渡り廊下の恋

抹茶もち

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アニマルセラピー

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しばらくそうして背中をトントンしてくれていた蓮先輩のお陰で少し気持ちが落ち着いてきた。

ドキドキするのに落ち着くこの感じ、なんなんだろ。


そんなふうに思いながらもまだうっすらと赤い顔をソロっと上げて蓮先輩を見上げた。


「蓮先輩、お弁当作ってきたんです。一緒に食べましょう?」

「お!サンキューな。実はめちゃくちゃ楽しみにしてた」


ハハって嬉しそうに笑った蓮先輩は僕の頭をクシャクシャって撫でて僕を抱き込んでいた腕を離した。

蓮先輩の熱が離れていくの、内心では少し寂しく思いつつも蓮先輩の隣に移動してずっと抱え込んでいたお弁当箱を1つ手渡す。


「お口に合うか分かりませんが、どうぞ!」


いそいそと包みを解いて蓋を開けた蓮先輩は、目をまん丸にして美味そう・・・ってボソッと呟いた。

その思わず出てしまった、みたいな呟きに擽ったくなりつつヘラリと笑って自分もお弁当を広げる。


「唐揚げって作るの大変なんだろ?すげぇな・・・!いただきます!」

瞳をキラッキラにして手を合わせる蓮先輩にどうぞって言って自分もいただきます!って手を合わせた。


迷いなく唐揚げを持ち上げた蓮先輩は、大きな口を開けて唐揚げを丸々口の中に放り込んだ。


モグモグと咀嚼する蓮先輩を少しドキドキしながら見つめる。

味付け大丈夫だったかな?朝ちょっと上の空だったから不安なんだけど・・・。


ソワソワとしながら蓮先輩の顔色をチラチラと伺っていると、ゴクリと飲み込んだ蓮先輩がバッて僕に視線を向けた。



「・・・うっまぁ!結翔!コレめちゃくちゃ美味い!」


パァって効果音が付くんじゃないかってくらいの満面の笑みを浮かべる蓮先輩に、ホッと息を吐き出す。


「お口に合って良かったですっ!」


思った以上に喜んでくれている蓮先輩に嬉しくなって僕もニッコニコに頬が緩む。


「まじですげぇなぁ。俺こんな美味いの毎日食わしてもらえるの?デザートなんかじゃ対価にならないじゃん」


真剣にそう考え込んでしまった蓮先輩に、思わずクスクスと笑ってしまう。


「そんな事ないですよ。僕蓮先輩とお昼食べるだけでもすっごーく嬉しいのに、大好きな甘い物まで貰えるなんて僕の方が貰いすぎなくらいですっ!」


「・・・結翔、俺とお昼食べるのそんなに嬉しいの?」


キョトンとした蓮先輩に、余計な事言っちゃったかも!って焦る。


どうしよう、ポロッと本音がぁ・・・!そんなに仲良くしてもらってる訳じゃないはずなのに不自然だったよね!?


「えぁ!?んと、その・・・」


ジワジワと頬に赤みを戻していく結翔に、蓮はフッと悪戯っ子のような顔で笑いながら結翔の顔を覗き込む。


「ね、教えて?」


そのなんだか嬉しそうに見える蓮の顔を見た結翔は、更に顔を真っ赤に染め上げた。


「うぅー・・・。そ、そりゃあ・・・う、嬉しいですよぉ」



パッと顔を両手で隠して素直にそう言う結翔に蓮も薄らと頬を染める。



「ハハ・・・ッ。俺も結翔と飯食えてすげぇ嬉しいよ」



隠せていない結翔の耳元の赤さに目を細めながら甘い声でそう言う蓮の甘い声に、顔を隠したままピクリと反応しソロっと顔を上げた結翔の瞳は少し潤んでいた。


「本当ですか・・・?」


体育座りをして座っている結翔が少し上にある筈の蓮の顔を見上げようと顔を上げた瞬間、蓮の綺麗な顔が結翔の視界いっぱいに広がった。







え・・・?







その後すぐ唇に触れた、柔らかくて少し冷たい感触に結翔は何が起こったのか分からずパッチリと目を開いたまま固まった。




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