渡り廊下の恋

抹茶もち

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アニマルセラピー

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震える手でミニハンバーグを箸で持ち上げ蓮先輩が開けているお口にそっと入れると、蓮先輩の瞳がふにゃりと幸せそうに垂れた。


「うっま!結翔天才だな・・・!」

「ほ、ほんとですかっ?よかったぁ・・・!」


もぐもぐと嬉しそうに食べる蓮先輩に僕のお顔もふにゃふにゃになっちゃう。僕が作ったご飯で蓮先輩がこんなに幸せそうにしてくれるなんて凄く嬉しくて、ついつい続けて卵焼きを蓮先輩の口元に持っていく。

いいのか?と嬉しそうに言った蓮先輩にコクリと頷くと、さんきゅーな、と言って嬉しそうにパクリと食べてくれた。


「・・・甘い?」


驚いたように目をまん丸に見開いた蓮先輩。僕の家の卵焼きの味付け、甘いんだよね。蓮先輩好きじゃなかったかな・・・?


「あ、あの、僕の家、卵焼きの味付け甘めで・・・。ごめんなさい、お口に合いませんでしたか?」


少ししょぼんとしてしまった僕を見た蓮先輩がポン、と僕の頭を撫でてくれた。


「いや、俺店のだし巻き卵しか食べた事なかったからさ、甘い卵焼き食べたの初めてで驚いただけ。甘い卵焼きって美味いんだなぁ。また食いたい」


蓮先輩、お家で卵焼きとか食べないのかな?卵焼きってお弁当の定番なのに。あ、お家でも出汁派って事かな?


「蓮先輩のお家の卵焼きは出汁派なんですね。僕、出汁も美味しくて好きですよ」


そんな風に思った僕がへへって笑ってそう言うと、なんだか微妙な顔をした蓮先輩にぐしゃぐしゃって髪をかき混ぜるように思い切り頭を撫でられた。


「それよりさ、このおにぎり1個やるからその甘い卵焼きもう1個食わせて?結翔の弁当まじで美味いからもっと食べたい。ダメか?」


あれ?話、逸らされた?っていうか蓮先輩、なんだか寂しそうな、悲しそうな顔してる気がする。


「・・・じゃあ僕のお弁当と蓮先輩のおにぎり交換しませんか?お弁当とおにぎりどっちも食べたらお腹破裂しちゃいますよぅ!僕、蓮先輩のおにぎりの方が食べたいですっ!」


蓮先輩に笑ってほしくてワザと大袈裟にそう言って蓮先輩にお弁当を押し付けると、そんな僕にキョトンとしていた蓮先輩が思わずって感じで吹き出した。


「ふは・・・っ!本当に良いのか?せっかくこんな美味い弁当持って来てるのに味気ないおにぎりに変わっちまって」

「もっちろんです!蓮先輩が僕のご飯食べてくれるなんてご褒美ですよっ!」


ふふんっ!って自信満々にそう答えると、また笑ってくれた。


「俺が食べるだけでご褒美になんの?変なやつ。・・・でもさんきゅ。ありがたく食わせてもらう。結翔って俺を喜ばせる天才かもなぁ」

「本当ですか・・・っ!?蓮先輩に喜んでもらえるの、僕の方が嬉しいですっ!いっぱい食べてくださいね~!僕も蓮先輩から頂いたおにぎりめちゃくちゃ大事に食べますっ!」


僕は蓮先輩の笑顔と言葉で胸がいっぱい過ぎて既にお腹までいっぱいな気がしてるけど、蓮先輩からの頂き物なんて食べない選択肢なんて無いよねっ!


そんな事を思いながらニコニコ笑ってそう言うと、眩しいものを見るみたいに目を細めた蓮先輩にまたぐりぐりと髪の毛をかき混ぜられた。僕、もう本当に嬉しくって。蓮先輩が寂しそうなのは僕が悲しいから、蓮先輩が喜んでくれる事、なんでもしてあげたくなっちゃうんだよなぁ。



僕はもらった梅おにぎりを食べながら蓮先輩にお弁当の中身の説明をして、蓮先輩はそれをうんうんって聞きながら美味しそうにお弁当を食べてくれて、なんだか穏やかな、幸せな時間が過ぎていく。



このまま時間が止まっちゃえば良いのになぁ~・・・。




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