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アニマルセラピー
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「あのね、今日お昼は別々だったじゃん?僕、先輩と一緒に食べてたんだけどね、明日からも一緒にお昼食べようって話になって。僕、明日からもその先輩と一緒にお昼が食べたいなって・・・」
4人で学校近くのカフェに入って注文をしたものが届いたタイミングで、早く言っちゃったほうがいいよねって一息ついてからそう言うと、匠以外がピシリと固まってしまった。
「・・・それは俺らが一緒じゃダメなのかな?」
匠にツンツンと突っつかれてハッとした陸が、まだ固まってる静の方をチラチラと見ながらそう言った瞬間、匠にスパーンッと叩かれイテッて捨てられた大型犬みたいな顔して匠に視線を向けた。
「普通に考えてダメでしょ!邪魔しないの!」
ほっぺをプックリと膨らませた匠にそう言われて、情けない顔しながらだってぇ~って言ってる陸。この2人本当に可愛いなぁ、なんて頬が緩んでしまう。
「僕ね、先輩に誘ってもらえてすっごく嬉しかったんだ。いつまで一緒に食べてもらえるか分かんないんだけど・・・。でも今日すっごく幸せだったから、先輩が許してくれる限りお昼だけでも一緒に居れたらなって・・・。みんなも一緒で良いかって聞いてないし・・・ごめんね」
それに・・・できれば今日みたいな穏やかで擽ったいような時間を、また蓮先輩と2人で過ごしたくて、とは恥ずかしくて言えないけど。
「ね!この通りゆいがすっごい幸せそうなんだもん。僕だってお昼一緒に食べれないのは寂しいけど・・・、でもお昼以外は一緒に居られるんだから。ゆいが幸せで居てくれるのが1番だよ」
「うーん、確かにそうなんだけどね・・・」
歯切れ悪くそう呟いた陸の後に、今まで固まったまま動かなかった静がポツリと呟いた。
「・・・・・・先輩って誰?」
ぐ・・・っ!やっぱり静に聞かれるかぁ。あわよくばこのまま名前は伏せようと思ってたのに、と思わず苦笑してしまう。
「あー・・・、田原先輩だよ」
僕が蓮先輩の名前を口に出した瞬間、静の眉がピクリと動いた。
「それって全校集会の時の人だよね?なんで今日一緒に食べる事になったの?」
「うん、そうだよ。なんでって・・・今日は蓮先輩が誘ってくれたから」
「あの先輩、良い噂聞かないしやめた方がいい。断って」
「ちょ・・・!静!」
「匠だって陸だってそう思うだろ?いつの間にそんな仲になったの?あんな顔だけの奴絶対にダメだ」
すっごく嫌そうな顔をして吐き出すようにそう言う静に、匠が思わずといった感じで止めてくれているのを見ながら思わず顔がスンッと真顔に戻ってしまう。
「蓮先輩の噂は僕だって知ってる。静は僕の事心配してくれてるんだよね?ありがとう。でも僕の知ってる蓮先輩は酷い人じゃないし、まして顔だけの人なんかじゃない。まだ少しの時間しか関わったこと無いけど・・・でも少し変わってるかもしれないけど、すごく優しい人で。僕は噂の中の蓮先輩じゃなくて、僕の知ってる蓮先輩を信じたいんだ。ダメって言われても今僕から蓮先輩と離れる事は無いよ。ごめんね」
最後にはへにゃりと眉を下げながらもそう言い切った結翔に、静はグッと何かを堪えるかのような顔をして黙り込んでしまう。陸はオロオロとしてしまい、匠は結翔を心配そうに伺っている。
「・・・・・・ごめんね、せっかく久しぶりの寄り道なのに空気悪くしちゃった。僕今日は帰るね?また明日」
シンと静まり返ってしまった空気に居た堪れなくなった僕は、頼んでいたカフェオレを一気に飲み干して鞄を持ち、へにゃりと眉を下げたまま席を後にした。
「え!?ゆい待って!僕も一緒に帰る!陸、あとよろしく!」
「わ、わかった!」
自分のぶんの会計を済ませて外に出た結翔を追いかけて慌てて匠が外に出た後、静は大きなため息をついてゴンっと机に頭を打ち付けたまま突っ伏した。
4人で学校近くのカフェに入って注文をしたものが届いたタイミングで、早く言っちゃったほうがいいよねって一息ついてからそう言うと、匠以外がピシリと固まってしまった。
「・・・それは俺らが一緒じゃダメなのかな?」
匠にツンツンと突っつかれてハッとした陸が、まだ固まってる静の方をチラチラと見ながらそう言った瞬間、匠にスパーンッと叩かれイテッて捨てられた大型犬みたいな顔して匠に視線を向けた。
「普通に考えてダメでしょ!邪魔しないの!」
ほっぺをプックリと膨らませた匠にそう言われて、情けない顔しながらだってぇ~って言ってる陸。この2人本当に可愛いなぁ、なんて頬が緩んでしまう。
「僕ね、先輩に誘ってもらえてすっごく嬉しかったんだ。いつまで一緒に食べてもらえるか分かんないんだけど・・・。でも今日すっごく幸せだったから、先輩が許してくれる限りお昼だけでも一緒に居れたらなって・・・。みんなも一緒で良いかって聞いてないし・・・ごめんね」
それに・・・できれば今日みたいな穏やかで擽ったいような時間を、また蓮先輩と2人で過ごしたくて、とは恥ずかしくて言えないけど。
「ね!この通りゆいがすっごい幸せそうなんだもん。僕だってお昼一緒に食べれないのは寂しいけど・・・、でもお昼以外は一緒に居られるんだから。ゆいが幸せで居てくれるのが1番だよ」
「うーん、確かにそうなんだけどね・・・」
歯切れ悪くそう呟いた陸の後に、今まで固まったまま動かなかった静がポツリと呟いた。
「・・・・・・先輩って誰?」
ぐ・・・っ!やっぱり静に聞かれるかぁ。あわよくばこのまま名前は伏せようと思ってたのに、と思わず苦笑してしまう。
「あー・・・、田原先輩だよ」
僕が蓮先輩の名前を口に出した瞬間、静の眉がピクリと動いた。
「それって全校集会の時の人だよね?なんで今日一緒に食べる事になったの?」
「うん、そうだよ。なんでって・・・今日は蓮先輩が誘ってくれたから」
「あの先輩、良い噂聞かないしやめた方がいい。断って」
「ちょ・・・!静!」
「匠だって陸だってそう思うだろ?いつの間にそんな仲になったの?あんな顔だけの奴絶対にダメだ」
すっごく嫌そうな顔をして吐き出すようにそう言う静に、匠が思わずといった感じで止めてくれているのを見ながら思わず顔がスンッと真顔に戻ってしまう。
「蓮先輩の噂は僕だって知ってる。静は僕の事心配してくれてるんだよね?ありがとう。でも僕の知ってる蓮先輩は酷い人じゃないし、まして顔だけの人なんかじゃない。まだ少しの時間しか関わったこと無いけど・・・でも少し変わってるかもしれないけど、すごく優しい人で。僕は噂の中の蓮先輩じゃなくて、僕の知ってる蓮先輩を信じたいんだ。ダメって言われても今僕から蓮先輩と離れる事は無いよ。ごめんね」
最後にはへにゃりと眉を下げながらもそう言い切った結翔に、静はグッと何かを堪えるかのような顔をして黙り込んでしまう。陸はオロオロとしてしまい、匠は結翔を心配そうに伺っている。
「・・・・・・ごめんね、せっかく久しぶりの寄り道なのに空気悪くしちゃった。僕今日は帰るね?また明日」
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「え!?ゆい待って!僕も一緒に帰る!陸、あとよろしく!」
「わ、わかった!」
自分のぶんの会計を済ませて外に出た結翔を追いかけて慌てて匠が外に出た後、静は大きなため息をついてゴンっと机に頭を打ち付けたまま突っ伏した。
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