反射で口を開いてもぐもぐと食べると僕が飲み込んだのを確認してまた唇を塞がれて味見をされる。


必死に蓮先輩の胸元に縋りついて何度も何度も繰り返されるその深いキスを受け入れ続けた。


そうやって全部のマカロンを食べさせられた僕はもうトロトロのふにゃふにゃで。


それを見て嬉しそうに目を細める蓮先輩は僕の顔中にキスの雨を降らせる。


ボーッとしてた頭が時間が経つにつれて少しずつ正常になってくるにつれて、さっきまでのエッチなちゅーとか今現在顔中に落とされる可愛がるみたいなちゅーを認識して羞恥にどんどん顔が熱くなっていく。


なんか変な声たくさん出しちゃったし・・・蓮先輩にえっちなちゅーされちゃったし・・・うわぁあああ!!


キャパオーバーになってしまった僕は思わず蓮先輩の胸元にぐりぐりと頭を擦り付けながら顔を隠した。


そんな僕をみて楽しそうにクツクツと笑った蓮先輩は、僕を落ち着かせるみたいに頭を優しく撫でてくれた。


「結翔、マカロン美味しかった?」


楽しそうに蓮先輩に聞かれたけど、正直最初のラズベリー以外の記憶は味より蓮先輩から与えられた快感だけで。


でもそれを言うのは恥ずかしかったから胸元に顔を埋めながらコクリと1度だけ頷いた。


よかった、って笑う蓮先輩。






本当は笑ってる蓮先輩のお顔が見たいけど・・・僕、しばらく顔を上げられそうにないよぉ。無念だぁ・・・!




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