魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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1年の長期休暇後のルセリア

91話 獣人がユースティテ王国にくる

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空は少し曇り、朝から暗かった。

今日はいよいよ、獣人国のアマーゾネから使者がユースティテ王国にくる日だ。

ただ、この訪問は表では発表されていないため、パレードのような国民からの歓迎はない。

理由としては、国として獣人と交流をするのは初めての事らしく。国民を不安にさせてはいけない、

そして、もう一つが反王族派がそのことを知れば、何かを起こす可能性がある。

以上の理由から上層部は国民に今回の訪問を知らせていない。

王都の街並みは日々の日常と変わらない。



歓迎パーティーは夜行われるようだから、支度は夕方からでもいい。

朝食を終え部屋に戻るもすることがない私は、ベッドで横になり、2度寝しようとする。メイドのアリサから



「お嬢様。太りますよ」



私が最近気にしていることをアリサが警告してくる。ジオテゴニア国から謝礼として送られてきた品々の中で、調味料が多くあっため、私は食事に調味料を使い始めた。その結果、食べる量が以前より増え、ちょっと体重を気にしなくてはならなくなった。



美味しいは正義、美味しいは罪、まさにその通りだと思う。

横になったけど、アリサの言葉で2度寝はやめることにした。

部屋ですることもないし、それなら運動するために、”歩きますか”広い屋敷を歩いてもよかったけれど、ただ歩くだけというのもないかなぁと思い、



「本屋に行きましょう」



長期休暇にジオテゴニア国で買った本はもうすでに読み終えているため、次の本が欲しいところだった。

いきなりということもあり、今日は騎士のメシスはいないため屋敷の警護をしている人に同行をお願いした。







馬車で屋敷を出て、本屋がある通りの道まで出て来てから、馬車を降りる。

しばらく、警護のものと歩いていると、



「待ってくださいサンガ様」

と叫び声が後方から聞こえてきた。振り返ると、子供を大人が追っていた。



何だろう?一か月前に見たような光景だ。

やがて子供は大人につかまり、「失礼いたします」と大人に言われ、肩に乗せられる。

子供は肩の上で抵抗し、

「国に帰るんだ。はなせ」



と何度も叫ぶ。そのため、頭に巻き付けていた包帯が男の子だけとれる。

包帯の下から現れたのは、人間とは違う耳、いわゆるケモミミと呼んでいいものだった。

子供を担いでいた男が素早く落ちる包帯をキャッチする。

それからは器用に片手で男の子の頭に包帯を巻いていく。

一瞬の出来事だったため、気が付いた人はいただろうが、驚きのほうが強く騒ぎ立てることはなかった。

男は男の子を背負い、来た道を戻って行く。



それを見た私は警護の人に



「追いましょう」



と命令を出す。早歩きで2人を追っている私に警護のものが「危険です」「旦那様と奥様が心配いたします」

と注意してくるが、構わず2人を追いかける。



やがて、同じ服装をした集団と合流するところが見えてきた。数にして、数十人かしら。

全員、頭に包帯を巻いている。間違いない、獣人国アマーゾネの使者だ。



早歩きで歩いてきたので、疲れた私は周りに聞こえるくらいの音で息継ぎをしていた。

その音が耳に届いたのか?男の子を担いでいた男が振り返り私を見て来る。

そして、男に担がれたサンガという少年も顔を上げる。その時、少年と私の目が合う。



「あなたは、何者ですか?」



男が私に問うてくる。

少し息を切らせながら警護のものが到着する。少し張り詰めた空気に護衛のものが驚く。



「お嬢様、お下がりください」



警護のものが私の前に出て。剣の鞘に手を置くが私がさらにその上に手を置く。

真剣な警護の人をよそに、私は一歩前にで一礼する



「ようこそ、ユースティテ王国へ、私はこの国のアストライア公爵家令嬢ルセリア・アストライアです。

獣人国アマーゾネの使者の皆さま」



私は初めて獣人と言葉を交わした。
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