魔眼がみつめるこの世界～転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない～

66話 悪役令嬢は謝る

衛兵に手を拘束された男たちが連行されていく。



「ちくしょー、放せよ、この、この」

「何なんだよ。あの二人は・・・」

「今回の仕事もハズレじゃねーか？ちくショー」



衛兵が私たちにも同行して話を聞かせてほしいと言ってきたが、サタン王子が衛兵に口ぎきしてくれたため、同行はせずに済んだ。それから、四人でローザの取り巻き二人が待つ馬車まで歩いていく。

取り巻きの二人が馬車の前で心配そうな顔をして待っていた。

私たちの姿が見えると、二人ともこちらに向かって、走り出しローザを抱きしめる。



「ローザ様、ローザ様、、、よかったです。ほんとによかったです」

「ご無事で何よりです。ローザ様」



三人がだんだん泣き始める。最初に泣き始めたのはローザだった。



「い、、いえ、こち、、こそ、迷惑、、を掛けましたわ・・・ごめんなさい」

「ローザさまーーーー」

「ローザさま、ごめんなさい」



三人が無事再会できたことを確認した私は、サタン王子とメシスに顔を向け、その場を離れようとする。



「お、お待ちなさい！」



離れようとしていることに気づいたローザが私たちを止める。振り返ると、ローザが二人から離れて、こっちに近づいてきた。



「今日は助かりましたわ。お礼を言います。後ろの二人もありがとう。何かお礼がしたいわ。望みはある？」

「自分は仕・・アリスとたまたま買い物に付き合ってただけだから、気にしなくていいよ」

「俺も衛兵を呼んだだけだから、お礼をもらうほどのことはしていない」



「それでは、私の気がすみません、何かないですか？」

取り巻きの二人が、近づいてきて、



「あ、あの、ローザ様、そちらの方わ」

サタン王子が変装していることを伝えようとするが、一瞬で言葉が止まる。ローザが二人の方を向いているときに、サタン王子が人指し指を立て口に当てる。それを見て、二人ともサタン王子のことを話せなくなる。



「この方が何？」



「いえ、何でもありません。ローザ様」

「はい、なんでもありません」



「何なんですの？」

再び私に振り替えり、私がお礼をお願いするまで、逃がさないという顔をしてくる。ローザ様、サタン王子に気が付いていないのね。いつか知った時が来たときは、どんなに驚くだろうか？今から心配になる。しかし、お礼か、お礼ね・・・・・そうだ。



「それなら、お願いしたいことがあります」

「何ですか？私に叶えられることなら、なんでも叶えましょう」



私のお願いに、この場の全員が驚くが、理由を話すと納得してくれた。



「それでしたら、構いません」

「ありがとうございます。ローザ様」



この場から離れようとしたときに、



「来週には、無くなったのものをお返しします。今までごめんなさい」



赤い顔をしたローザが私に言ってくる。



「気にしていませんよ。ローザ様」



私の言葉で笑顔になり。



「ごきげんよう、アリスさん、後ろの二人も」



初めて、私の名前を呼んで、挨拶してくれた。



「ごきげんよう。ローザ様」



今度こそ、私たちはその場を離れ、ローザ達も馬車に乗って屋敷に帰っていった。ただ、私たちもお城に帰ろうとしたが、実は私が買った本を、おじさんの家の近くに隠してそのままにしていたことを思い出し、馬車には向かわす、おじさんの家に再び寄ってから、お城に帰っていった。