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64話 過去視の魔眼
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道案内をする男についていくとローザは裏路地に出る。すると数人の男が前にいて、道を避けようとしない。ローザがもと来た道を向くとその道を今度は違う男数人が道をふさぐ。
「ちょっと、あなたこれはどうい・・・・」
ローザが振り向こうとすると案内していた男がハンカチを口に当ててくる。すると突然眠くなり、意識を失う。そして目を覚ますと、どこかわからない薄暗い部屋の中にいた。手首と足首を縄で縛られ身動きできない。
「何ですか! あなたたちは放しなさいよ!!」
「うるさい令嬢だな。叫んでも誰も来ねーよ」
「しかし、バカな令嬢だよな?」
「疑うことなく、ほいほいついてくるんだからなぁ」
「貴族って、こんなやつばかりなのか?」
10人くらいの男たちにローザは囲まれていた。
ローザは動けない。一歩も……。
「お前の親が身代金を用意したら、解放してやるから黙ってろ」
男の一人がナイフを出し、ローザにむけて言う。
「……。」
ローザは何も言えなくなる。今までに経験したことがない状況になり、やっと自分の立場を理解し始める。感じる不安、恐怖……。縛られている痛みを忘れ身体がだんだん恐怖で寒くなっていく。歯がガタガタと上と下でぶつかり音が鳴る。次第に涙まで出始める。
「おー、いいね。泣いた令嬢というのは。そそられるぜ」
舌を出しながら、ローザに近づいてくる。
「お前、ガキが趣味なのか」
他の男たちが笑い出す。
「やめとけ、キズものになったら、価値が無くなる」
「ふぅん、わかるわけないだろ、この女だって、言えないだろうからなぁ」
「とりあえず、女の家に脅迫状をだせ!」
「へぇーい」
他の男たちが別の部屋に移動していく。部屋に残ったのは、ローザとガキに趣味がある男の二人だけになる。興奮した男がローザに近づいてくる。
怖い!怖い!!怖い!!!助けて!助けて!!誰か助けて!!!
「うっ!イヤァーーーーーーーー」
男がローザの胸に手を当てようとしたとき
バァーーーーーーーーーン!!
隣に移動した男たちが使ったドアと違うドアが勢いよく開いた。
夕日が部屋に差し込んで、暗い部屋にいるローザには光の扉ができたように見えた。男も光の扉の方を向きナイフを取り出し構える。隣の部屋にいた男たちも音に気が付き集まってくる。
そして、誰かがゆっくり光の扉から現れる。
「ご機嫌よう。皆様、突然の訪問申し訳ありません」
そこにいたのは、黒い髪に青い眼をした。ローザがいじめていた転校生だった。
少し前になるが、ルセリア、メシス、サタンはローザがいなくなった場所に到着する。
そこには、ローザの取り巻きの二人があたふたしていた。
「どうしたんですか?」
「あなたは、アリスさん」
取り巻きの二人は、顔を見合わせ、説明しようか考えだすが、
「何かあったなら、話してくれ」
「!!サタン王子??なぜ、こんな所に」
「今はそんなことはいい」
サタン王子だとわかると二人はローザを見失ったことを話し出す。とても心配しているようで、話しながら涙目になってくる。二人が話を終わると、サタンとメシスが状況を理解したようで、どうするか思考し始める。
「お前たちは、乗って来た馬車を確認してこい」
「サタン王子、、、、わかりました」
「行きましょう」
サタンが二人を遠ざける。そして、しばらくの間、サタンが周りを眺め出す。時間にして5分くらいだろうか?
「こっちだなぁ、いくぞ」
サタンが道を進み始め、私とメシスはついていく。5分くらいして、古びた家の前で立ち止まる。
「ここだな」
「え、どうして」
メシスが私の替わりに尋ねてくれる。
「過去視の魔眼だ。」
「魔眼ですか?」
「過去視 つまり、過去に起きた事象をみることができると」
私の言葉にサタンは頷く。
「言わないでくれよ。誰にも」
驚きはするが、それならこの場所が分かったことも納得がいく。過去をみてローザが辿った道を追ってきたのだろう。家を見ると窓にも分厚いカーテンがかけられ、中の様子がわからない。ドアに耳を当て、中の音を聞こうとすると、
「何ですか! あなたたちは放しなさいよ!!」
ローザの声が小さいが聞こえてきた。私はドアから離れて、二人のところに戻る。
「ここで間違いないです。恐らく、ローザさんは拘束されています」
「やはりそうか」
「なら自分が切り込みますよ」
「まって、メシス様、ちょっと私に策があるの。相手が何人か分からない今一人で入るのは得策ではないわ。だから、まずサタン王子には衛兵を呼んできてください」
「なぜ、俺なんだ?」
「この国の王子様でしょ。私たちが行くよりも早く動いてくれると思うから」
「・・・わかった。無茶はするなよ」
サタン王子を見送り、メシスにも支持をだす。
「おそらく声の音量から、ローザさんはドアの近くでなく反対側にいると思うからメシス様は反対側から回り込んで、何かあったらローザさんを助けてあげて」
「わかりました。ルセリア様は離れていてくださいね」
メシスが家の反対側に回り込む。もう一度ドアに耳を当てると、
「イヤァーーーーーーーー」
ローザの悲鳴が聞こえてきた。私は思いっきりドアを蹴る。大分傷んだドアだったのか、一発でドアが開く。鍵もしかしてかけてなった?
少し怖いが、ゆっくり中にはいる。中には拘束されて涙目のローザと10人くらい男たちがいた。まだ、衛兵は来ていない。時間を稼ぐため、私は男たちに挨拶をした。
「ご機嫌よう。皆様、突然の訪問申し訳ありません」
淑女っぽく、深くお辞儀をし挨拶をした。
「ちょっと、あなたこれはどうい・・・・」
ローザが振り向こうとすると案内していた男がハンカチを口に当ててくる。すると突然眠くなり、意識を失う。そして目を覚ますと、どこかわからない薄暗い部屋の中にいた。手首と足首を縄で縛られ身動きできない。
「何ですか! あなたたちは放しなさいよ!!」
「うるさい令嬢だな。叫んでも誰も来ねーよ」
「しかし、バカな令嬢だよな?」
「疑うことなく、ほいほいついてくるんだからなぁ」
「貴族って、こんなやつばかりなのか?」
10人くらいの男たちにローザは囲まれていた。
ローザは動けない。一歩も……。
「お前の親が身代金を用意したら、解放してやるから黙ってろ」
男の一人がナイフを出し、ローザにむけて言う。
「……。」
ローザは何も言えなくなる。今までに経験したことがない状況になり、やっと自分の立場を理解し始める。感じる不安、恐怖……。縛られている痛みを忘れ身体がだんだん恐怖で寒くなっていく。歯がガタガタと上と下でぶつかり音が鳴る。次第に涙まで出始める。
「おー、いいね。泣いた令嬢というのは。そそられるぜ」
舌を出しながら、ローザに近づいてくる。
「お前、ガキが趣味なのか」
他の男たちが笑い出す。
「やめとけ、キズものになったら、価値が無くなる」
「ふぅん、わかるわけないだろ、この女だって、言えないだろうからなぁ」
「とりあえず、女の家に脅迫状をだせ!」
「へぇーい」
他の男たちが別の部屋に移動していく。部屋に残ったのは、ローザとガキに趣味がある男の二人だけになる。興奮した男がローザに近づいてくる。
怖い!怖い!!怖い!!!助けて!助けて!!誰か助けて!!!
「うっ!イヤァーーーーーーーー」
男がローザの胸に手を当てようとしたとき
バァーーーーーーーーーン!!
隣に移動した男たちが使ったドアと違うドアが勢いよく開いた。
夕日が部屋に差し込んで、暗い部屋にいるローザには光の扉ができたように見えた。男も光の扉の方を向きナイフを取り出し構える。隣の部屋にいた男たちも音に気が付き集まってくる。
そして、誰かがゆっくり光の扉から現れる。
「ご機嫌よう。皆様、突然の訪問申し訳ありません」
そこにいたのは、黒い髪に青い眼をした。ローザがいじめていた転校生だった。
少し前になるが、ルセリア、メシス、サタンはローザがいなくなった場所に到着する。
そこには、ローザの取り巻きの二人があたふたしていた。
「どうしたんですか?」
「あなたは、アリスさん」
取り巻きの二人は、顔を見合わせ、説明しようか考えだすが、
「何かあったなら、話してくれ」
「!!サタン王子??なぜ、こんな所に」
「今はそんなことはいい」
サタン王子だとわかると二人はローザを見失ったことを話し出す。とても心配しているようで、話しながら涙目になってくる。二人が話を終わると、サタンとメシスが状況を理解したようで、どうするか思考し始める。
「お前たちは、乗って来た馬車を確認してこい」
「サタン王子、、、、わかりました」
「行きましょう」
サタンが二人を遠ざける。そして、しばらくの間、サタンが周りを眺め出す。時間にして5分くらいだろうか?
「こっちだなぁ、いくぞ」
サタンが道を進み始め、私とメシスはついていく。5分くらいして、古びた家の前で立ち止まる。
「ここだな」
「え、どうして」
メシスが私の替わりに尋ねてくれる。
「過去視の魔眼だ。」
「魔眼ですか?」
「過去視 つまり、過去に起きた事象をみることができると」
私の言葉にサタンは頷く。
「言わないでくれよ。誰にも」
驚きはするが、それならこの場所が分かったことも納得がいく。過去をみてローザが辿った道を追ってきたのだろう。家を見ると窓にも分厚いカーテンがかけられ、中の様子がわからない。ドアに耳を当て、中の音を聞こうとすると、
「何ですか! あなたたちは放しなさいよ!!」
ローザの声が小さいが聞こえてきた。私はドアから離れて、二人のところに戻る。
「ここで間違いないです。恐らく、ローザさんは拘束されています」
「やはりそうか」
「なら自分が切り込みますよ」
「まって、メシス様、ちょっと私に策があるの。相手が何人か分からない今一人で入るのは得策ではないわ。だから、まずサタン王子には衛兵を呼んできてください」
「なぜ、俺なんだ?」
「この国の王子様でしょ。私たちが行くよりも早く動いてくれると思うから」
「・・・わかった。無茶はするなよ」
サタン王子を見送り、メシスにも支持をだす。
「おそらく声の音量から、ローザさんはドアの近くでなく反対側にいると思うからメシス様は反対側から回り込んで、何かあったらローザさんを助けてあげて」
「わかりました。ルセリア様は離れていてくださいね」
メシスが家の反対側に回り込む。もう一度ドアに耳を当てると、
「イヤァーーーーーーーー」
ローザの悲鳴が聞こえてきた。私は思いっきりドアを蹴る。大分傷んだドアだったのか、一発でドアが開く。鍵もしかしてかけてなった?
少し怖いが、ゆっくり中にはいる。中には拘束されて涙目のローザと10人くらい男たちがいた。まだ、衛兵は来ていない。時間を稼ぐため、私は男たちに挨拶をした。
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