79 / 106
1年の長期休暇後のルセリア
78話 新たな出会い
しおりを挟む
長期休暇も終わり、学園が再開した。
久しぶりに見る生徒達は、やけて肌が変色している子や少し疲れぎみな子、目の下にクマが出来ている子などいろいろ休暇前と変わった子がみれた。もちろん、変わっていない
子もいる。約一か月で変わることもないがそれでも、子供の一か月は大人の一か月とは違うと前世の記憶がある私は思う。
教室に向かうまでに見知った生徒たちを見ながら教室にはいる。
「ごきげんよう。皆さん。」
久ぶりに入る教室は、なぜか気恥ずかしいように感じる。私が挨拶をすると、すでに教室にいた生徒達も、「おはようございます」「お元気でしたか?」「お変わりない言うで」など挨拶を返してくれた。
自分の席に座ると、既に席に座ってきたリーネットが話しかけてきた。
「ルセシア様、今日からまたよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくリーネットさん」
数日前に会っているが、学園で会うのは久しぶりだから、改めてあいさつしたのだろう。
その後、王子達も教室に入ってきて、クラス全員がそろうとロバート先生が入ってきて挨拶をした。
長期休暇の課題をそれぞれ提出して今後の学園の流れを説明して先生の話は終わった。
そのあとは、体育館に移動し、学園長の長い話を聞いた後に教室に戻り、今日は半日で学校が終わった。一日あると思った私は夕方迎えに来てと、伝えたので、帰りの馬車がない状態だ。
そのため、夕方まで待つのもどうかと思った私は、屋敷まで歩いて帰ることにした。友達にお願いして、馬車に乗せてもらってもよかったが、久しぶりに王都の街を歩いてみたいと思ったから、あえてお願いはしなかった。
そんなわけで、今私は一人、王都の街を歩いて帰っている。一人で学校から帰るというのがすごく新鮮でいつも送り迎えの馬車の中で眺めるだけだったお店や建物をゆっくり観察しながら歩いている。
転生する前の私は、旅行と言っても現地では乗り物は使わず、いけるところは歩ていた。
お金がもったいないということもあったが、歩いてその場を景色を見るということが好きだった。
ただ、ホテルや帰りのフェリーでは、足が棒になって、自身でよくもんでいた。
そんなことを思い出しながら、歩いていると、前から男の子が走ってくる。追われているような必死な顔で走っている。ちょうど私の横を走りすぎたとき、男の子と私の目が合った。すると男の子は走る方向を変え建物と建物の間に入り身を隠した。しばらくして、少しガラの悪い大人数人が男の子が走ってきた方向から走ってくる。息を切らしながら、あたりを見回しながら走ってくる。
そのまま私の横を走りぬけていこうとして止まり
「そこのお前!」
なぜか大人の一人が、私に声をかけて来る。
「何でしょうか?」
「先ほど、子供が走ってこなかったか?」
「・・・向こうに、走っていきましたよ」
私は男の子が身を隠している方向ではない方向を指さす。
「・・・そうか」
私の言葉を聞いた大人たちが指さした方向に走り出した。
しばらくして、大人たちが見えなくなったため、私は建物の間に隠れた男の子に声をかけた
「もう行きましたよ」
しばらくして、男の子が建物の間から姿を出してきた。男の子は私の方に歩いてきて、
「サンキュー。おかげで助かったよ」
親指を立てて、笑顔でお礼を言ってくる。少しワイルド少年といった印象を私は受けた。
「別に大したことはしていませんよ。それでは私はこれで」
かかわるのも面倒と思った私は早々に話を切り上げて帰ろうとしたとき、
グゥゥゥゥーーーーー。
大きな腹の虫の音が男の子から聞こえてきた。
帰ろうとした私の足は進むのをやめ、男の子のほうに振り向いた。
「お腹すいているの?」
「あははは、うん、今日は何も食べていないんだ」
このまま無視して、帰ってもよかったが、さすがにそれは、と思いカバンの中を確認する。
確認しているのは、カバンの中に入れてあるお金だ。
貴族である私は、基本的に財布やお金は持たないことが多い、それは執事たちや警備のものがアストライア公爵家からお金を預かり私の代わりに払ってくれるからだ。上位貴族の子息や令嬢達なら同じだろう。
ただ、私の場合は密かにカバンのポケットの中にお金を隠している。言わゆるへそくりだ。
何かあった時のために、少量のお金は持って行動しないと、何かあった時に困ると前世の記憶がある私は学園がはじまってから、ずっと使うことはなかっただけで、持っていたのだ。と言っても金貨のようなものではなく本当に小遣い程度のお金だ。
「何か?食べたいものはある?」
「ええ、おごってくれるの」
嬉しそうな顔で私を見て来る。その顔が少し犬のように思いながらも
「ええ」
「・・・それじゃ、お肉が食べたい」
「お肉ですか?」
今の手持ちではレストランに入るのはきついと思いながらも私自身が街のことをよく知らないため、どこにどのような店があるのか把握できていない。屋敷に連れていく手もあるが、屋敷の人に迷惑はかけたくないため、それは却下。残るは
「露店の店を探しましょうか?」
「露店の店か?うんいいよ。」
男の子は私の手を引き、走り出した。
「僕、アンディア、君は?」
「ルセリアよ」
走りながら、お互いの自己紹介が始まった。
久しぶりに見る生徒達は、やけて肌が変色している子や少し疲れぎみな子、目の下にクマが出来ている子などいろいろ休暇前と変わった子がみれた。もちろん、変わっていない
子もいる。約一か月で変わることもないがそれでも、子供の一か月は大人の一か月とは違うと前世の記憶がある私は思う。
教室に向かうまでに見知った生徒たちを見ながら教室にはいる。
「ごきげんよう。皆さん。」
久ぶりに入る教室は、なぜか気恥ずかしいように感じる。私が挨拶をすると、すでに教室にいた生徒達も、「おはようございます」「お元気でしたか?」「お変わりない言うで」など挨拶を返してくれた。
自分の席に座ると、既に席に座ってきたリーネットが話しかけてきた。
「ルセシア様、今日からまたよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくリーネットさん」
数日前に会っているが、学園で会うのは久しぶりだから、改めてあいさつしたのだろう。
その後、王子達も教室に入ってきて、クラス全員がそろうとロバート先生が入ってきて挨拶をした。
長期休暇の課題をそれぞれ提出して今後の学園の流れを説明して先生の話は終わった。
そのあとは、体育館に移動し、学園長の長い話を聞いた後に教室に戻り、今日は半日で学校が終わった。一日あると思った私は夕方迎えに来てと、伝えたので、帰りの馬車がない状態だ。
そのため、夕方まで待つのもどうかと思った私は、屋敷まで歩いて帰ることにした。友達にお願いして、馬車に乗せてもらってもよかったが、久しぶりに王都の街を歩いてみたいと思ったから、あえてお願いはしなかった。
そんなわけで、今私は一人、王都の街を歩いて帰っている。一人で学校から帰るというのがすごく新鮮でいつも送り迎えの馬車の中で眺めるだけだったお店や建物をゆっくり観察しながら歩いている。
転生する前の私は、旅行と言っても現地では乗り物は使わず、いけるところは歩ていた。
お金がもったいないということもあったが、歩いてその場を景色を見るということが好きだった。
ただ、ホテルや帰りのフェリーでは、足が棒になって、自身でよくもんでいた。
そんなことを思い出しながら、歩いていると、前から男の子が走ってくる。追われているような必死な顔で走っている。ちょうど私の横を走りすぎたとき、男の子と私の目が合った。すると男の子は走る方向を変え建物と建物の間に入り身を隠した。しばらくして、少しガラの悪い大人数人が男の子が走ってきた方向から走ってくる。息を切らしながら、あたりを見回しながら走ってくる。
そのまま私の横を走りぬけていこうとして止まり
「そこのお前!」
なぜか大人の一人が、私に声をかけて来る。
「何でしょうか?」
「先ほど、子供が走ってこなかったか?」
「・・・向こうに、走っていきましたよ」
私は男の子が身を隠している方向ではない方向を指さす。
「・・・そうか」
私の言葉を聞いた大人たちが指さした方向に走り出した。
しばらくして、大人たちが見えなくなったため、私は建物の間に隠れた男の子に声をかけた
「もう行きましたよ」
しばらくして、男の子が建物の間から姿を出してきた。男の子は私の方に歩いてきて、
「サンキュー。おかげで助かったよ」
親指を立てて、笑顔でお礼を言ってくる。少しワイルド少年といった印象を私は受けた。
「別に大したことはしていませんよ。それでは私はこれで」
かかわるのも面倒と思った私は早々に話を切り上げて帰ろうとしたとき、
グゥゥゥゥーーーーー。
大きな腹の虫の音が男の子から聞こえてきた。
帰ろうとした私の足は進むのをやめ、男の子のほうに振り向いた。
「お腹すいているの?」
「あははは、うん、今日は何も食べていないんだ」
このまま無視して、帰ってもよかったが、さすがにそれは、と思いカバンの中を確認する。
確認しているのは、カバンの中に入れてあるお金だ。
貴族である私は、基本的に財布やお金は持たないことが多い、それは執事たちや警備のものがアストライア公爵家からお金を預かり私の代わりに払ってくれるからだ。上位貴族の子息や令嬢達なら同じだろう。
ただ、私の場合は密かにカバンのポケットの中にお金を隠している。言わゆるへそくりだ。
何かあった時のために、少量のお金は持って行動しないと、何かあった時に困ると前世の記憶がある私は学園がはじまってから、ずっと使うことはなかっただけで、持っていたのだ。と言っても金貨のようなものではなく本当に小遣い程度のお金だ。
「何か?食べたいものはある?」
「ええ、おごってくれるの」
嬉しそうな顔で私を見て来る。その顔が少し犬のように思いながらも
「ええ」
「・・・それじゃ、お肉が食べたい」
「お肉ですか?」
今の手持ちではレストランに入るのはきついと思いながらも私自身が街のことをよく知らないため、どこにどのような店があるのか把握できていない。屋敷に連れていく手もあるが、屋敷の人に迷惑はかけたくないため、それは却下。残るは
「露店の店を探しましょうか?」
「露店の店か?うんいいよ。」
男の子は私の手を引き、走り出した。
「僕、アンディア、君は?」
「ルセリアよ」
走りながら、お互いの自己紹介が始まった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説

二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。


【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。
蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。
此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。
召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。
だって俺、一応女だもの。
勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので…
ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの?
って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!!
ついでに、恋愛フラグも要りません!!!
性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。
──────────
突発的に書きたくなって書いた産物。
会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。
他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。
4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。
4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。
4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。
21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる