魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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60話 チキン南蛮

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次の日になり、私は朝食が終わるとすぐにキッチンに向かい準備を始める。昨日のうちに、キッチンの中は見せてもらったので、ある程度は分かる。さぁ、作りますか。

先ずはと材料を用意する。



鶏の唐揚げの材料 、鶏もも肉、揚げ油、小麦粉、醤油、酒 を用意する。ユースティテ王国で作った時は、醬油がなく、酒の代わりにワインを使っていたので、今回は前世の私が作っていたものに、近いものができるだろう。

唐揚げはジューシーな仕上がりになるので「鶏もも肉」を使う。

鶏肉は芯までスムーズに火を通しやすくするため、室温でしばらく置いておく。

鶏もも肉は食べやすい大きさ(3~4㎝四方くらい)にカットし、切った鶏肉をボウルに入れ、調味料(醤油大さじ2、酒大さじ1)を加え、漬け込み時間は20~30分。

小麦粉大さじ3~4を加えてよく混ぜ、手にしっかり絡みつくくらいねっとりすれば準備完了。



揚げ油を160~170℃に熱し低めの温度から鶏肉を入れていくが、入れるときに鶏肉の皮を広げ、きれいに身にまとわせてから入れると、仕上がりの見た目も、皮の火通りもよくなる。

下味をつけた鶏肉がジュッ、という音を立て、鶏肉が油の中に沈められる。

160~170℃で3~4分ほど揚げ、取り出した鶏肉はそのまま4~5分休め、高温の油でカリッと1~2分揚げて取り出し完成。



「いただきます」と言ってから、一口いただく。「あふ、あふ、おいしい、我ながら上出来」笑顔で食べていると、料理人たちが集まってきて、



「あの、我々にも一口いただけないでしょうか」

「え??」



どうやら、先ほどから私が作るのを見ていたようだ。顔つきがうちの料理長とそっくりだ。



「どうぞ、熱いので気を付けてください」



そう言うと、料理人たちが一人また一人と箸を伸ばし、唐揚げをつまみ口に入れていく。



「うまい」

「おいしいです」

「すばらしい」



感想を言ったら、また箸を伸ばし、箸の乱舞が始まる、わずか30秒で皿だけになった。



「あ、申し訳ありません。思わず食べてしましました」

「すいません」

「ごめんなさい。思わず」



料理人たちが謝ってくるが、



「大丈夫ですよ。まだ、鶏肉は余っていますから、気にしないでください」



「「「「ありがとうございます」」」」

この国の人にも美味しいと言ってくれたなら、たぶん大丈夫だろう。ここまでは、今までと同じ、ここからよ。



醤油、お酢、砂糖、お酒で甘酢だれを作る。

そして、ゆで卵、玉ねぎ、マヨネーズ、砂糖、牛乳を用意する。マヨネーズはどうやらこの国にもなかったので、自家製で作る。

みじん切りにした玉ねぎとゆで卵を、マヨネーズ、牛乳、砂糖と混ぜて、タルタルソースを作る。

唐揚げ、甘酢だれ、タルタルソース、そう私が今作っているのは、チキン南蛮だ。





お昼になり、女王が待つ部屋に料理をもって向かう。作っていたら、王配とサタン王子、リシア王女の三人となぜか我が国の王族三人と父親の分、合計八人分を用意してほしいと報告を受け、なんでよ?と思いながらも作った。

料理人たちと一緒に運び、ノックしてから部屋に入る。



「失礼します。お待たせしました。ご注文の唐揚げでございます」



「待っていましたよ、ルセリア嬢」



王女が笑顔で私に言ってくる。

料理を机の上に唐揚げ、チキン南蛮、その他にも、パン、ご飯、スープ、サラダが机に置かれ並べられる。

ジオテニア国の王族は初めて見る料理に驚いているが、ユースティテ王国側も驚いている。

「ルセリア、この料理は?」

父親のカイムが私に尋ねてくる。

「チキン南蛮です。お父様。唐揚げをアレンジした料理です」

皆がチキン南蛮に目を向ける。

「皆様、できればチキン南蛮よりも先に唐揚げを食べてください」

自分の席に座り、私がそう言うとみんなが唐揚げに箸を伸ばし一緒に食べる。



「美味いわ!」

「すばらしい。柔らかく、それでいて軟弱ではない味わいだ」

「初めて食べる、鶏料理です」

「おいしいです」



「?これ、以前と味が違いますね」

「ああ、下味が違うのか?」

「でも、こっちもおいしいですよ」

「・・・酒が飲みたいなぁ」

ジオテニア国側もユースティテ王国側もおいしかったようだ。

皿に盛り付けたチキン南蛮に箸を伸ばし口に運ぶ。唇の端に、ソースがちょっと付いてしまうが気にせず食べていく。



「はふ、うん。美味しいわこれも!」

「甘酸っぱい液体をくぐらせたカラア唐揚げと、白く具だくさんのソースが口の中で混ざり合い、お互いに相乗効果を生み出している。まるで、魔法だ」

「すごくおいしいよ。好みの味です」

「唐揚げよりもおいしいです」



「何ですか。この味はマヨネーズとも違う味がします」

「おい、ルセリア、なんでこの前はこれを作らなかったんだよ」

「この卵入りソース! これだけでも美味しいです。お姉様」

「今度は唐揚げとチキン南蛮どちらを食べるか、悩んでしますなぁ」



唐揚げとチキン南蛮を食べ終えて、満腹になったみなは、満足げに息を吐き。



「本当に美味しかったです。ルセリア嬢。貴方の料理の腕は本当に素晴らしいです」

「ありがとうございます。女王陛下」



女王陛下からお礼の言葉をいただき、何事もなく昼食の時間は終わりをつげた。
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