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1年の長期休暇後のルセリア
86話 星読みの魔眼
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ルセリアが村長と共に魔人と神官たちの前から立ち去ってから、魔人の二人は最初のように、オリンポス神の像に祈ろとすることはなく、そのため、神官たちも魔人2人を拘束しようとはしなくなっていた。
祈ることよりも、魔人2人には、今の出来事が都合のいい幻だったのではないかと、先ほどのことを思い出していた。
修道女が自分たちの前に出てきて、神官たちから私たちをかばい、長年魔人たちが悩んでいた病の打開策、治療法を教えてくれた。あまりにも信じられない出来事に魔人の男ツターンは放心していた。
「ツターン、教会から出ようか?」
男のフードをひっ張り、もう一人の魔人の子が言う。
「アテム様、よろしいのですか?」
「ああ、今はあの修道女の言葉を信じてみよう」
アテムがそう言うと、わかりました。とお辞儀をして、神官達や信者や参拝の人たちに
深々とお辞儀をし、騒ぎを起こしたことを謝罪して、教会を去っていった。
★★★
ツターンは教会を出て、アテムと歩きながら、これまでの事を思い返していた。
ツターンは魔人国の貴族で自身が納めている領土で今回の病にかかるものが多く出たため、魔王にそのことを伝えるために魔王が住んでいる都に向かった。
ツターンと魔王は昔から仲が良く、公の場でないときは、ため口なども許される中だった。
久しぶりに魔王と会ったツターンだが、魔王の様子がおかしく、元気がない。話を聞くと、どうやら第一子のアテム様が病にかかってしまわれたと、しかもその病が昔から魔人を苦しめ、今まさに我が領土を苦しめる病と同じという。
治療法はなく、魔人にしてみれば、不治の病ということだ。
これまで、医術に秀でた者や神に仕える者がこの病を見ても、どうにもならなかった。
魔王の息子までが病にかかったと知り、来る時よりも帰るときのほうが足が重かった。
ツターンは、馬を走らせ自身の領土に帰ろうとしたその日の夜、魔王の都で馬車を走らせていた時、ふと、小さなテントが目に入った。本来なら、そのまま過ぎ去るはずが「占い師 マード」と看板が出ていた。それを見た瞬間、昔の記憶を思い出す。
昔、前の魔王様から聞いたことのある名前だった。
星読みの魔眼を持っていて、良き道に導いてくれる占い師マード。いろいろなところを旅しているため、
一か所にとどまることがないため、看板の名前を見るまでは、ツターンも忘れていた。
ツターンは馬から降り、テントの中に入る。
テントの中には年を取った高齢の魔人が椅子に座っていた。
「ようこそ、人生に絶望したかい、それとも運命を呪ったかい?」
開口一番の言葉がそれだ。ツターンは驚き、自分の考えや記憶を覗かれたのかと思ってしまった。
「ひゃぁやぁや!冗談じゃ。さぁ。座ってくれ」
笑いながら、マードはツターンに椅子に座るように促す。
ツターンは緊張しながらも、椅子に座り、マードに今悩んでいることを話していく。
流石に、魔王の息子までが病ということは話せないため、自分の息子が、と少し内容を変えて相談した。
話を終え、しばらく無言の時間が過ぎる。
そして、マードが腰を上げ、テントの外にゆっくり出ていく。ツターンはついていき、テントを出ると、マードは顔を上げ、夜空を見ていた。真剣な顔で夜空を見上げるマードの目には夜空に輝く星が映っていた。
そして、夜空から視線を下げ、今度はツターンを見る。
「人の国、ユースティテ王国に行きなされ。さすれば運命の出会いがあるはずじゃ。ただし、おぬしの息子も一緒に連れていきなさい」
「どういうことですか?」
「わしが占えたのはそこまで、後はお前さんが決めなされ」
そういって、マードはテントの中に入っていった。
ツターンはしばらく、その場から動けなかった。しかし、すぐに魔王にこのことを伝えなければと思い、急いで魔王城まで引き返し、魔王にこのことを話した。魔王も「占い師 マード」の話は知っていたため、信じる価値はあると思えた。しかし、問題は魔王の息子のアテムまで同行しなくてはならないということ。
まだ病にかかったばかりで、日常生活に問題はない。しかし、自国ではない他国、それも人間の国だ。
悩んだ末に、息子のアテムにもそのことを伝えた。
アテムはしばらく考え込むが
「可能性かあるほうに進みたい」
と不安がありながらも、答えた。
旅先で病が進行し、死ぬ可能性が高まると話をしてもアテムはツターンと行く方を自分で選んだ。
魔王に不安はあるが、ツターンに息子のことを任せ、マードの言葉どおり、人の国ユースティテ王国に行くことを極秘に許可した。そして、次の日にはユースティテ王国に向かって馬車を走られた。
魔王の都で馬車を走らせているとき、昨日あった「占い師 マード」の看板とテントはきれいになくなっていた。
何日も馬を走らせ、やっとユースティテ王国に到着した。
ツターンはアテムにフードを渡し、魔人とバレては面倒なので、種族を隠して行動しましょうと提案した。
いくつかの村や都を見て、そこに住む人から話を聞いていく。
しかし、有益な情報を得ることはできなかった。そして、アテムは長旅の疲れと相まって、病が進行してき、身体のいたるところが紫色に変色していった。種族を隠すためのフードが今では病気を隠すフードにもなっていた。
その様子を毎日見続けていた、ツターンは、どうすることもできない己の無力さに何度も拳を握っては、手から血が流れた。
そして、有益な情報が得られないなまま、遂にユースティテ王国の王都にたどり着いた。
早速、病院や薬屋を尋ねて話を聞くも、今までと変わらず、何も進展がなかった。旅をしながら分かったことだが人間はこの病は発症することがなく、ほとんどの人間はこの病を知らなかった。それは人間の医師であっても変わらない。
段々と、絶望の色が濃くなっていく中、都を歩いていると、人が多く並んで、とても神聖な建物が目はいった。
教会、人間が神を信仰・崇拝するための建物。魔人国にも神を信仰・崇拝するための建物はあるがこれほど立派ではない。
ツターンは神頼みはまだだったと思い、アテムと一緒に教会に入っていく。
そして、順番が回り人間の神オリンポス神7柱の石造の前に立ちしばらくの間拝む。しかし、何も起きない。奇跡も何も。
段々と今までの苦悩や挫折といった負の感情が心の底からあふれだしてきた。
気が付けば、大きな声で
「オリンポス神よ、どうか我が民をこの子をお救いください。お願いします」
悲鳴に近い声で、教会に響く音量で叫んでしまっていた。
周りの視線にかまう余裕もなく、ひたすら叫ぶことしかできなかった。
膝を地面につき、何度もお願いしますと。最後は神官たちに囲まれ、その場から退場させられそうになる。
神官につかまれたときには、すでに私の心は絶望しかなかった。フードをはがされ、魔人と人間たちが気が付き、騒ぐがどうでもよかった。その時の私の目には世界がすべて濁っているように見えていた。
アテム様のフードもはがされ、紫色の肌があらわになり、神官までもが私たちからいったん離れ、最後には剣を向けてくる。もう、このまま殺されてもいいかと思った時、
「待ってください。この病は人から感染はしませんし。呪いでもありません!!」
一人の少女の声が聞こえてきた。顔を上げると修道女の少女が一人、私たちの前に立っていた。
横顔からでもわかる強い意志を秘めた青い眼、その眼を見たとき、なぜか「占い師 マード」の言葉が頭をよぎった。
「人の国、ユースティテ王国に行きなされ。さすれば運命の出会いがあるはずじゃ。ただし、おぬしの息子も一緒についていきなさい」
運命の出会い、この少女と出会うことが、、、、
ツターンの運命が大きく変わった瞬間だった。
祈ることよりも、魔人2人には、今の出来事が都合のいい幻だったのではないかと、先ほどのことを思い出していた。
修道女が自分たちの前に出てきて、神官たちから私たちをかばい、長年魔人たちが悩んでいた病の打開策、治療法を教えてくれた。あまりにも信じられない出来事に魔人の男ツターンは放心していた。
「ツターン、教会から出ようか?」
男のフードをひっ張り、もう一人の魔人の子が言う。
「アテム様、よろしいのですか?」
「ああ、今はあの修道女の言葉を信じてみよう」
アテムがそう言うと、わかりました。とお辞儀をして、神官達や信者や参拝の人たちに
深々とお辞儀をし、騒ぎを起こしたことを謝罪して、教会を去っていった。
★★★
ツターンは教会を出て、アテムと歩きながら、これまでの事を思い返していた。
ツターンは魔人国の貴族で自身が納めている領土で今回の病にかかるものが多く出たため、魔王にそのことを伝えるために魔王が住んでいる都に向かった。
ツターンと魔王は昔から仲が良く、公の場でないときは、ため口なども許される中だった。
久しぶりに魔王と会ったツターンだが、魔王の様子がおかしく、元気がない。話を聞くと、どうやら第一子のアテム様が病にかかってしまわれたと、しかもその病が昔から魔人を苦しめ、今まさに我が領土を苦しめる病と同じという。
治療法はなく、魔人にしてみれば、不治の病ということだ。
これまで、医術に秀でた者や神に仕える者がこの病を見ても、どうにもならなかった。
魔王の息子までが病にかかったと知り、来る時よりも帰るときのほうが足が重かった。
ツターンは、馬を走らせ自身の領土に帰ろうとしたその日の夜、魔王の都で馬車を走らせていた時、ふと、小さなテントが目に入った。本来なら、そのまま過ぎ去るはずが「占い師 マード」と看板が出ていた。それを見た瞬間、昔の記憶を思い出す。
昔、前の魔王様から聞いたことのある名前だった。
星読みの魔眼を持っていて、良き道に導いてくれる占い師マード。いろいろなところを旅しているため、
一か所にとどまることがないため、看板の名前を見るまでは、ツターンも忘れていた。
ツターンは馬から降り、テントの中に入る。
テントの中には年を取った高齢の魔人が椅子に座っていた。
「ようこそ、人生に絶望したかい、それとも運命を呪ったかい?」
開口一番の言葉がそれだ。ツターンは驚き、自分の考えや記憶を覗かれたのかと思ってしまった。
「ひゃぁやぁや!冗談じゃ。さぁ。座ってくれ」
笑いながら、マードはツターンに椅子に座るように促す。
ツターンは緊張しながらも、椅子に座り、マードに今悩んでいることを話していく。
流石に、魔王の息子までが病ということは話せないため、自分の息子が、と少し内容を変えて相談した。
話を終え、しばらく無言の時間が過ぎる。
そして、マードが腰を上げ、テントの外にゆっくり出ていく。ツターンはついていき、テントを出ると、マードは顔を上げ、夜空を見ていた。真剣な顔で夜空を見上げるマードの目には夜空に輝く星が映っていた。
そして、夜空から視線を下げ、今度はツターンを見る。
「人の国、ユースティテ王国に行きなされ。さすれば運命の出会いがあるはずじゃ。ただし、おぬしの息子も一緒に連れていきなさい」
「どういうことですか?」
「わしが占えたのはそこまで、後はお前さんが決めなされ」
そういって、マードはテントの中に入っていった。
ツターンはしばらく、その場から動けなかった。しかし、すぐに魔王にこのことを伝えなければと思い、急いで魔王城まで引き返し、魔王にこのことを話した。魔王も「占い師 マード」の話は知っていたため、信じる価値はあると思えた。しかし、問題は魔王の息子のアテムまで同行しなくてはならないということ。
まだ病にかかったばかりで、日常生活に問題はない。しかし、自国ではない他国、それも人間の国だ。
悩んだ末に、息子のアテムにもそのことを伝えた。
アテムはしばらく考え込むが
「可能性かあるほうに進みたい」
と不安がありながらも、答えた。
旅先で病が進行し、死ぬ可能性が高まると話をしてもアテムはツターンと行く方を自分で選んだ。
魔王に不安はあるが、ツターンに息子のことを任せ、マードの言葉どおり、人の国ユースティテ王国に行くことを極秘に許可した。そして、次の日にはユースティテ王国に向かって馬車を走られた。
魔王の都で馬車を走らせているとき、昨日あった「占い師 マード」の看板とテントはきれいになくなっていた。
何日も馬を走らせ、やっとユースティテ王国に到着した。
ツターンはアテムにフードを渡し、魔人とバレては面倒なので、種族を隠して行動しましょうと提案した。
いくつかの村や都を見て、そこに住む人から話を聞いていく。
しかし、有益な情報を得ることはできなかった。そして、アテムは長旅の疲れと相まって、病が進行してき、身体のいたるところが紫色に変色していった。種族を隠すためのフードが今では病気を隠すフードにもなっていた。
その様子を毎日見続けていた、ツターンは、どうすることもできない己の無力さに何度も拳を握っては、手から血が流れた。
そして、有益な情報が得られないなまま、遂にユースティテ王国の王都にたどり着いた。
早速、病院や薬屋を尋ねて話を聞くも、今までと変わらず、何も進展がなかった。旅をしながら分かったことだが人間はこの病は発症することがなく、ほとんどの人間はこの病を知らなかった。それは人間の医師であっても変わらない。
段々と、絶望の色が濃くなっていく中、都を歩いていると、人が多く並んで、とても神聖な建物が目はいった。
教会、人間が神を信仰・崇拝するための建物。魔人国にも神を信仰・崇拝するための建物はあるがこれほど立派ではない。
ツターンは神頼みはまだだったと思い、アテムと一緒に教会に入っていく。
そして、順番が回り人間の神オリンポス神7柱の石造の前に立ちしばらくの間拝む。しかし、何も起きない。奇跡も何も。
段々と今までの苦悩や挫折といった負の感情が心の底からあふれだしてきた。
気が付けば、大きな声で
「オリンポス神よ、どうか我が民をこの子をお救いください。お願いします」
悲鳴に近い声で、教会に響く音量で叫んでしまっていた。
周りの視線にかまう余裕もなく、ひたすら叫ぶことしかできなかった。
膝を地面につき、何度もお願いしますと。最後は神官たちに囲まれ、その場から退場させられそうになる。
神官につかまれたときには、すでに私の心は絶望しかなかった。フードをはがされ、魔人と人間たちが気が付き、騒ぐがどうでもよかった。その時の私の目には世界がすべて濁っているように見えていた。
アテム様のフードもはがされ、紫色の肌があらわになり、神官までもが私たちからいったん離れ、最後には剣を向けてくる。もう、このまま殺されてもいいかと思った時、
「待ってください。この病は人から感染はしませんし。呪いでもありません!!」
一人の少女の声が聞こえてきた。顔を上げると修道女の少女が一人、私たちの前に立っていた。
横顔からでもわかる強い意志を秘めた青い眼、その眼を見たとき、なぜか「占い師 マード」の言葉が頭をよぎった。
「人の国、ユースティテ王国に行きなされ。さすれば運命の出会いがあるはずじゃ。ただし、おぬしの息子も一緒についていきなさい」
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