渡り廊下の恋

抹茶もち

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誰よりも綺麗で美丈夫な不良さん

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眠れないかも!なんて思ってた僕だけど、いつものように23時にベッドに入っていつもよりちょっとだけソワソワしてたらいつの間にか熟睡してたみたい。いつもと同じく寝起きはスッキリです!


僕の家、家事は全部担当制で、僕と父さんがご飯とお弁当担当。姉ちゃんたちはすごく綺麗好きだから2人がお家全部の掃除担当で兄ちゃんは洗濯とお庭の草取り担当。

母さんは結婚前からバリキャリで、毎日朝は早くて夜が遅いから余裕がある時に申告制でお手伝いしてくれる。

共働きだけど、どっちかというと母さんが大黒柱っぽい感じなんだよね。

僕がもーっと小さい頃、友達のお家に遊びにいくといつもお母さんがいて、家事を全部1人でしながら僕らの世話を焼いてくれてる所を見て、うちは父さんがお家のことしてるのにどうして友達の所はお母さんがしてるんだろう?ってすごく不思議で家に帰ってから父さんに聞いたんだ。


「仕事してる母さん、格好いいだろう?父さん、そんな母さんが大好きでね。父さんと母さんがまだ恋人だった時、父さんが母さんに朝ごはんを作ってあげた事があったんだ。その時に母さんがね、私がしっかり働いてあなたの事を養うからいつも今みたいに笑って家族の為に美味しいご飯を作ってくれない?あなたと作る家族はきっと暖かいって思うわ。って母さんにプロポーズされたんだ。父さんは料理も掃除も好きだったし養うどうこうは置いといて一生支えさせてくださいって伝えたんだ。家事なんて得意な方がやれば良いと思ってるからね」


ーーーそれに、うちの母さんは不器用だからね。そんな所も可愛いだろう?



こうやって盛大に惚気られた。


幼かった僕は、父さんが母さんの事が大好きだって事と、得意な方がすればいいって事だけ認識して大きく成長しましたとさ!


だから全員得意な事を担当してる。兄ちゃんは母さんに似てブキッチョだから細かい事が何もない洗濯と草取りがギリギリできるラインってだけだけど。

でもよく几帳面な姉ちゃん達に洗濯物の畳み方を注意されてる。ブキッチョなだけで悪気があるわけじゃないからちょっと可哀想だけど、表立って擁護すると僕にまで飛び火するから、ナムナムと手を合わせて眺めてる。

ごめんね兄ちゃん。たまにコッソリ手伝ってあげてるんだから見て見ぬ振りしても許して!


ちょっと話が脱線したけども、僕はお弁当も担当なので今日も父さんと2人で早起きしてお弁当をせっせと作る。6人分のお弁当、やばいんだよ・・・。中学から父さんのお手伝いしてたから慣れたけど最初は朝早すぎてあくびが止まんなかったんだよね。


「・・・ゆいくん?なんだか今日はご機嫌だね?」

「え!そうかなぁ?」

「うん、だってゆいくんさっきから鼻歌まで歌ってるし、絶対そうでしょ。父さんの目は誤魔化せません!今日は何か良い事でもあるの?」


僕鼻歌歌ってたの!?完璧無意識だった・・・。でも良い事・・・良い事かぁ・・・。蓮先輩の事を思い出してポポっと頬が赤く染まる。


ーーーガシャンッ


横からした大きな音に驚いて父さんを見ると、この世の終わりかのような顔をした父さんが、だし巻き卵をしようと卵を割り入れていたボウルを落として固まっていた。


「ぎゃッ!卵!父さん、卵がっ!」

「ゆゆゆゆいくんが・・・ゆいくんがっ!だめ、だめだよ!まだお嫁には行かせませんよ!」

「え?父さん?何言ってるの!?」

「朝から何叫んでんの?」

「お兄ちゃん!大変だよ!ゆいくんがお嫁にいっちゃう!」

「だから父さんは何言ってるの!?兄ちゃん違くて!父さんが卵落として・・・」

「嘘だろ・・・!どこの馬の骨かも分からねぇ奴にゆいくんはお嫁になんてやらねぇぞ!」

「なになに?ゆいくんお嫁さんなるの?相手は!?イケメンなの!?」

「タキシード?ドレス??ウエディングドレス着るならお化粧は任せて!」

「だーかーらー!もぉッ!違うってば!」



起きてきた兄ちゃんと姉ちゃんズまでおかしな事を言い出してもう収集がつかなくなった頃、救世主がリビングにやってきた。


「こーらー!ゆいくん困ってるでしょうが!あなたも落ち着いて。ゆいくん違うって言ってるんだから。それよりみんな時間大丈夫なの?」


母さんの鶴の一声でゆいくんお嫁にいっちゃうよ騒動がやっと終結して皆自分の準備をするために解散してくれた。母さん様様過ぎる。

父さんも母さんにヨシヨシと宥められて落ち着いたみたい。自分で落とした卵を申し訳なさそうに片付けてる。


「母さんありがとう。もう誰も話聞いてくれなくてどうしようかと思っちゃった」

「どういたしまして!お父さんってばよっぽどゆいくんをお嫁に出したくなかったのね。大丈夫、お母さんはゆいくんの味方よ!だからお母さんにどんな人なのかコッソリ教えて?」


ニッコリと笑って内緒話をする時みたいに小さい声でそう言う母さんに思わずため息をついてしまった。


「もー・・・。だから違うんだってばぁ」



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