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アニマルセラピー
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ちゃんとおでこを冷やして授業を受けた僕は、お昼休憩のチャイムが鳴ると同時にお弁当片手に教室を飛び出した。
モタモタしてると陸と静に捕まって色々聞かれて動けなくなるだろうから、チャイムと同時に駆け出しな!って匠にコッソリ言われてたからね。
後の事は匠に丸投げして、心なし浮かれた様子で屋上に向かった。
屋上、初めて行くけど解放されてるの知らなかった。なんか屋上って封鎖されてるイメージあるよね?
なんて考えながら屋上の扉前で、ドキドキと早まる心臓を落ち着かせるように深呼吸をする。
よし、行くぞ!行っちゃうぞ・・・!!
気合を入れてガチャッと扉を開けて屋上に出てみると、爽やかな風が肌を撫でた。
吹き抜けるその心地よさに目を細めていると、突然頭の上にポンっと手の重みを感じてビクリと肩を震わせる。
パッと視線を上に上げると、蓮先輩が僕の頭に手を乗せて優しく微笑んでいた。
降り注ぐ太陽の光に反射してホワイトベージュの髪の毛がキラキラと輝いていて、蓮先輩ってば太陽にも愛されてるみたい。
ーーーすっごく綺麗・・・。
ぽぉっと見惚れていると、そのままグリグリと頭を撫でられた僕は嬉しくて頬を染めながらにやけてしまう。
そんな僕を満足そうに見た蓮先輩は、僕の手を取り丁度日陰になっているちょっと奥まった場所に連れて行ってくれた。
屋上にもこんな死角があったんだなぁ、なんて物珍しげに視線を彷徨かせていると先に座った蓮先輩が隣をトントンと叩いた。
「ほら、ココ座れよ」
「あ!はいっ!し、失礼しますっ!」
少し間を空けて隣に座ると、不思議そうに首を傾げた蓮先輩は少し腰を浮かせて肩が触れ合うほど近くにストンと座り直した。少しでも身じろぎしたら蓮先輩に触れてしまうその距離に、カチンと固まってしまう。
なんで座り直したの!?ち、近くないですか・・・!?もしかして蓮先輩距離感バグってる人なのかな!?
「食べねぇの?」
キョトンとして僕を見る蓮先輩に、ただでさえドキドキとうるさい心臓がキュンとしてじわじわと顔が赤くなってしまう。
「たっ、食べますっ!」
慌てて顔を隠すように俯いてお弁当を開ける。今日のお弁当はミニハンバーグがメイン。いつもタネだけ冷凍してるから朝からでも楽チンに作れるし、兄ちゃんの好物だからよくリクエストされるんだよね。
「いただきます」
手を合わせてそう呟き、まずプチトマトを口に入れる。うん、美味しい。
「・・・結翔の母さん料理上手なんだな。うまそう」
隣でコンビニの袋からおにぎりを出していた蓮先輩にそう言われ、思わずパッと笑顔になってしまう。料理上手って言ってもらえた・・・!嬉しいっ!
「コレ、僕と父さんで作ってるんです。母さんはブキッチョさんだから、料理は僕と父さんの担当なんです!褒めてもらえてすごく嬉しい!」
「え・・・っ?これ結翔が作ってんの?お前すげぇな・・・」
目をまん丸にして驚く蓮先輩が可愛い上にまた褒められて、ニコニコが止まらない僕は思わず蓮先輩にお弁当を差し出していた。
「あの、よかったら食べますか?蓮先輩、おにぎりだけみたいだし・・・」
僕がそう言うと鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした蓮先輩に、あ、やばい調子に乗っちゃったかも・・・って慌てて手を引っ込めようとしたら、蓮先輩があーってお口を開けた。え、可愛い。
「へ?蓮先輩?」
「弁当、食わせてくれるんだろ?」
ニヤリと笑った蓮先輩に、また心臓を撃ち抜かれちゃった。
だめだ、僕本当に今日心臓発作で死んじゃうかもぉ・・・!
モタモタしてると陸と静に捕まって色々聞かれて動けなくなるだろうから、チャイムと同時に駆け出しな!って匠にコッソリ言われてたからね。
後の事は匠に丸投げして、心なし浮かれた様子で屋上に向かった。
屋上、初めて行くけど解放されてるの知らなかった。なんか屋上って封鎖されてるイメージあるよね?
なんて考えながら屋上の扉前で、ドキドキと早まる心臓を落ち着かせるように深呼吸をする。
よし、行くぞ!行っちゃうぞ・・・!!
気合を入れてガチャッと扉を開けて屋上に出てみると、爽やかな風が肌を撫でた。
吹き抜けるその心地よさに目を細めていると、突然頭の上にポンっと手の重みを感じてビクリと肩を震わせる。
パッと視線を上に上げると、蓮先輩が僕の頭に手を乗せて優しく微笑んでいた。
降り注ぐ太陽の光に反射してホワイトベージュの髪の毛がキラキラと輝いていて、蓮先輩ってば太陽にも愛されてるみたい。
ーーーすっごく綺麗・・・。
ぽぉっと見惚れていると、そのままグリグリと頭を撫でられた僕は嬉しくて頬を染めながらにやけてしまう。
そんな僕を満足そうに見た蓮先輩は、僕の手を取り丁度日陰になっているちょっと奥まった場所に連れて行ってくれた。
屋上にもこんな死角があったんだなぁ、なんて物珍しげに視線を彷徨かせていると先に座った蓮先輩が隣をトントンと叩いた。
「ほら、ココ座れよ」
「あ!はいっ!し、失礼しますっ!」
少し間を空けて隣に座ると、不思議そうに首を傾げた蓮先輩は少し腰を浮かせて肩が触れ合うほど近くにストンと座り直した。少しでも身じろぎしたら蓮先輩に触れてしまうその距離に、カチンと固まってしまう。
なんで座り直したの!?ち、近くないですか・・・!?もしかして蓮先輩距離感バグってる人なのかな!?
「食べねぇの?」
キョトンとして僕を見る蓮先輩に、ただでさえドキドキとうるさい心臓がキュンとしてじわじわと顔が赤くなってしまう。
「たっ、食べますっ!」
慌てて顔を隠すように俯いてお弁当を開ける。今日のお弁当はミニハンバーグがメイン。いつもタネだけ冷凍してるから朝からでも楽チンに作れるし、兄ちゃんの好物だからよくリクエストされるんだよね。
「いただきます」
手を合わせてそう呟き、まずプチトマトを口に入れる。うん、美味しい。
「・・・結翔の母さん料理上手なんだな。うまそう」
隣でコンビニの袋からおにぎりを出していた蓮先輩にそう言われ、思わずパッと笑顔になってしまう。料理上手って言ってもらえた・・・!嬉しいっ!
「コレ、僕と父さんで作ってるんです。母さんはブキッチョさんだから、料理は僕と父さんの担当なんです!褒めてもらえてすごく嬉しい!」
「え・・・っ?これ結翔が作ってんの?お前すげぇな・・・」
目をまん丸にして驚く蓮先輩が可愛い上にまた褒められて、ニコニコが止まらない僕は思わず蓮先輩にお弁当を差し出していた。
「あの、よかったら食べますか?蓮先輩、おにぎりだけみたいだし・・・」
僕がそう言うと鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした蓮先輩に、あ、やばい調子に乗っちゃったかも・・・って慌てて手を引っ込めようとしたら、蓮先輩があーってお口を開けた。え、可愛い。
「へ?蓮先輩?」
「弁当、食わせてくれるんだろ?」
ニヤリと笑った蓮先輩に、また心臓を撃ち抜かれちゃった。
だめだ、僕本当に今日心臓発作で死んじゃうかもぉ・・・!
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