16 / 110
アニマルセラピー
6
しおりを挟む
side:五十鈴結翔
「結翔」
プリンを食べ終わった僕が、まだ昼休憩の時間は半分くらいしか終わってないからって心の中で何故か言い訳して蓮先輩の隣で穏やかに流れる時間を堪能していると、胡座をかいて壁に寄りかかっていた蓮先輩に名前を呼ばれた。
「はい!」
思わずシャキッて背筋を伸ばして蓮先輩の方に体を向けると、無言で自分の胡座の部分をポンポンと叩いていた。
胡座・・・脚?んん?僕も胡座したらいいの?って首を傾げてたら、蓮先輩がチョイチョイって手招きし始めた。
・・・来いって事?でももう既に肩触れそうなほど近いのに?あ、横じゃなくて前に来いってことかな?
成程!って思った僕は1回立ち上がって蓮先輩の目の前に座り直した。なんで隣じゃなくて前なのかは謎だけど、蓮先輩のお顔が真正面から見れるのも良いなぁ。
でも今度はニコニコしてる僕を見て蓮先輩がキョトンってしちゃった。
あれ?違った?って僕もまたキョトンとしちゃって、2人してキョトン顔でしばらく見つめ合ってたんだけど、蓮先輩が何か納得したみたいに1度頷いた。
「結翔、違う。こっち」
「え?・・・へあぁ!?」
キョトンとしてる僕の腕を掴み引き寄せるように引っ張った蓮先輩は、バランスを崩して蓮先輩の方に倒れ込んだ僕をそのままスッポリと抱き込んでしまった。
蓮先輩の胸元に抱き込まれてるから視界は蓮先輩でいっぱいだし、密着した胸元からは甘いムスクの香りがしてなんだかクラクラする。
鼓動はドクドクと壊れちゃいそうな程音を立て、顔は沸騰したかのように熱い。
突然の事に頭は真っ白でカチリと固まる事しか出来ず、そのまま蓮先輩のされるがままになっていると、ぎゅうっと力強く抱き込まれていた腕が少しだけ緩み、片手で頭をゆるゆると優しく撫でられ始めた。
その優しい手つきが心地よく、次第にウットリとしはじめた僕は固まっていた体もゆっくりと解れ無意識に蓮先輩の胸元にそのままスリッと擦り寄った。
すると何故か蓮先輩の方がカチリと固まってしまって、ハッてした。
僕今何した!?
「ごっごめんなさいっ!なんだか心地よくなっちゃって・・・」
固まってても僕をしっかり抱き込んでいる蓮先輩をしょぼんとしたまま顔だけ上げてそのまま見上げようとしたら、いきなりぎゅうっと力強く頭ごと抱き込まれてポフリと蓮先輩の胸元に視線が戻ってしまった。
さっき一瞬だけ見えた蓮先輩のお顔、なんか赤かった気がするんだけど、気のせい・・・?
「さっきの、可愛かったし、嬉しかった、よ」
僕を抱き込んだまま、なんだか甘い声でそう囁く蓮先輩にまた一気に熱が上がったかのような感覚がする。
そのまま何も言えずに顔を赤くしている僕をまたゆっくりと撫で始めた蓮先輩。自分の顔が真っ赤っかになっちゃってるの分かってるからもう顔を上げることも出来なくてそのまま蓮先輩の胸元に顔を埋めた。
「あ、あの・・・なんで、ぎゅーを・・・?」
顔を見なければこの状態でも話せそうかも、って気付いた僕はゴクリと唾を飲み込みおずおずと問いかけると、ん~・・・って何だか蓮先輩が唸り始めた。
「えと・・・蓮先輩?」
「あ、うん、なんで・・・なんで、かぁ。我ながらよく分んねぇんだけどさぁ?アニマルセラピー的な?そんな感じ?結翔と居るとこう、構いたくなってさぁ・・・なんか触りたくなるんだよなぁ」
「アニマルセラピー・・・、ですか?僕の事構うだけでセラピー出来るんです?」
斜め上すぎる返答に思わず状況も忘れてキョトリとして蓮先輩を見上げると、僕を抱きしめていた両手が頬に移動してムニムニと揉まれ始めた。
「結翔は俺の癒しだよ。もぉずっと構ってたいくらい。あ~・・・思った通りいい頬っぺた・・・」
なるほどよくわからん!でも僕が蓮先輩を癒す事が出来るならそんなに嬉しい事なくない!?アニマルセラピーって事は僕、ペット枠なのかなぁ?蓮先輩のペット・・・あれ?役得なんじゃ?っていうか抱き込まれてた状態でお話しすると、蓮先輩の身体から声の振動っていうの?伝わってきて不思議な気持ちだなぁ。
自分はペット枠なんだって、ようやくなんでこんなに構ってもらえるのかが腑に落ちて少し余裕ができた僕は蓮先輩にされるがままになりながらそんなちょっとズレたことを考えていた。
「結翔」
プリンを食べ終わった僕が、まだ昼休憩の時間は半分くらいしか終わってないからって心の中で何故か言い訳して蓮先輩の隣で穏やかに流れる時間を堪能していると、胡座をかいて壁に寄りかかっていた蓮先輩に名前を呼ばれた。
「はい!」
思わずシャキッて背筋を伸ばして蓮先輩の方に体を向けると、無言で自分の胡座の部分をポンポンと叩いていた。
胡座・・・脚?んん?僕も胡座したらいいの?って首を傾げてたら、蓮先輩がチョイチョイって手招きし始めた。
・・・来いって事?でももう既に肩触れそうなほど近いのに?あ、横じゃなくて前に来いってことかな?
成程!って思った僕は1回立ち上がって蓮先輩の目の前に座り直した。なんで隣じゃなくて前なのかは謎だけど、蓮先輩のお顔が真正面から見れるのも良いなぁ。
でも今度はニコニコしてる僕を見て蓮先輩がキョトンってしちゃった。
あれ?違った?って僕もまたキョトンとしちゃって、2人してキョトン顔でしばらく見つめ合ってたんだけど、蓮先輩が何か納得したみたいに1度頷いた。
「結翔、違う。こっち」
「え?・・・へあぁ!?」
キョトンとしてる僕の腕を掴み引き寄せるように引っ張った蓮先輩は、バランスを崩して蓮先輩の方に倒れ込んだ僕をそのままスッポリと抱き込んでしまった。
蓮先輩の胸元に抱き込まれてるから視界は蓮先輩でいっぱいだし、密着した胸元からは甘いムスクの香りがしてなんだかクラクラする。
鼓動はドクドクと壊れちゃいそうな程音を立て、顔は沸騰したかのように熱い。
突然の事に頭は真っ白でカチリと固まる事しか出来ず、そのまま蓮先輩のされるがままになっていると、ぎゅうっと力強く抱き込まれていた腕が少しだけ緩み、片手で頭をゆるゆると優しく撫でられ始めた。
その優しい手つきが心地よく、次第にウットリとしはじめた僕は固まっていた体もゆっくりと解れ無意識に蓮先輩の胸元にそのままスリッと擦り寄った。
すると何故か蓮先輩の方がカチリと固まってしまって、ハッてした。
僕今何した!?
「ごっごめんなさいっ!なんだか心地よくなっちゃって・・・」
固まってても僕をしっかり抱き込んでいる蓮先輩をしょぼんとしたまま顔だけ上げてそのまま見上げようとしたら、いきなりぎゅうっと力強く頭ごと抱き込まれてポフリと蓮先輩の胸元に視線が戻ってしまった。
さっき一瞬だけ見えた蓮先輩のお顔、なんか赤かった気がするんだけど、気のせい・・・?
「さっきの、可愛かったし、嬉しかった、よ」
僕を抱き込んだまま、なんだか甘い声でそう囁く蓮先輩にまた一気に熱が上がったかのような感覚がする。
そのまま何も言えずに顔を赤くしている僕をまたゆっくりと撫で始めた蓮先輩。自分の顔が真っ赤っかになっちゃってるの分かってるからもう顔を上げることも出来なくてそのまま蓮先輩の胸元に顔を埋めた。
「あ、あの・・・なんで、ぎゅーを・・・?」
顔を見なければこの状態でも話せそうかも、って気付いた僕はゴクリと唾を飲み込みおずおずと問いかけると、ん~・・・って何だか蓮先輩が唸り始めた。
「えと・・・蓮先輩?」
「あ、うん、なんで・・・なんで、かぁ。我ながらよく分んねぇんだけどさぁ?アニマルセラピー的な?そんな感じ?結翔と居るとこう、構いたくなってさぁ・・・なんか触りたくなるんだよなぁ」
「アニマルセラピー・・・、ですか?僕の事構うだけでセラピー出来るんです?」
斜め上すぎる返答に思わず状況も忘れてキョトリとして蓮先輩を見上げると、僕を抱きしめていた両手が頬に移動してムニムニと揉まれ始めた。
「結翔は俺の癒しだよ。もぉずっと構ってたいくらい。あ~・・・思った通りいい頬っぺた・・・」
なるほどよくわからん!でも僕が蓮先輩を癒す事が出来るならそんなに嬉しい事なくない!?アニマルセラピーって事は僕、ペット枠なのかなぁ?蓮先輩のペット・・・あれ?役得なんじゃ?っていうか抱き込まれてた状態でお話しすると、蓮先輩の身体から声の振動っていうの?伝わってきて不思議な気持ちだなぁ。
自分はペット枠なんだって、ようやくなんでこんなに構ってもらえるのかが腑に落ちて少し余裕ができた僕は蓮先輩にされるがままになりながらそんなちょっとズレたことを考えていた。
42
お気に入りに追加
888
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件
水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて──
※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。
※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。
※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。
真柴さんちの野菜は美味い
晦リリ
BL
運命のつがいを探しながら、相手を渡り歩くような夜を繰り返している実業家、阿賀野(α)は野菜を食べない主義。
そんななか、彼が見つけた運命のつがいは人里離れた山奥でひっそりと野菜農家を営む真柴(Ω)だった。
オメガなのだからすぐにアルファに屈すると思うも、人嫌いで会話にすら応じてくれない真柴を落とすべく山奥に通い詰めるが、やがて阿賀野は彼が人嫌いになった理由を知るようになる。
※一話目のみ、攻めと女性の関係をにおわせる描写があります。
※2019年に前後編が完結した創作同人誌からの再録です。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
不良×平凡
おーか
BL
不良副総長×平凡です。
不良7割、一般生徒3割の不良校に入学した、平凡な香夜(かぐや)は、不良が多いものの絡まれることもなく、過ごしていた。
そんな中で事件が起こった。ある日の放課後、掃除のためにバケツに水をくんで歩いていると、廊下で何かに躓き、バケツは宙を舞う。
その先には、赤髪と青髪の不良様がた。見事にびしょ濡れになった不良様がたに追い掛け回されているところを、不良の副総長である秋夜(しゅうや)に助けられる。
オメガバースは別で新しく書くことにします。
他サイトにも投稿しています。
※残酷な表現については、不良ものなので念の為つけています。
ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか
柚ノ木 碧/柚木 彗
BL
夏休み中に家族で田舎の祖母の家に帰省中、突如Ωになりヒートをおこした僕。
そして豹変したように僕に暴言を吐き、荒れ狂う祖母。
呆然とする父。
何も言わなくなった母。
そして、僕は今、田舎の小さな無人駅で一人立ち尽くしている。
こんな僕だけど、ある日突然Ωになってしまったけど、僕の人生はハッピーエンドになれるでしょうか。
初BL&オメガバース連載で、オメガバースは三ヶ月前に知った、超が付く初心者です。
そのため、ふんわり設定です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる