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8.神隠し編
37問二:運命の日はいつですか 前編
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月見山は、山裾が小さい分、傾斜は大きいが、頂上までの距離は短いので、弾趾を使えばかなりの短時間で駆け上がれる。山登りというにはあっけない往路だ。
先頭を切って走っていたコウとルシルは、木立の終点が見えてきたのを目処に速度を緩めた。月見山は、頂上だけ円の形に木々が姿を消し、原っぱのようになっていることから、月見のスポットとしておあつらえ向きと名付けられた山だ。山林の切れ目はすなわち、頂上への入り口である。
木の幹に身を隠しながら、ルシルがささやいた。
「全員、息を整えろ。この先が、時空震の発生源だ。まだ余波があるかもしれないし、それを起こした人物……ややもすればチエアリがいるかもしれない」
執行着を着た双体の副隊長と、主体で後をついてきていた隊員たちが無言でうなずく。
「オレと波音が前線、あとの三名が後衛で入る。いいか?」
「わかった。私たち二番隊は、いざというときの奇襲や本部への連絡など、バックアップを引き受けよう」
作戦を確認し終えると、コウは部下を伴って、頂上へと一気に足を踏み入れた。
新月も近い今宵は、月明かりも無きに等しい。ここに至るまでも暗く、夜目の利く猫でなければ難儀したであろう道のりだった。星明かりさえ、平地になった頂上を照らすには及ばない。
――そんな暗がりの中で、その姿は輝くような存在感を放っていた。
コウたちと同じくらいの大きさの猫だった。ふさふさとした長毛で、霞冴に似た首周りの飾り毛をもっている。しかし、その毛並みは、今まで見たことのない、黄金色をしていた。さらに、背中にはちょこんと鳥のような小さな翼が生えており、それは目の覚めるような赤。同色の首輪が、飾り毛の根元に巻かれている。そんな、ある種の神々しささえ与えるような稀有な風貌の猫が、草で覆われた広場に、コウたちに背を向けて座っていた。
クロではない。ダークでも、チエアリでもなさそうだ。しかし、だからといって普通の猫にも見えない。
コウは十分に用心しながら、一歩ずつ金色の猫に近づいて行った。四歩目を踏んだ時、ぴくんと三角耳が動き、猫がコウを振り向いた。音か気配に気づいたのだろう。
コウは波音の斜め前に出ながら、低い声で問うた。
「誰だ」
「初めまして。その服装は、希兵隊ね。昔から変わらない伝統だわ」
コウの眉間に怪訝そうなしわが刻まれた。昔から、というには、その猫の声は若すぎる。せいぜい十八から二十歳程度の女の声。
彼女は四つ足で立ち上がり、コウのほうへ数歩歩み寄ると、朱の混じった黄金の瞳でまっすぐに見つめ返して、
「私の名は日躍。フィライン・エデンを見守る存在、君臨者の使者よ」
そう、言った。
「君臨者の……使者だって!?」
思わず、傍らの波音と目を見合わせた。
しばらく後方で様子を見守っていたルシルたちは、コウが言葉を交わしているのを見て、恐る恐る山林から出た。そして、フィライン・エデンで例を見ない金毛の猫に息をのんだ。
「コウ、このひとは……?」
「日躍って名乗ってる。そして聞いて驚け、君臨者の使者だとよ」
「なんだと!? そんなことが……というか、もしそうなら、君臨者は本当に存在したのか……!?」
「あら、心外ね。主に君臨者という呼び名をつけたのは、あなたたちフィライン・エデンの猫でしょう? 信じているものと思ったけれど」
ひげのあたりを手でなでる日躍に、ルシルは怖じずに言い放った。
「君臨者の存在を仮定しないと説明できない事柄が多い。だから概念として設けられ、呼び名がつけられたんだ。だが、その存在証明はできていないのだから、そんなことを言われては驚くのも当然だろう」
「まあ、そうね。ってことは、私の言葉は半信半疑なのね?」
「もちろんだ」
「それなら、これを聞いたら信じてもらえるかしら」
日躍は姿勢を正すと、自分を囲む希兵隊員を堂々と見まわした。
「今日、この世界で四回、時空震が起きたでしょ。一度目は十二時半。二度目は午後三時。三度目は午後三時半、そして最後に、今さっき。初めの三度は、いずれも今のフィライン・エデンと、約九年前の人間界とを結んでる」
コウが目を見張った。他の隊員たちは、時空震発生について概要しか聞かされていないので、真偽をはかりかねて戸惑った様子だ。
通常、時空震は感知することができない。この世界でそれを知ることができるのは、専門の測定機材だけだ。彼女が情報管理局員なら、その情報を有しているのも納得できるのだが、だとすると、四度目の時空震発生地に一人でたたずんでいたのはどういうわけか。どうにも、ただ者でない気配がする。
(じゃあ、やっぱりこいつは……)
コウが口を開きかけた時だ。
「いや、不十分だ」
ルシルが凛と告げて前に出た。
「確かに、お前の言った内容は正確だ。だが、今、時空洞穴を使った誘拐事件の可能性が浮上している。そのために起こしたと思しき三度の時空震。そこへ四度目が起こり、発生源に来てみればお前がいた。犯人だとは言わない。代償を払ってそんなに健在でいられるとは思えないからな。だが、共犯者くらいはにらんでいる。共犯なら、時空震の詳細について知っていてもおかしくないし、責任逃れのために狂言を口にしている線も否めない」
「なるほどね……」
日躍は困ったように苦笑し、うーんと夜空を仰いでから、
「じゃあ、あなたたちの仲間で、時空震の様相を知ることができる子に聞いてみて。さっきの、四度目の時空震は、どこからのものなのか。フィライン・エデンでも、人間界でもないと答えるはずよ。時代は越えてないから、空間だけがゆがんでいることになるわね」
「そうか……!」
ルシルはコウを振り返り、美雷に連絡するよう頼んだ。
皆、さきほど起こった四度目の時空震は、三度目の時空震と同時に九年前の人間界へ行った犯人が、今この世界に戻ってきたときのものだと思っている。しかし、もし日躍の言うことが本当ならば、四度目の時空震は人間界からのものであるはずがない。君臨者の使者が、なぜ人間界にいようか。
コウは美雷に、日躍の名と容姿、そして彼女が口にした情報のすべてを話した。
『……本当なの?』
「それを確かめるためには、樹香たちに聞く必要があります。四度目の時空震の解析結果を」
『……ええ、そうね。少し待ってくれるかしら』
美雷の声は、それ以降は遠くなった。かすかに、その場の全員に情報を共有し、向日葵と菫に追加の情報を求めるのが聞こえた。
樹香姉妹のどちらかが、情報管理局に問い合わせているのだろう。しばらく待機状態が続いた。その間も、ルシルは油断なく日躍を監視している。日躍は微動だにせず、真剣な面持ちでコウを見つめていた。
やがて、コウと美雷のやり取りが再開され、短い会話ののち、通話状態のままコウが日躍に視線を戻した。
「どうだった?」
「……詳しい解析の結果、人間界でもフィライン・エデンでもない、だが後者に近い異世界につながっている可能性が高い、という結果だったそうだ。しかも、歪曲型は空間型。お前の言う通り、時間を超える時空洞穴ではなく、超えたのは空間だけだったってことだ」
「そうでしょうとも。ちなみに、フィライン・エデンに近いというのは、おそらく私たちがいる場所が、フィライン・エデンよりも高次ながら、同相世界だからよ。さて、これで信じてもらえたかしら」
「……よく考えてみれば、一度でも空間飛躍をしていながらピンピンしている時点で、尋常ではないか」
どう見ても、破滅を覚悟するほどの相当な代償を払ったようには見えない。情報管理局長の言葉を借りるなら、「ちょっと異世界まで」という感覚でやってきたかのようだ。
ルシルは盛大なため息をついた。
「……三度目までの時空震とは無関係のようだな」
「無関係かといえば、厳密にはノーね。だって私は、度重なる三度の大規模な時空震を憂いた主から、様子を見るように言われてきたんだもの。……それと関係するかわからないけれど、さっき言ってた誘拐って?」
話していいものか、と視線を交わしあう二人の隊長に、日躍は重ねて言う。
「まだ可能性段階だとしても、時空洞穴を通過するような大規模な誘拐が起きているかもしれないのね? 本来なら、私たちはこの世界に介入しない存在だけれど、今回は例外よ。お互いの解決のため、協力しないかしら」
ここで突っぱねることもできた。怪しいと、都合がよすぎると糾弾して。
だが、それは果たして得策だろうか。
何せ、九年前へと誘拐されたリーフたちを救うためには、時空学によほど精通した有識者たちが必要で、その上でも事が好転するかは微妙なのだ。そこへ、空間を超えて現れた、君臨者の使者。全幅の信頼を寄せることは難しいが、味方につければ解決への近道になるかもしれない。それどころか、それが唯一の道かもしれないのだ。
何にせよ、それを決めるのは今ここにいる隊員ではない。コウは通話中のまま離していたピッチを、再度耳に寄せて、
「時尼さん、聞こえてましたか?」
『ええ』
「どうします」
返事は、笑みを含んだ声だった。
『お茶を用意しておくわね』
***
かくして、寄合の席にVIPの客が追加された。
「初めまして、私は日躍。お聞き及びだと思うけれど、あなたたちが君臨者と呼ぶ者の使者よ」
「よろしくね、日躍ちゃん。私は希兵隊の最高司令官、時尼美雷。お目にかかれて光栄よ」
幻にも近い存在を目の当たりにして、早くも現実から乖離したような感覚を味わっていた各隊の隊長たちは、大将ののんきな挨拶に、「順応早すぎだろう」やら「しかも君臨者の使者に『ちゃん』づけ!?」やら様々ツッコみたい気持ちはあったが、出てきかけた言葉を咳払いして消し去った。
「君臨者って、やっぱ本当にいたんだな」
「ってことは、時間のループの謎も聞けるんじゃない?」
「私がなんで選ばれとらんのにフィライン・エデンに関わっとるかも、全部明らかになるったい!」
はしゃぎだした人間三人組を、美雷は子供を落ち着かせるような声音でなだめた。
「気になるのはわかるけれど、それは後でしょう? 今は行方不明事件を何とかしないと。……とはいえ、日躍ちゃん、一つ聞かせてちょうだい。今回の件、去年から発生している、時間が一年巻き戻る現象とは、関係あるの?」
それを聞いて、ようやくその可能性に気付いた雷奈たちは、一気に真剣な顔つきになった。
日躍もまた、真摯なまなざしで答える。
「断言するわ、独立した事象よ。時間のループと今回の時空震とは無関係」
「……そう明言できるということは、やっぱり……」
「これ以上は言わないわ。主に無断で世界の真相を語ることはできない。……時が来たら、わかることだしね」
日躍は意味深長につぶやいた。
「さっき来た……コウとルシルといったかしら。あなたたちには言ったけれど、私は本来、この世界の者たちに介入はしない。けれど今回は別よ。今日発生した時空震は調査する必要があった。過去へつながる時空洞穴が開いたのだしね。時を超えるという行為は、因果律を狂わせる危険性がある。空間飛躍も同じくらいにリスキーよ。異なる性質のものが混じるのは由々しきことなの。だからこそ、時空の力を使うには、源子と綿密な約束をして、達成の暁には代償を払わなければならない」
「あれ、じゃあ日躍は?」
「私は代償なしで時間飛躍できるの。自由自在よ。これでも神に仕える者だからね。ただし、空間飛躍はできない。それは分担が違うから。ここへは、空間飛躍ができるもう一人の使者に飛ばしてもらったのよ」
「役割分担とかしてんのか……」
「けれど、神に仕えし者でもないのに、その代償をものともせず三回も時空飛躍している人物がいる。これが異常なのね?」
美雷の確認に、日躍はこくんとうなずいた。
「代償って、具体的に何ね?」
「源子が何を求めるかによるわね。肉体か、精神か、はたまたもっと別のものか……。世界の理を超越するんだもの、何をされても、そして何を奪われても不思議じゃないわ」
「道理で往復できないわけだ」
想像を超えて壮絶な契約内容に、アワが口の端をひきつらせた。
「でも、それができている者がいるかもしれないのね。ケースとしては、あなたたちがチエアリと呼んでいるものか、あるいは暴走した源子そのものか……」
「源子が暴走するなんてことがあるの?」
「ええ、彼らも命あるものだからね。どちらにせよ、止めなければならない。過去に干渉して歴史が大きく変わったら、何が起こるかわからないから。そして、その過程として、あなたたちが追っている行方不明事件が解決に導かれるかもしれない」
光明がちかりと瞬いて、雷奈は小さくこぶしを握った。
「それで、日躍はどうやって時空震ば起こしたヤツば見つけると?」
「取りうる方法は二つよ」
日躍の眼窩でトパーズが光る。
「一つは、術者が時空震を起こす前の時間に戻って、直接阻止する方法。もう一つは、これから同じ約九年前の人間界へ飛躍して、そこで術者を見つけ出し、これ以上の行動を起こさせないようにする方法」
「ど、どっちにしろ時間飛躍することになるのね……」
フーが放心したように口をぽかんと開けている。
「まあ、そうだろうとは思ったばい。で、二つの方法のうちどっちを?」
「断然後者よ。さっきも言ったけれど、過去に干渉して歴史が変わるのは避けたい。今回の事件は、もう既に起こってしまったことでしょう? だから、それをなかったことにするのは、歴史改変なの。重罪よ」
「重罪……ってことはクロになるのか?」
「普通はね。私はならないわ。フィライン・エデンの猫の枠には、私たちは完全には当てはまらないと思ってちょうだい。ただ、だからといって私が何でもし放題というわけではないわ。重罪は重罪。主が……君臨者がお許しにならないわ。もちろん、私もあえて罪を犯す気はないしね。そういうわけで、今回の件を未然に防いで歴史改変を重ねてしまうのではなく、起こってしまったことをこれから解決する。それが今回の方針よ」
ほうほうとうなずいていたアワが、「ん?」と首をひねる。
「けど、過去に飛躍して何かをすることには変わりないでしょ? うっかり既定の過去を変えちゃったりしない?」
「それは大丈夫よ。私には視えるから」
「え、何が?」
「既定の過去と、過去の世界に交じりこんだ未来が、よ。歴史改変っていうのはね、絵の具で重ね塗りしていくのに似ているの。絵画を構成するもともとの絵の具と、重ね塗りしたばかりの絵の具は違って見えるでしょう? それと同じ。元の歴史と新しい歴史の違いが、私にはわかるの」
「つまり、やるべきことは、元の絵には触れずに重ね塗りを止めること……ってことっちゃか」
「その通り。まあ、重ね塗りしたところも、元の絵に吸収されてしまう、なんてこともあるけどね」
具体的な目標が見えてきたおかげで、隊長たちの目に活力が戻りつつあった。彼らを一人ずつ眺めてから、日躍は美雷に向き直った。
「ここで、私からもお願いがあるの」
「何かしら、日躍ちゃん」
「さっき私は、本来この世界のものに干渉しないところ、今回は別だと言ったわね。あれは、ゴールが同じだからついでに、というだけではないの。私があなたたちに協力するのは、私もあなたたちに協力してほしかったからよ」
美雷が首肯して、続きを促す。
「言ったように、今回の時空震を起こしたのが暴走した源子かチエアリかはわからない。ああ、普通の猫が契約して、っていう説はほとんどボツよ。いくら源子がサービスしてくれても、さすがに三回も時空飛躍を行うなんて不可能だもの。で、犯人が暴走した源子なら、私が抑えきれるのよ。ただ、チエアリだったら攻撃してくるでしょう? 私、戦闘力を持たないから、困るのよ」
「え、マジで言ってる!? あんた神の使いだろ!? めちゃめちゃ強力な術とか使えるのかと思ってた!」
「期待に沿えずごめんなさいね。私たちはあくまでも、フィライン・エデンを見守る存在。源子を従えることはできても、あなたたちのように水や火に変換することはできないのよ」
えー、と口を横に開いたまま固まる氷架璃の肩を軽くたたき、雷奈が日躍の言葉を先取りする。
「つまり、チエアリに襲われたら日躍は戦えんけん、希兵隊員に来てほしい、ってことったいね?」
「まさにそうよ。私はあなたたちを、助けたい人がいる過去に連れていく。あなたたちは、そんな私の護衛をする。悪くない取引でしょ?」
「そうね、というか、現状それしか解決法はないものね。ぜひお願いするわ。こちらからは精鋭をお貸しするから」
美雷の快諾に、日躍はややほっとした表情だ。
「ありがとう。ちなみに、さすがの私も一度に連れていける人数に限りがあるわよ。私に加えて五名。これが限界ね」
「わかったわ。じゃあ、戦闘に関してベテランさんのコウ君とルシルちゃん、あとはそれぞれの副隊長と……」
「ちょい待ち」
あとの一人は回復要員を、と十番隊の隊長を振り向きかけた美雷に、突き出された手のひらが待ったをかけた。
その人物は、先ほどまで軽い調子で議論に参加していたものの、一度は曰く言い難い緊張感をまとった少女だった。彼女の幼馴染は、それより前にも、時空洞穴の解析結果に不随意的な反応を示したのを知っている。
再び、理由も知れぬ緊迫感を醸し出した彼女に、美雷は朗らかに応じた。
「何かしら、氷架璃ちゃん」
「いや、用があるのは、正しくは美雷じゃないんだけどさ。……向日葵、菫。あんたら、三回目までの時空震、約九年前の人間界につながってるって言ってたよな」
「は、はい」
「なんで約九年前なんだ?」
「それは……今現在から離れれば離れるほど、詳しい時間座標が割り出しにくくなるからで……」
「要は、解析じゃ詳しい日がわからなかったってことだよな。まあ、そうだろうとは思ってたんだけど。けどさ……あんたならわかるんじゃないのか」
口調はフランクなまま、まなざしは見たこともないほど真剣。それが次に向けられたのは、世界を俯瞰する存在。
「なあ、日躍。教えてくれ。時空洞穴の先は……九年前の何月何日で、人間界のどこだったんだ?」
彼女は、一つ瞬きをして、トパーズの瞳でまっすぐに見つめ返した。
「どうやら、何か思うところがあるみたいね。いいわ、教えてあげる。私は空間に対してあまり敏感ではないから、人間界のどこかという詳しい場所はわからない。でも、今のワープフープのある場所からそう遠くないと思うわ。そして、時間座標なら詳細にわかる。時空洞穴がつながっていた先は、正しくは、一年ごとのループを含めて、八年と八か月前の一日、真昼よ」
「八年八か月前……つまり、私が小二の時の九月一日」
その日付を聞いた瞬間、芽華実がハッと息をのんだ。
一連のやり取りの意味を図りかねる面々の前で、氷架璃は意を決して告げた。
「日躍。今回の時空飛躍、私も連れてけ。小二の九月一日に死んだ私の母さんに、何か関係があるかもしれない」
先頭を切って走っていたコウとルシルは、木立の終点が見えてきたのを目処に速度を緩めた。月見山は、頂上だけ円の形に木々が姿を消し、原っぱのようになっていることから、月見のスポットとしておあつらえ向きと名付けられた山だ。山林の切れ目はすなわち、頂上への入り口である。
木の幹に身を隠しながら、ルシルがささやいた。
「全員、息を整えろ。この先が、時空震の発生源だ。まだ余波があるかもしれないし、それを起こした人物……ややもすればチエアリがいるかもしれない」
執行着を着た双体の副隊長と、主体で後をついてきていた隊員たちが無言でうなずく。
「オレと波音が前線、あとの三名が後衛で入る。いいか?」
「わかった。私たち二番隊は、いざというときの奇襲や本部への連絡など、バックアップを引き受けよう」
作戦を確認し終えると、コウは部下を伴って、頂上へと一気に足を踏み入れた。
新月も近い今宵は、月明かりも無きに等しい。ここに至るまでも暗く、夜目の利く猫でなければ難儀したであろう道のりだった。星明かりさえ、平地になった頂上を照らすには及ばない。
――そんな暗がりの中で、その姿は輝くような存在感を放っていた。
コウたちと同じくらいの大きさの猫だった。ふさふさとした長毛で、霞冴に似た首周りの飾り毛をもっている。しかし、その毛並みは、今まで見たことのない、黄金色をしていた。さらに、背中にはちょこんと鳥のような小さな翼が生えており、それは目の覚めるような赤。同色の首輪が、飾り毛の根元に巻かれている。そんな、ある種の神々しささえ与えるような稀有な風貌の猫が、草で覆われた広場に、コウたちに背を向けて座っていた。
クロではない。ダークでも、チエアリでもなさそうだ。しかし、だからといって普通の猫にも見えない。
コウは十分に用心しながら、一歩ずつ金色の猫に近づいて行った。四歩目を踏んだ時、ぴくんと三角耳が動き、猫がコウを振り向いた。音か気配に気づいたのだろう。
コウは波音の斜め前に出ながら、低い声で問うた。
「誰だ」
「初めまして。その服装は、希兵隊ね。昔から変わらない伝統だわ」
コウの眉間に怪訝そうなしわが刻まれた。昔から、というには、その猫の声は若すぎる。せいぜい十八から二十歳程度の女の声。
彼女は四つ足で立ち上がり、コウのほうへ数歩歩み寄ると、朱の混じった黄金の瞳でまっすぐに見つめ返して、
「私の名は日躍。フィライン・エデンを見守る存在、君臨者の使者よ」
そう、言った。
「君臨者の……使者だって!?」
思わず、傍らの波音と目を見合わせた。
しばらく後方で様子を見守っていたルシルたちは、コウが言葉を交わしているのを見て、恐る恐る山林から出た。そして、フィライン・エデンで例を見ない金毛の猫に息をのんだ。
「コウ、このひとは……?」
「日躍って名乗ってる。そして聞いて驚け、君臨者の使者だとよ」
「なんだと!? そんなことが……というか、もしそうなら、君臨者は本当に存在したのか……!?」
「あら、心外ね。主に君臨者という呼び名をつけたのは、あなたたちフィライン・エデンの猫でしょう? 信じているものと思ったけれど」
ひげのあたりを手でなでる日躍に、ルシルは怖じずに言い放った。
「君臨者の存在を仮定しないと説明できない事柄が多い。だから概念として設けられ、呼び名がつけられたんだ。だが、その存在証明はできていないのだから、そんなことを言われては驚くのも当然だろう」
「まあ、そうね。ってことは、私の言葉は半信半疑なのね?」
「もちろんだ」
「それなら、これを聞いたら信じてもらえるかしら」
日躍は姿勢を正すと、自分を囲む希兵隊員を堂々と見まわした。
「今日、この世界で四回、時空震が起きたでしょ。一度目は十二時半。二度目は午後三時。三度目は午後三時半、そして最後に、今さっき。初めの三度は、いずれも今のフィライン・エデンと、約九年前の人間界とを結んでる」
コウが目を見張った。他の隊員たちは、時空震発生について概要しか聞かされていないので、真偽をはかりかねて戸惑った様子だ。
通常、時空震は感知することができない。この世界でそれを知ることができるのは、専門の測定機材だけだ。彼女が情報管理局員なら、その情報を有しているのも納得できるのだが、だとすると、四度目の時空震発生地に一人でたたずんでいたのはどういうわけか。どうにも、ただ者でない気配がする。
(じゃあ、やっぱりこいつは……)
コウが口を開きかけた時だ。
「いや、不十分だ」
ルシルが凛と告げて前に出た。
「確かに、お前の言った内容は正確だ。だが、今、時空洞穴を使った誘拐事件の可能性が浮上している。そのために起こしたと思しき三度の時空震。そこへ四度目が起こり、発生源に来てみればお前がいた。犯人だとは言わない。代償を払ってそんなに健在でいられるとは思えないからな。だが、共犯者くらいはにらんでいる。共犯なら、時空震の詳細について知っていてもおかしくないし、責任逃れのために狂言を口にしている線も否めない」
「なるほどね……」
日躍は困ったように苦笑し、うーんと夜空を仰いでから、
「じゃあ、あなたたちの仲間で、時空震の様相を知ることができる子に聞いてみて。さっきの、四度目の時空震は、どこからのものなのか。フィライン・エデンでも、人間界でもないと答えるはずよ。時代は越えてないから、空間だけがゆがんでいることになるわね」
「そうか……!」
ルシルはコウを振り返り、美雷に連絡するよう頼んだ。
皆、さきほど起こった四度目の時空震は、三度目の時空震と同時に九年前の人間界へ行った犯人が、今この世界に戻ってきたときのものだと思っている。しかし、もし日躍の言うことが本当ならば、四度目の時空震は人間界からのものであるはずがない。君臨者の使者が、なぜ人間界にいようか。
コウは美雷に、日躍の名と容姿、そして彼女が口にした情報のすべてを話した。
『……本当なの?』
「それを確かめるためには、樹香たちに聞く必要があります。四度目の時空震の解析結果を」
『……ええ、そうね。少し待ってくれるかしら』
美雷の声は、それ以降は遠くなった。かすかに、その場の全員に情報を共有し、向日葵と菫に追加の情報を求めるのが聞こえた。
樹香姉妹のどちらかが、情報管理局に問い合わせているのだろう。しばらく待機状態が続いた。その間も、ルシルは油断なく日躍を監視している。日躍は微動だにせず、真剣な面持ちでコウを見つめていた。
やがて、コウと美雷のやり取りが再開され、短い会話ののち、通話状態のままコウが日躍に視線を戻した。
「どうだった?」
「……詳しい解析の結果、人間界でもフィライン・エデンでもない、だが後者に近い異世界につながっている可能性が高い、という結果だったそうだ。しかも、歪曲型は空間型。お前の言う通り、時間を超える時空洞穴ではなく、超えたのは空間だけだったってことだ」
「そうでしょうとも。ちなみに、フィライン・エデンに近いというのは、おそらく私たちがいる場所が、フィライン・エデンよりも高次ながら、同相世界だからよ。さて、これで信じてもらえたかしら」
「……よく考えてみれば、一度でも空間飛躍をしていながらピンピンしている時点で、尋常ではないか」
どう見ても、破滅を覚悟するほどの相当な代償を払ったようには見えない。情報管理局長の言葉を借りるなら、「ちょっと異世界まで」という感覚でやってきたかのようだ。
ルシルは盛大なため息をついた。
「……三度目までの時空震とは無関係のようだな」
「無関係かといえば、厳密にはノーね。だって私は、度重なる三度の大規模な時空震を憂いた主から、様子を見るように言われてきたんだもの。……それと関係するかわからないけれど、さっき言ってた誘拐って?」
話していいものか、と視線を交わしあう二人の隊長に、日躍は重ねて言う。
「まだ可能性段階だとしても、時空洞穴を通過するような大規模な誘拐が起きているかもしれないのね? 本来なら、私たちはこの世界に介入しない存在だけれど、今回は例外よ。お互いの解決のため、協力しないかしら」
ここで突っぱねることもできた。怪しいと、都合がよすぎると糾弾して。
だが、それは果たして得策だろうか。
何せ、九年前へと誘拐されたリーフたちを救うためには、時空学によほど精通した有識者たちが必要で、その上でも事が好転するかは微妙なのだ。そこへ、空間を超えて現れた、君臨者の使者。全幅の信頼を寄せることは難しいが、味方につければ解決への近道になるかもしれない。それどころか、それが唯一の道かもしれないのだ。
何にせよ、それを決めるのは今ここにいる隊員ではない。コウは通話中のまま離していたピッチを、再度耳に寄せて、
「時尼さん、聞こえてましたか?」
『ええ』
「どうします」
返事は、笑みを含んだ声だった。
『お茶を用意しておくわね』
***
かくして、寄合の席にVIPの客が追加された。
「初めまして、私は日躍。お聞き及びだと思うけれど、あなたたちが君臨者と呼ぶ者の使者よ」
「よろしくね、日躍ちゃん。私は希兵隊の最高司令官、時尼美雷。お目にかかれて光栄よ」
幻にも近い存在を目の当たりにして、早くも現実から乖離したような感覚を味わっていた各隊の隊長たちは、大将ののんきな挨拶に、「順応早すぎだろう」やら「しかも君臨者の使者に『ちゃん』づけ!?」やら様々ツッコみたい気持ちはあったが、出てきかけた言葉を咳払いして消し去った。
「君臨者って、やっぱ本当にいたんだな」
「ってことは、時間のループの謎も聞けるんじゃない?」
「私がなんで選ばれとらんのにフィライン・エデンに関わっとるかも、全部明らかになるったい!」
はしゃぎだした人間三人組を、美雷は子供を落ち着かせるような声音でなだめた。
「気になるのはわかるけれど、それは後でしょう? 今は行方不明事件を何とかしないと。……とはいえ、日躍ちゃん、一つ聞かせてちょうだい。今回の件、去年から発生している、時間が一年巻き戻る現象とは、関係あるの?」
それを聞いて、ようやくその可能性に気付いた雷奈たちは、一気に真剣な顔つきになった。
日躍もまた、真摯なまなざしで答える。
「断言するわ、独立した事象よ。時間のループと今回の時空震とは無関係」
「……そう明言できるということは、やっぱり……」
「これ以上は言わないわ。主に無断で世界の真相を語ることはできない。……時が来たら、わかることだしね」
日躍は意味深長につぶやいた。
「さっき来た……コウとルシルといったかしら。あなたたちには言ったけれど、私は本来、この世界の者たちに介入はしない。けれど今回は別よ。今日発生した時空震は調査する必要があった。過去へつながる時空洞穴が開いたのだしね。時を超えるという行為は、因果律を狂わせる危険性がある。空間飛躍も同じくらいにリスキーよ。異なる性質のものが混じるのは由々しきことなの。だからこそ、時空の力を使うには、源子と綿密な約束をして、達成の暁には代償を払わなければならない」
「あれ、じゃあ日躍は?」
「私は代償なしで時間飛躍できるの。自由自在よ。これでも神に仕える者だからね。ただし、空間飛躍はできない。それは分担が違うから。ここへは、空間飛躍ができるもう一人の使者に飛ばしてもらったのよ」
「役割分担とかしてんのか……」
「けれど、神に仕えし者でもないのに、その代償をものともせず三回も時空飛躍している人物がいる。これが異常なのね?」
美雷の確認に、日躍はこくんとうなずいた。
「代償って、具体的に何ね?」
「源子が何を求めるかによるわね。肉体か、精神か、はたまたもっと別のものか……。世界の理を超越するんだもの、何をされても、そして何を奪われても不思議じゃないわ」
「道理で往復できないわけだ」
想像を超えて壮絶な契約内容に、アワが口の端をひきつらせた。
「でも、それができている者がいるかもしれないのね。ケースとしては、あなたたちがチエアリと呼んでいるものか、あるいは暴走した源子そのものか……」
「源子が暴走するなんてことがあるの?」
「ええ、彼らも命あるものだからね。どちらにせよ、止めなければならない。過去に干渉して歴史が大きく変わったら、何が起こるかわからないから。そして、その過程として、あなたたちが追っている行方不明事件が解決に導かれるかもしれない」
光明がちかりと瞬いて、雷奈は小さくこぶしを握った。
「それで、日躍はどうやって時空震ば起こしたヤツば見つけると?」
「取りうる方法は二つよ」
日躍の眼窩でトパーズが光る。
「一つは、術者が時空震を起こす前の時間に戻って、直接阻止する方法。もう一つは、これから同じ約九年前の人間界へ飛躍して、そこで術者を見つけ出し、これ以上の行動を起こさせないようにする方法」
「ど、どっちにしろ時間飛躍することになるのね……」
フーが放心したように口をぽかんと開けている。
「まあ、そうだろうとは思ったばい。で、二つの方法のうちどっちを?」
「断然後者よ。さっきも言ったけれど、過去に干渉して歴史が変わるのは避けたい。今回の事件は、もう既に起こってしまったことでしょう? だから、それをなかったことにするのは、歴史改変なの。重罪よ」
「重罪……ってことはクロになるのか?」
「普通はね。私はならないわ。フィライン・エデンの猫の枠には、私たちは完全には当てはまらないと思ってちょうだい。ただ、だからといって私が何でもし放題というわけではないわ。重罪は重罪。主が……君臨者がお許しにならないわ。もちろん、私もあえて罪を犯す気はないしね。そういうわけで、今回の件を未然に防いで歴史改変を重ねてしまうのではなく、起こってしまったことをこれから解決する。それが今回の方針よ」
ほうほうとうなずいていたアワが、「ん?」と首をひねる。
「けど、過去に飛躍して何かをすることには変わりないでしょ? うっかり既定の過去を変えちゃったりしない?」
「それは大丈夫よ。私には視えるから」
「え、何が?」
「既定の過去と、過去の世界に交じりこんだ未来が、よ。歴史改変っていうのはね、絵の具で重ね塗りしていくのに似ているの。絵画を構成するもともとの絵の具と、重ね塗りしたばかりの絵の具は違って見えるでしょう? それと同じ。元の歴史と新しい歴史の違いが、私にはわかるの」
「つまり、やるべきことは、元の絵には触れずに重ね塗りを止めること……ってことっちゃか」
「その通り。まあ、重ね塗りしたところも、元の絵に吸収されてしまう、なんてこともあるけどね」
具体的な目標が見えてきたおかげで、隊長たちの目に活力が戻りつつあった。彼らを一人ずつ眺めてから、日躍は美雷に向き直った。
「ここで、私からもお願いがあるの」
「何かしら、日躍ちゃん」
「さっき私は、本来この世界のものに干渉しないところ、今回は別だと言ったわね。あれは、ゴールが同じだからついでに、というだけではないの。私があなたたちに協力するのは、私もあなたたちに協力してほしかったからよ」
美雷が首肯して、続きを促す。
「言ったように、今回の時空震を起こしたのが暴走した源子かチエアリかはわからない。ああ、普通の猫が契約して、っていう説はほとんどボツよ。いくら源子がサービスしてくれても、さすがに三回も時空飛躍を行うなんて不可能だもの。で、犯人が暴走した源子なら、私が抑えきれるのよ。ただ、チエアリだったら攻撃してくるでしょう? 私、戦闘力を持たないから、困るのよ」
「え、マジで言ってる!? あんた神の使いだろ!? めちゃめちゃ強力な術とか使えるのかと思ってた!」
「期待に沿えずごめんなさいね。私たちはあくまでも、フィライン・エデンを見守る存在。源子を従えることはできても、あなたたちのように水や火に変換することはできないのよ」
えー、と口を横に開いたまま固まる氷架璃の肩を軽くたたき、雷奈が日躍の言葉を先取りする。
「つまり、チエアリに襲われたら日躍は戦えんけん、希兵隊員に来てほしい、ってことったいね?」
「まさにそうよ。私はあなたたちを、助けたい人がいる過去に連れていく。あなたたちは、そんな私の護衛をする。悪くない取引でしょ?」
「そうね、というか、現状それしか解決法はないものね。ぜひお願いするわ。こちらからは精鋭をお貸しするから」
美雷の快諾に、日躍はややほっとした表情だ。
「ありがとう。ちなみに、さすがの私も一度に連れていける人数に限りがあるわよ。私に加えて五名。これが限界ね」
「わかったわ。じゃあ、戦闘に関してベテランさんのコウ君とルシルちゃん、あとはそれぞれの副隊長と……」
「ちょい待ち」
あとの一人は回復要員を、と十番隊の隊長を振り向きかけた美雷に、突き出された手のひらが待ったをかけた。
その人物は、先ほどまで軽い調子で議論に参加していたものの、一度は曰く言い難い緊張感をまとった少女だった。彼女の幼馴染は、それより前にも、時空洞穴の解析結果に不随意的な反応を示したのを知っている。
再び、理由も知れぬ緊迫感を醸し出した彼女に、美雷は朗らかに応じた。
「何かしら、氷架璃ちゃん」
「いや、用があるのは、正しくは美雷じゃないんだけどさ。……向日葵、菫。あんたら、三回目までの時空震、約九年前の人間界につながってるって言ってたよな」
「は、はい」
「なんで約九年前なんだ?」
「それは……今現在から離れれば離れるほど、詳しい時間座標が割り出しにくくなるからで……」
「要は、解析じゃ詳しい日がわからなかったってことだよな。まあ、そうだろうとは思ってたんだけど。けどさ……あんたならわかるんじゃないのか」
口調はフランクなまま、まなざしは見たこともないほど真剣。それが次に向けられたのは、世界を俯瞰する存在。
「なあ、日躍。教えてくれ。時空洞穴の先は……九年前の何月何日で、人間界のどこだったんだ?」
彼女は、一つ瞬きをして、トパーズの瞳でまっすぐに見つめ返した。
「どうやら、何か思うところがあるみたいね。いいわ、教えてあげる。私は空間に対してあまり敏感ではないから、人間界のどこかという詳しい場所はわからない。でも、今のワープフープのある場所からそう遠くないと思うわ。そして、時間座標なら詳細にわかる。時空洞穴がつながっていた先は、正しくは、一年ごとのループを含めて、八年と八か月前の一日、真昼よ」
「八年八か月前……つまり、私が小二の時の九月一日」
その日付を聞いた瞬間、芽華実がハッと息をのんだ。
一連のやり取りの意味を図りかねる面々の前で、氷架璃は意を決して告げた。
「日躍。今回の時空飛躍、私も連れてけ。小二の九月一日に死んだ私の母さんに、何か関係があるかもしれない」
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