魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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58話 隣国のパーティー

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驚きに固まっていると、サタン王子がなんだか楽しそうにふわりと話しかけてきた。



「ルセリア・アストライア公爵令嬢・・・楽しまれているか?」

「え?あ!はい・・・見慣れない料理が並んでいて、全部味見したいと思ったのですが、量が多くてとてもすべては味見できそうにないと思い、恥ずかしながら、食べれなかった料理を持って帰りたいを思いまして////」

「そうか?」



「それよりもサタン王子、どうしてこちらにいらっしゃられるのですか?取り巻・・・いえ、あのご令嬢の方々が近くにおみえにならないようですよ」



周りを眺めると、寄り固まってじっとサタン王子を見つめているご令嬢の集団がいた。



「ご令嬢の方々には申し訳ないが少し離れて頂いた」

「一人になりたかったのですね。あれ?でもどうしてこちらに?お一人になられたいのなら別の場所でも?」

「いや、この国では食べるとき箸を使うのが一般なんだが、ユースティテ王国のあなたが箸を使っていることに少し気になってな」



そういえば、私、今箸で料理を食べていた。米があったため、自然と箸を持って食べようとしていた自分に驚く。



「郷に入っては郷に従え、ですから?」

「ご、ごうに? どういう意味だ」

「別の国に行ったらそこの決まりを聞きなさい。という意味ですよ。」

「ほう、ならば我が国を訪問するために、箸の使い方を勉強したのか?」

「・・・は、はい」



すいません。ウソです。

戸惑いの表情を浮かべていると、再びサタン王子が楽しそうに笑った



「それよりも、ルセリア嬢はまだ食事が入りそうか」

「はい。お腹が空いてしまいましたし、美味しそうな料理を前にできる限り食べたいです」

「せっかくなので私も一緒に食べますね」

「え?一緒に?」



サタン王子は広間の端にいくつか用意されている机と椅子が置かれた場所を手で示した。あんな所で王子と過ごすなんて考えられない私はどうにか断れないかと考えるが、隣国の王族から誘われたら、断れない。サタン王子が側を通り掛かった給仕の男性にさっさと伝言を頼んでジオテニア国の料理をとってっ持ってきてくれる。重い足取りでその個室席に向かう。個室席まで到着すると、サタン王子は無駄の無い動きでさっと椅子を引いて私を座らせてくれた。

さすが王子なだけあるわね。



何人かの給仕の男性達がやって来て机の上に先程見た料理が少量ずつ乗った皿を次々置かれていく。量が多いなこれ。



「さっき伝言を頼んだ時についでに頼んだんですよ。さあ好きなだけ食べて下さい」

「はい・・・いただきます」



箸を使い、食べていく。



サタン王子は何故か机に頬杖を付きながらにこにこと私の事を見ていて一向に料理を食べようとしなかった。



「サタン王子、食べないのですか?」

「上手に箸を使うあなたにみとていました」

「////意味が分からないのですが?私一人では食べきれないのでサタン王子も食べて下さい」

「はい、わかりました」



サタン王子が皿に料理を乗せて食べ始めた。私よりも箸の使い方がうまい。今度は私が王子の食べ方にみとれてしまう。



「箸の使い方が上手ですね。サタン王子は」

「ルセリア嬢もね」



なぜか、お互いに箸の使い方を褒めあっている。

そうして漸くサタン王子と一緒に食べた事で皿に乗った料理が無くなり、私はすぐに席を立ってこの場を離れる事にした。個室席を離れた私に



「ルセリア嬢!!ここにいたんですか?」

「アトラン様なぜここに」

「舞踏会にルセリア嬢がいなかったので、探していたんです」



隣国のパーティーということもあり、アトランとロベルトは私に‘嬢‘を付けて、私は王子と王女に‘様‘を付けて呼ぶことにしていた。



「ありがとうごさいます。ジオテニア国の料理を食べていたんです」

「そうですか?みんな待っていますし、行きましょう」



「ちょっと待ってくれ、アトラン王子」

「え!」



振り返ると、サタン王子がいた。



「サタン王子」

「アトラン王子、まだ舞踏会が終わるまでに時間がある。私はルセリア嬢とダンスを踊りたいんだ」

「・・・え?」



隣国の二人の王子が初めて顔を合わせた。なんだかこの二人、雰囲気が似ているような?

「・・・ルセリア嬢は、サタン王子とダンスを踊りたいかい?」



アトランが にっこりと私に笑顔を向けながら聞いてきたのだが、その目が笑っていない事に気が付き背中に寒気が走った。



「いいえ、遠慮致したいです」

「ルセリア嬢!!」

「お腹もいっぱいで、ちょっと苦しいので。ダンスはちょっと!!」

「そう言う事ですので、サタン王子僕達はお先に失礼致します」



アトランが私の腕を引き、その場を離れる。

ロベルトとエクリシアが待っていたようで、合流した私たちは、自分たちの部屋に戻った。
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