魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

文字の大きさ
上 下
49 / 106

49話 唐揚げの魔力

しおりを挟む
学園から帰った私はその足で、また料理長を尋ねていた。弁当を一個、先生の分も追加してくれるように料理長にお願いしに。キッチンに入った私は料理長を見つける。



「お嬢様、お帰りなさいませ」



「料理長、ただいま帰りました。実は明後日のお弁当を1個追加してほしいのですが」



「1個追加ですか。誰の分ですか?」



「実は、担任の先生の分です」



料理長に今日一日の学園での話をする。私の話を聞いていた料理長がだんだん笑い出す。



「あははっはー。その先生はとても面白い方ですね」



「ええ。私もそう思います」



「わかりました。その先生のお弁当も用意しましょう」



「ありがとうございます。料理長」

料理長に用件を伝えた私はキッチンを出ようとするが、料理長が

「あ、お嬢様、実は今日の夕食なのですが、奥様がどうしてもお嬢様の創作料理を食べたいと強く希望されましたので、実は今日の夕食は数日前に学友にふるまった料理を出そうと思うのですが」



「お母様が!」

私は驚くが、そういえば昨日食べたいと言ってたわね。

「ええ、かまいませんよ。それにもう準備しているのでしょう」

「あはは、はいその通りです」







私はキッチンから部屋に戻って来た。夕食の時間まで、今日学んだことを復習していく。それから2時間くらいが立ち、メイドのアリサが夕食に私を呼びに来る。私は両親が待つ部屋に向かう。いつも座る席に座る。すると母親のティアナが



「ルセリア、今日の夕食なんですが、私が料理長にお願いして、ルセリアの創作料理をお願いしたんです」

びっくりしましたか?という顔をしてくるが、すでに料理長から聞いていうのでびっくりはしない、しかし私は空気が読める女。

「え。ほんとですか?お母様。私の創作料理を」

あえて、今はじめって知ったという態度をとる。

「ええ。お願いしました。どうしても、食べたっかので」



「そうか。今日の夕食はルセリアの創作料理か。楽しみだね」

父親のカイムが嬉しそうに笑う。そして、みんなに出した時と同じで、私と母親はジュースを父親のカイムは白ワインを持ってきてもらう。1品目は、お通しの枝豆ときゅうりの塩漬け。2品目は揚げ物。野菜や魚の素揚げ、そして鶏肉の唐揚げ。3品目は蒸し物。茶碗蒸し。4品目はデザート。ババロア。



私が料理の説明をしていき、初めは恐る恐る食べようとするが、一口食べれば、そのあとは笑顔で食べてくれた。父親のカイムは枝豆と唐揚げが気に入ったのか、ワインと一緒に食べている。いつもよりもワインを飲むペースが早い。



「いやぁ、この唐揚げというのはワインが進むね。下味をつけているから、きちんと味もあるが濃いわけではなく、ちょうどいい。そして、塩を付けて食べるのと、このマヨネーズ?というものを付けて食べるのとで、また新しい味になる。ワインが進むよ」



母親のティアナはババロアが気に入ったようで、一口一口かみしめながら食べている。



「白くて甘いプルンプルンとしたものが、下の上で踊り出します。噛んでも抵抗感はなく溶けて、口いっぱいに甘さが広がり、周りにあるフルーツと一緒に食べるとまた変わった味が楽しめます」



食事を終え、少したったくらいに、



「いやぁ。おいしかったよ。ルセリア、まさか料理の才能があったとは驚きだよ」

少しお酒が入り顔が赤いが本音だと思いうれしくなる。



「ありがとうございます。お父様、しかし、これを作ったのは私ではなく料理人たちです。おほめになるなら彼らに言ってあげてください」



実際、私が作ってもここまでおいしくはならないだろう。素人の私とプロの料理人、その力量ははっきりしている。今日の料理は数日前にみんなに出した時よりおいしくなっていたのだから。



「謙遜してはダメですよ、ルセリア、新しい料理を創るというのは、本当に難しいことなんですから」

母親からも褒められて、すごくうれしくなる。



「ありがとうございます。父上、母上」



楽しい夕食が終わり、私は最初に席を立ち部屋に戻る。しかし私は明日の夕食時、もう少し一緒にいればと後悔する。私が戻った後、父親のカイムが料理長を呼び、感謝の言葉を送ったまではよかったのだが、「明日も同じ料理を」と頼んだようなのだ。そのため、次の日の夕食も同じ料理が出たのだ。



「いや、昨日の料理がおいしくてまた頼んでしまったんだ、ごめんね。ルセリア」

「私はうれしいですよ」





「・・・はい、気に入っていただけて何よりです」

レモンがほしいかも?

前世で私はよくレモンを唐揚げにかけていた。さわやかな酸味と香りが唐揚げの脂っぽさを緩和しつつ、レモンの果汁としてのコクも鶏肉の旨味を引き立てる。まさに、唐揚げにとっては最高の引き立て役。最強のコンビ。



私はレモンを用意してと、メイドにお願いする。

持ってきてもらったレモンを唐揚げにかけて食べる。

「うん。最高です」

私がおいしそうに食べていると、両親もレモンを唐揚げにかけて食べる。



「これは、油が洗い流されたかのように味覚がリセットされ、いくらでも食べ続けられるよ」

「ほんとですね」

よりおいしくなった唐揚げを笑顔で食べている二人を横目に見ならんが‘私、明日の昼食も唐揚げなのか‘と思う。



美味しいのはいいのだが、流石に三日連続で唐揚げを食べると胃もたれするのではないかと、明日の昼食が不安になる私だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

やり直し令嬢は何もしない

黒姫
恋愛
逆行転生した令嬢が何もしない事で自分と妹を死の運命から救う話

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。

蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。 此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。 召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。 だって俺、一応女だもの。 勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので… ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの? って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!! ついでに、恋愛フラグも要りません!!! 性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。 ────────── 突発的に書きたくなって書いた産物。 会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。 他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。 4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。 4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。 4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました! 4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。 21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!

フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話

カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 チートなんてない。 日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。 自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。 魔法?生活魔法しか使えませんけど。 物作り?こんな田舎で何ができるんだ。 狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。 そんな僕も15歳。成人の年になる。 何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。 こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。 女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。 になればいいと思っています。 皆様の感想。いただけたら嬉しいです。 面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。 よろしくお願いします! カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。 続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。

処理中です...