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アニマルセラピー
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side:五十鈴結翔
蓮先輩に手を引いてもらいながら家への道を歩いていく。
体育祭の話とか、明日のお昼の事とか・・・色んな事をポツポツと話しながら穏やかに時間が過ぎていく。
蓮先輩と一緒にいる時は無言の時間だってたくさんあるのに、それさえもなんだか心地よくて自然と顔が緩んでしまう。
このまま家に着かなければいいのに、なんて思ってしまう。
でもやっぱり終わりは来ちゃうわけで。
視界の先に僕の家が見えてきてしまう。
「・・・蓮先輩、あそこが僕の家です」
もうバイバイなんてちょっと寂しいな、なんて思いながら空いている手で僕の家を指差すと蓮先輩が僕の指の先を視線で辿った。
「あの赤い屋根の家?」
「そうです。あっという間についちゃいました」
寂しさについつい眉を下げながらそんな事を言う僕の手を蓮先輩がギュッと1度強く握ってくれる。
「なぁ結翔、次は俺となんか甘いもんでも食べに行こう」
真っ直ぐ前を向いて少し頬を染めた蓮先輩にそう言われて、目をまん丸にして驚いてしまう。
まさか蓮先輩の放課後の時間を貰えると・・・?そういう事?え、いいの!?誘ってもらっちゃったら僕遠慮なんてしないんだからね!?
胸に湧き上がる歓喜のままにその場に立ち止まり、僕の手を握ってくれている蓮先輩の手を両手でギュッと握る。
「本当ですか!?嬉しいです!行きます!行かせてくださいっ!」
パッと顔を上げて満面の笑みで蓮先輩を見上げると、僕の勢いに驚いたように目をパチパチしていた蓮先輩がブハッて吹き出して笑い始めた。
「あはは・・・ッ!本当結翔は可愛いなぁ。じゃあ約束な?」
肩を震わせたままそう言う蓮先輩に僕に可愛いは無縁じゃない?すっごい平凡顔の自覚あるんだけど?と一瞬首を傾げたけど、それよりも約束っていう言葉が嬉しくて勢いよくハイ!って頷いた。
そのまま家の前まで送ってくれた蓮先輩が、じゃあまた明日なって手をヒラリと振って踵を返す。
来た道をそのまま帰っていく蓮先輩の背中から目が離せない。
・・・もしかして蓮先輩のお家って駅前方向だったの?すぐ帰れるのにわざわざここまで送ってくれたって事・・・?
僕は蓮先輩のお家を知らないから本当にそうかは分からないけど・・・、その可能性に思い至って顔が真っ赤に染まり玄関先で思わずズルズルと座り込んでしまった。
会う度に好きが増えていっちゃう。蓮先輩はずるい。
少しの間1人で悶え、顔の熱が落ち着いた頃家に入った。
「ゆいくん!おかえりなさい!父さん、今日は腕によりをかけちゃったよぉ!」
「ゆいくーんっ!おかえりぃ!私達も作ったんだよぉ~!」
「ゆいくんおかえりなさい。今日は私たち頑張った」
「ゆいくんおかえり!ねぇゆいくん!俺もちゃんと手伝ったんだよ!」
「あらゆいくん、おかえりなさい。手を洗ってらっしゃいな」
玄関に入るとお腹が鳴ってしまいそうな香りがして首を傾げる。
兄ちゃんあたりが我慢できなくてデリバリーでも頼んだのかな?なんて思いながらリビングへ入ると、父さん、姉さんズ、兄ちゃん、母さんの順番でニコニコと声をかけられた。まさかの皆勢揃いで晩御飯の準備をしてくれていたみたい。
え?え?と驚いていると、母さんに背中を押されて洗面台に連れていかれたのでとりあえず手を洗う。
「今日の朝、ゆいくんの元気が無かったから皆心配してたのよ?なんでも話せって言うわけじゃ無いけど、もし話したい事があったら誰にでも良いから相談してね?家族みぃんなゆいくんの味方なんだから」
手を洗っている僕を満足そうに見た母さんは優しくそう言って僕の頭をひと撫でしてリビングへと戻っていった。
───心配してくれてたんだ。だから僕のためにみんな早く帰ってきてくれたの?
僕、そんなに顔に出ちゃってたのかな、なんてちょっと苦笑しちゃったけど、みんなの気持ちが嬉しくて心がジンと温かくなった。
「・・・みんなありがとう。心配かけてごめんね?ちょっと友達と気まずくなっちゃって落ち込んでたんだ。でもみんなのお陰でなんか勇気出たかも。ちゃんとお話してみる!」
リビングで僕の好物ばかりが並んだ机を前にふにゃりと顔を綻ばせそう言うと、みんなホッとしたように笑ってくれた。
その後ワイワイといつものようにご飯を食べて、みんなにもらった勇気が萎まないうちにと静にメッセージを送った。
『静、この間は先に帰っちゃってごめんね。僕、あの時言った事は後悔してないけど、静は僕にとって大事な友達だからこのまま気まずいのは嫌だよ。ちゃんと話したい』
何度も打ち直して何度も確認したそのメッセージを送ったのはいつの間にかもう遅い時間で、もう静は寝てしまっただろうと慌ててお風呂に入る。
やはりその日結翔が起きている間に携帯が鳴る事はなくそのまま就寝した。
蓮先輩に手を引いてもらいながら家への道を歩いていく。
体育祭の話とか、明日のお昼の事とか・・・色んな事をポツポツと話しながら穏やかに時間が過ぎていく。
蓮先輩と一緒にいる時は無言の時間だってたくさんあるのに、それさえもなんだか心地よくて自然と顔が緩んでしまう。
このまま家に着かなければいいのに、なんて思ってしまう。
でもやっぱり終わりは来ちゃうわけで。
視界の先に僕の家が見えてきてしまう。
「・・・蓮先輩、あそこが僕の家です」
もうバイバイなんてちょっと寂しいな、なんて思いながら空いている手で僕の家を指差すと蓮先輩が僕の指の先を視線で辿った。
「あの赤い屋根の家?」
「そうです。あっという間についちゃいました」
寂しさについつい眉を下げながらそんな事を言う僕の手を蓮先輩がギュッと1度強く握ってくれる。
「なぁ結翔、次は俺となんか甘いもんでも食べに行こう」
真っ直ぐ前を向いて少し頬を染めた蓮先輩にそう言われて、目をまん丸にして驚いてしまう。
まさか蓮先輩の放課後の時間を貰えると・・・?そういう事?え、いいの!?誘ってもらっちゃったら僕遠慮なんてしないんだからね!?
胸に湧き上がる歓喜のままにその場に立ち止まり、僕の手を握ってくれている蓮先輩の手を両手でギュッと握る。
「本当ですか!?嬉しいです!行きます!行かせてくださいっ!」
パッと顔を上げて満面の笑みで蓮先輩を見上げると、僕の勢いに驚いたように目をパチパチしていた蓮先輩がブハッて吹き出して笑い始めた。
「あはは・・・ッ!本当結翔は可愛いなぁ。じゃあ約束な?」
肩を震わせたままそう言う蓮先輩に僕に可愛いは無縁じゃない?すっごい平凡顔の自覚あるんだけど?と一瞬首を傾げたけど、それよりも約束っていう言葉が嬉しくて勢いよくハイ!って頷いた。
そのまま家の前まで送ってくれた蓮先輩が、じゃあまた明日なって手をヒラリと振って踵を返す。
来た道をそのまま帰っていく蓮先輩の背中から目が離せない。
・・・もしかして蓮先輩のお家って駅前方向だったの?すぐ帰れるのにわざわざここまで送ってくれたって事・・・?
僕は蓮先輩のお家を知らないから本当にそうかは分からないけど・・・、その可能性に思い至って顔が真っ赤に染まり玄関先で思わずズルズルと座り込んでしまった。
会う度に好きが増えていっちゃう。蓮先輩はずるい。
少しの間1人で悶え、顔の熱が落ち着いた頃家に入った。
「ゆいくん!おかえりなさい!父さん、今日は腕によりをかけちゃったよぉ!」
「ゆいくーんっ!おかえりぃ!私達も作ったんだよぉ~!」
「ゆいくんおかえりなさい。今日は私たち頑張った」
「ゆいくんおかえり!ねぇゆいくん!俺もちゃんと手伝ったんだよ!」
「あらゆいくん、おかえりなさい。手を洗ってらっしゃいな」
玄関に入るとお腹が鳴ってしまいそうな香りがして首を傾げる。
兄ちゃんあたりが我慢できなくてデリバリーでも頼んだのかな?なんて思いながらリビングへ入ると、父さん、姉さんズ、兄ちゃん、母さんの順番でニコニコと声をかけられた。まさかの皆勢揃いで晩御飯の準備をしてくれていたみたい。
え?え?と驚いていると、母さんに背中を押されて洗面台に連れていかれたのでとりあえず手を洗う。
「今日の朝、ゆいくんの元気が無かったから皆心配してたのよ?なんでも話せって言うわけじゃ無いけど、もし話したい事があったら誰にでも良いから相談してね?家族みぃんなゆいくんの味方なんだから」
手を洗っている僕を満足そうに見た母さんは優しくそう言って僕の頭をひと撫でしてリビングへと戻っていった。
───心配してくれてたんだ。だから僕のためにみんな早く帰ってきてくれたの?
僕、そんなに顔に出ちゃってたのかな、なんてちょっと苦笑しちゃったけど、みんなの気持ちが嬉しくて心がジンと温かくなった。
「・・・みんなありがとう。心配かけてごめんね?ちょっと友達と気まずくなっちゃって落ち込んでたんだ。でもみんなのお陰でなんか勇気出たかも。ちゃんとお話してみる!」
リビングで僕の好物ばかりが並んだ机を前にふにゃりと顔を綻ばせそう言うと、みんなホッとしたように笑ってくれた。
その後ワイワイといつものようにご飯を食べて、みんなにもらった勇気が萎まないうちにと静にメッセージを送った。
『静、この間は先に帰っちゃってごめんね。僕、あの時言った事は後悔してないけど、静は僕にとって大事な友達だからこのまま気まずいのは嫌だよ。ちゃんと話したい』
何度も打ち直して何度も確認したそのメッセージを送ったのはいつの間にかもう遅い時間で、もう静は寝てしまっただろうと慌ててお風呂に入る。
やはりその日結翔が起きている間に携帯が鳴る事はなくそのまま就寝した。
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