フィライン・エデン Ⅱ

夜市彼乃

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10.三日月の真相編

48三日月××× ④

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***

 ワープフープを通って人間界へ行き、路地裏から出る前にルシルとコウが外の警戒をしている間、霞冴はふと二人を振り返って尋ねた。
「思ったんだけどさ、雷奈のスマホのGPSたどるとかできないの? 人間界のスマホって、そういう機能ついてるよね」
「できるならもうやってるさ」
 氷架璃が肩をすくめて首を振る。
「たぶん、スマホは持って行ってるんだよ。今日は来客が多いのもあって、ずっとポケットに入れてたから。ただ、私たちは位置情報を共有してるわけじゃない。友達はしょうがないとして、家族である雷華とは共有しててほしかったけどな」
「今まで必要に駆られなかったのかしら」
 芽華実は家族とは位置情報を共有している。氷架璃はといえば、祖母も祖父もスマホを持っていないので、そもそも不可能なのであるが、雷奈と雷華はそのような事情があるわけでもない。
「その雷華からは、連絡ないわよね」
「ああ。神社にも戻ってきてないってことだな」
 三日月姉妹もさぞ心配しているだろうな、とため息をつく氷架璃の後ろ、メルを肩に乗せたルシルが振り返って短く言った。
「周辺に異常なし、出るぞ」
「オッケー」
 サムズアップで答えた氷架璃。人払いをして挑むのだろう、ルシルもコウも、漆黒の着物袴を憚ることなく着用し、腰には帯刀までしている。
 ふと気づいて、氷架璃はくるりと霞冴を振り返った。
「そういや、霞冴は二刀剣士ってことで派遣されてきたけど……」
 いつもの臙脂のセーラー服スタイル、そのプリーツスカートのベルトループには、頑丈そうなベルトが通されていて、左腰にはルシルたちと同じような刀が差してある。しかし、一振りだけだ。
「忘れてきたのか?」
「まさか~」
 霞冴はいたずらっぽく、ふにゃっと笑うと、自身の右腰のあたりの中空を指で叩いた。何もないはずの虚空で、指先はこつこつと音を奏でる。
「霧の力で隠してるんだよ。霧猫が隠密に長けているゆえん。便利でしょ?」
「すげ、手品かよ。スカートやベルトは見えてるのに、右の刀だけ透明化するとか、器用だな」
「普段からこっち来る時には髪の色をごまかしてる私だよ? 今さらじゃん。それより、私が二振り差してること、この先では言わないでよ? 不意をつくための隠し玉なんだから」
「わかってるよ。……頼りにしてるぞ、希兵隊一の刀使いさん」
「まかせて!」
「でも、霞冴も戦うなら、執行着じゃなくていいの?」
 希兵隊員が着用する和装・執行着は、猫術と技術を駆使して耐久性を上げた、防刃衣であり防弾衣だ。しかし、その製造工程上、どうしても洋装には仕立てられない。そのため、霞冴が着用しているセーラー服は、その技術が適用されていない、ただの洋服なのだ。
 それに対し、霞冴が口を開きかけた時。
「おい、そこ。いつまで油を売っている。雷奈が心配ではないのか」
「ご、ごめんなさい、すぐ行きます」
 急かすルシルに、芽華実が慌てて話を切り上げた。コウが先頭に立ち、一同は路地裏を出る。
 現下、雷奈の猫力の気配はない。猫力を解放していなければ、彼女はただの人間なので、気配を感じられることはない。
 そして、幸いにダークの気配もない。チエアリはそもそも気配を感じられない以上、いないとも限らないのだが、それを案じていては一歩も動けない。
 氷架璃と芽華実と霞冴、アワとフー、ルシルとメル、コウと波音の四手に分かれ、手分けして探すこととなった。

***

 希兵隊たちと入れ替わる形で、三日月姉妹は一度神社に帰ってきていた。雷夢と雷帆は土地勘がないのであまり動けなかったものの、雷華は一度、皇学園周辺まで探しに行っていた。けれど、誰も彼女の影一つ見つけることはできなかった。
 ひとまず今は彼らに任せることにして、落ち着こうとお茶を一服していたところで、雷華が二人に尋ねた。
「雷志がどのような人となりであったかは先ほど聞いたが……雅音はどんなヤツだったのだ?」 
 雷夢と雷帆は顔を見合わせた。彼についても、一通り話してはいたが、彼女が問うているのは、ガオンとしての彼ではなく、雅音としての彼のことだ。
 雷帆が肩をすくめながら言う。
「無口でぶっきらぼうで、ばってん頭がよくて……」
「……そして、正しかったね」
「……正しかった?」
 雷華は眉をひそめた。大変抽象的で、多義的で、そして大罪人である彼からは遠くかけ離れた評価に聞こえた。
 雷夢が付け加える。
「正しかったっていっても、常に模範的とか、正義を重んじるとか、そういう意味ではなか。なんていうのかな……。例えば、雷奈が小学一年生のころ、父に、鳥はどうして飛べるのかって尋ねてたことがある。そしたら、あのひとはこう答えた……というより、訊いた。『どうしてだと思う?って』」
「ソクラテス問答法か」 
「雷奈が『羽があるから。カラスも鳩も羽があるし』って言ったら、親父は首振って、『その答えで、問いに対してすべてを説明できるのか?』って言ってね。例えばダチョウは二メートルもの翼ば持っとるけど、飛べん。やけん、羽があるって答えでは、問いに対して一部分しか説明できてない。逆に、そのほかの答えでは少しも説明できないのか考えろって言われてた。結局、その後図書館に連れてってもらって、羽があるだけじゃなく、それが体に比して大きくて、それを動かす筋肉があって、体が軽くてっていろいろな条件がないと飛べないってことを知ったらしかね」 
「だいぶ厳密だな。羽があるから、という理由でも子供は納得するであろうに。教育レベルが成熟の早いフィライン・エデン仕様ではないか」 
「まあ、出身も関係あるかもしれんけど。ばってん、それ以上に性格だったんだと思う。学者やけんね。社会とか、倫理とかじゃなくて、論理とか、真実とか、そういう……誰かが決めたルールじゃなくて、神様が作った理に対して正しくあろうとする人だった」
 聞けば聞くほど、妻とはつりあわなさそうな人物像だ。温情にあふれた雷志と、怜悧なガオン。いや、お互いのないところを持っているからこそ、惹かれたのだろうか。
「……だからなんかな」
 同じく雷夢の話を聞いていた雷帆が、ぽつりとつぶやいた。
「別に、人情がないひとやなかったよ。面倒ごとば頼んでも、ため息つきながらやってくれたし、母さんのことば大事にしとったんは、子供の目にも明らかやった。ばってん、それでも、法律とか、人道とかば無視してまで従うべき理屈があったから、母さんを殺したんかな。……神様に決められた、絶対の理屈が……」
 消え入る雷帆の言葉に、姉二人は返すセリフを見つけられなかった。
 確かに、そんな理性的な人物ならば、一時の感情の沸騰で手を血で染めることをするとは考えにくい。
 ならば、そうしなければならない合理的な理由があったのだろうか。雷帆の言うように、神が決めたもうた、絶対のルールが。
(……くだらぬ)
 二人に聞こえないように、雷華はふんと鼻を鳴らした。
 誰かを殺さなければならないなど、世界を壊さなければならないなど、そんな使命を与える神がいたとしたら、そいつは馬鹿だ。
 そして、神に押し付けられた馬鹿げた使命があったとして、それに従うべきか背くべきかを見誤ったガオンも、また馬鹿だ。
 そんな論理が、正しいわけがないのに。

***

 彼らが一度落ち合ったのは、公立小学校の通学路に面する小さな公園だった。遊具はすべり台とブランコのみで、十分に走り回れるほどの広さもない。かつて、少し世話をした捨て犬が保健所に連れていかれて落ち込んでいた場所ということで、芽華実にとっては苦い思い出の地である。
 その入り口に集合した一同は、互いの成果報告をする前から分かり切っていた結果に、肩を落としていた。
「くっそ、あいつどこ行ったんだよ……」
「我々も主体になって屋根伝いに上から探したんだがな……」
「ちっ……ああもう、こうなったら! 雷奈ああぁぁ!」
 突如、自棄やけを起こして叫びだした氷架璃に、他の面々はぎょっとした。
「ちょ、氷架璃っ」
「どこだああ! こっちは散々探してんだぞ! いい加減出てこいやぁ! 雷……むぐっ」
 アワとフーがわたわたする前で、なおも叫び倒していた氷架璃の口を、後ろから芽華実が思い切りふさいだ。
「ご近所迷惑!」
「けど、こっちは急いでんだから! 叫びながらその辺走り回ったら、さすがに聞こえるだろ!」
「それで聞こえて返事するなら、最初から電話に出るわよ! さっきから何度かかけてるんだから!」
「あ、そっか」
 手を打った氷架璃に、「もうっ」と呆れ顔の芽華実が手を離した。突然の奇行に手出しさえできなかったコウが、感心したようにつぶやく。
「美楓……薄々気づいてたけど、三人の中でお前が一番マトモだな」
「え、そ、そう?」
「水晶の手綱を握れるのはたぶんお前だけだ。大変だろうが、これからも頼りにしてるぞ」
「あ、ありがとう……」
「いや、否定しろよ芽華実! 照れながら礼言ってる場合か! 手綱って何だよ、私は暴れ馬か!」
 癇癪を起こす氷架璃をどうどうとなだめる役と、さあこれからどうするかと考える役に分かれる中、一人、公園内を見つめていた霞冴が「んー?」と声を漏らした。
「どうした、霞冴」
「いやね、なんか変だなーって」
 霞冴が指さしたのは、右手のブランコと、左手の滑り台の間にある空間。砂地になった地面だ。
 まだ憤然としながら、いくらか落ち着きを取り戻した氷架璃がのぞきこむ。
「変? 何がだよ」
「落ち葉がさ。あそこだけぽっかりなくなってる」
 周りを木に囲まれているせいか、公園内の地面にはかなりの量の枯葉が落ちていた。一度大きな風でも吹いたのだろう、それは木々から離れた中央付近にも及んでいる。
 けれど、霞冴の指摘通り、一か所だけ、枯葉が全く落ちていない部分があった。直径一メートルほどの範囲だ。ほかの場所がまんべんなく落ちているのと比べると、確かに目につく不自然さだ。
 まるで、
「……まさか、だよな」
 うわごとのようにぼやきながら、ルシルが公園内へ足を踏み入れる。その後を追いながら、氷架璃が尋ねる。
「何がまさかなんだ?」
「あくまでも可能性の一つだが。……ここで時空洞穴が開いたとしたら、枯葉が接続先の別の場所に流れてもおかしくはないな、と」
 それを聞いて戦慄する仲間たちに、「ただの仮説だ」と振り返るルシルだが、これまでの動向と今後起きうる事象を考えれば、ありえなくはない。
「もしそうだとしたら、少し前にここからガオンが出てきた、ってことかしら?」
「あるいは、出て行ったのかもな。情報管理局が感知できるのはフィライン・エデンで起こった時空震だけだ。それ以外の場合は通達も来ない。だから、入り口も出口も人間界の時空洞穴は、いつどこで起こっていてもおかしくはない」
 芽華実にそう答えたルシルは、巡らせていた視線をふと一か所で止めた。すべり台のちょうどすべりきったところへ歩み寄り、しゃがみ込む。地面から、何かを拾い上げる。
「どうした、何か見つけたか」
「ああ……だが、手掛かりではなさそうだ。ただの落とし物だな」
「置いとけよ、そんなもん」
「悪かったな、神経質にもなるんだよ」
 ふてくされたように言い放ったルシルは、手にしたものをすべり台のふちに引っ掛けるように置こうとして、一応雷奈の持ち物かどうか尋ねておいたほうがいいかと氷架璃と芽華実を振り返って――二人のこわばった顔に、ぎょっとした。
「……どうした?」
「ルシル……それ……」
 氷架璃が、ルシルの指につままれたものを震える手で指さした。
 ルシルが見つけたもの。それは、ストラップだった。小さな絵馬と、鈴がついていた。
「京都で買った……私と芽華実と雷奈、それに雷華の、おそろいのお守り……」
 ルシルが瞠目するのと同時、ストラップが揺れて、鈴が悲鳴のような音を出した。そばに膝をついていたコウが、冷静さを保ちながらも焦りをにじませて氷架璃を見上げる。
「ってことは、あいつはここには来てたってことか。……いや、けど、いつ落ちたのかわからねえ以上、今の居場所がどこかはわからねえままだ」
「……待て」
 ルシルがストラップを見つめて言った。
? 本当にそうか? この紐を穴に通して結ぶんだろう? そう簡単に落ちるか?」
「じゃあ、何で落ちてんだよ。わざととでもいうのかよ?」
 なんでわざわざ、と言いたげにコウが一蹴する。そうする意味が分からないという風に。
 例えば、何者かに攫われそうになった時、あとで仲間に見つけてもらおうと、自分がそこにいた証を落としていく、というのはドラマや小説でも見かける展開だ。
 だが、そんな差し迫った状況で、器用にストラップの紐を取り外せるかというと疑問だ。
 ――もし、そうでないとしたら。に意味があるとしたら。
 コウも、ほかの希兵隊員たちも知らないのだ。そのお守りに込められた意味が、そしてそれを外して捨てるということがどういうことなのか。
 ギリリと鳴ったのは、爪が食い込むほど強く手を握りしめる音か、奥歯を噛みしめる音か。
 持ち主の意志で外され、打ち捨てられた、一蓮托生の契りを託したお守り。運命共同体だと、何があっても助け合おうと誓い合った証。
 それが意味するは――。
「あいつ、まさか……っ!」
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