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第1章 婚約者との関係再構築

眩しい目覚め

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ドアをノックする音で目が覚める。

相変わらず体は痛い。
あの後案外すぐに寝れたなと考えていると
返事を待たずにドアは開かれメイドが入ってくる。

あれ?メイドが返事を待たないのは珍しいな。

メイドと目が合う。するとメイドは口をパクパクさせて目を見開いた。

「ミシェル様、お目覚めですか?」

僕は頷く。
するとメイドは部屋から急ぎ足で出ていった。

遠くから「旦那様、旦那様!」と声が聞こえてくる。

程なくしてバタバタと複数人の足音が近づいてくる。

ドアが勢いよく開かれお父様とお母様、お兄様が部屋に入って来て、
「シェル!目が覚めたのか!」とお父様が叫ぶ。

僕は目を見て頷く。

すると3人が駆け寄ってきて、抱き締めれる。
「良かった、、良かった」
と涙声で話している3人を見て、ふと頭に昨夜のような頭痛が走り、記憶が流れ込んできた。

僕は学校の寮への帰り道に急に後ろから口を塞がれ誘拐されてしまったのだった。そしてホコリの被った小屋まで連れていかれ、抵抗しようとした僕は脚を蹴り飛ばされ頭を机に打ってしまったのだった。
断片的ではあるが記憶がもどる。


「僕はどのくらい寝てたの?」と聞くと
「2週間だよ」と
想定していたよりも長い期間を言われ驚く。

みんなのハグに応えようと体を起こすと次は全身に痛みが走り、声を出してしまった。

3人は体から少し離れ、手を握った。
「大丈夫?どこが痛むの?」
「今医者を呼んでいるからもう少しの辛抱だよ」

「ほんとに心配してたのよ」
ピンクの柔らかい髪を持つ優しいお母様が涙を流しながら言う。

「シェル、もうずっと安全な家に居なよ」
お兄様に心配した顔で見られる。

「シェル、守ってやれなくてごめんな、」
いつもはキリッとかっこいいお父様も今は泣き出しそうな顔をしている。


「心配かけてごめんなさい。でもみんなの悲しい顔を見るのは僕も悲しいよ。安静にしてたらすぐ治るから心配しないで!」
僕は家族が大好きだから心配な顔を見るのはこっちまで辛くなってくる。

「今少し記憶が混乱してて、、何があったか教えて欲しいな」

すると怒りを宿した赤い瞳でお兄様が話し出す。

「ショワズール家の三男がシェルに嫉妬したみたいで誘拐させたんだよ。本当に許せない。シェルが愛おしいことは嫉妬しても変わらない事実なのに。愚かなことをするよ。ほんとに。こんな怪我までさせて、、」
拳をわなわなと震わせている。

お兄様は僕のことになると過激になっちゃうから注意が必要だ。でも誘拐は良くないし実際怪我も負わされている。さすがに庇えないな。

「シェル、記憶が曖昧なの?お医者様に相談しましょう。私たちのことは覚えているのよね?」

「うん!お母様とお父様、リアン兄様!もちろん覚えているよ!」

「良かったわ、シェル」

お医者様がやってきて今の体の状態を伝え、軽い診察が行われた。記憶が曖昧なところがあると伝えると、軽い記憶障害だと言われた。

少なくとも2週間は、できることなら1ヶ月は安静にして欲しいと言われてしまった。
するといつの間にか来ていた家庭教師のマルクは沢山読書が出来ますね。とつぶやき部屋を出ていった。

嫌な予感がする、、


診察と家族とのお話が一段落ついたので部屋には僕一人となった。

家族のことや学園のことは覚えているのでそんなに記憶喪失は深刻なものではないのかもしれないな、とひと安心した時、昨夜のことを思い出した。

あっそういえば昨日部屋に知らない人が来たんだった、お父様に言おうと思っていたのにすっかり忘れていた。
家族とメイドから何かあったらすぐに呼べるようにとベルをベットのわきのテーブルに置かれたのだが、何も危害は加えられていないし呼んでまでも言わなくていいかと思う。

あの人は誰だったんだろう。昨日の流れてきた記憶では出会ったことがあるようなのだが全く思い出せない。
記憶障害は無理に思い出そうとするのは良くないそうで自然と思い出すのを時間に任せて待つ方が良いと言われたので素直に従い思い出すのはやめにした。

今日はマルク先生から渡された本を1冊だけ呼んだらもうすぐ寝てしまおうと決める。

渡された本は全て分厚く量も多い。
これはコツコツ毎日頑張らないとな、と思いつつ本を開ける。


やっと1冊読み終わった頃にはもう夜となっていた。
夕食を部屋で食べ、家族がおやすみを言いに来てから目をつぶる。体を動かしてないからなのか、ずっと眠っていたせいなのか寝れなくて昨日の人が来ないかな、と考えながらバルコニーを見つめている。

それからしばらくした後まだ眠れないでいた僕の視界には昨日の黒ずくめさんが入ってきた。
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