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43話 期末試験

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王妃の生誕祭も終わり、学園生活を楽しく送っていく中で、夏休み前の大きな試練がくる。そう、期末試験がやってくる。私はまたみんなと放課後、ここ図書室に来ている。

前回同様に、みんなが私のために勉強会を開いてくれたので、苦手な歴史を勉強していく。歴史を教えてもらっている中で、教える人にも個性があるのだとわかった。



アトランとロベルトは歴史の大まかな流れを勉強するタイプ。一見関係がないように見える出来事も、時代背景や共通して関連している出来事を見ていき、ストーリーをつかみ学んでいく勉強の仕方。



ステラとリーネットは歴史の授業前に予習をするタイプ。予習をしておくと授業が復習のような役割を果たすため、より理解が深まりわからないところを事前に把握しておくことで、授業をより効率的に理解する勉強の仕方。



シルフィは重要人物や大きな出来事を暗記するタイプ。優先順位の高い重要人物や、時代を象徴するような大きな出来事から暗記していき、根っことなる出来事や、ある出来事の中心となった人物を理解したうえで、徐々に範囲を広げていく勉強の仕方。



ちなみに私は声に出して覚えるタイプだ。声に出して読むことで、より記憶に残る勉強の仕方。図書室では、声を出せないため、ノートに書かれたことを黙読する。屋敷では、きちんと声に出して勉強している。



ふと、一休みしようと、ペンを止め図書室の中を見渡すと、中間試験の時よりも勉強している生徒の数が多いことに気づく。庶民の生徒が多いが、所々に貴族の生徒もいるようだ。そして、中には貴族と庶民の生徒で勉強しているグループもある。私がみつめていると、



「ロイスの一件から、教師陣に他の生徒でいじめが起きていないか調べてもらい、している生徒には注意をするようにお願いしました。それにより、今までいじめを無視していた先生も注意するようになり、いじめは減少しているようですよ」

アトランが一生会で決めたことを話してくれる。ただ、生徒会の会議で集まった、二生会と三生会の貴族の生徒はこの案に渋々賛成していたようだと話す。学年が下であっても、相手は王族だ、そのため貴族の生徒は拒否することができない。そんな話を笑顔で私に話してくる。

貴族の弱点である身分(階級)を利用して、自分の意見を通す。

‘腹黒いわね、アトランは‘と心の中で思う。



でも、そのおかげで、この学園の空気は良くなっていると私は思う。一年では、気軽に別の教室に移動したり、貴族の生徒と庶民の生徒が気軽に話をするところも最近では珍しくない。できれば、二年と三年の生徒間も、こうなってほしい。



一息して、私はまた勉強を再開した。



それから一週間は、みんなと勉強して、歴史の試験対策を万全にしていった。



そして、いよいよ期末試験がやって来る。

最初の科目は数学だったが、特に問題なく解答することができた。そして、次の科目はいよいよ歴史だ。私はこれまでの勉強会のことを思い出し、テストに臨む。

配られたテストをめくり、問題を見てみると、中間試験の時と違い、問題の出し方が演習問題と変わっていた。つまり、すべてを理解していないと解けないテストが出たのだ。クラスの何人かが「えぇー」

「うそっ」という声が出るが、私は



`今回も勝ったー‘



こぶしを握り、ガッツポーズをする。



今回の勉強会では、みんなの個性に合わせて、勉強していたため、アトランとロベルトに教えてもらうときは歴史の大まかな流れを勉強していた。それが功を制したようで、問題を理解していき、答えを記入していった。

歴史のテストが終わった後、みんなにできたと報告した。

「よかったですね、ルセリア」

「あれだけやったんだから、できないとダメだろ」

「肩の荷が落ちましたわ」

「ルセリア様、よかったですね」

「ルセリア様、頑張っていましたもんね」



みんなが私をほめてくれる。やっぱり、いいなぁ友達って。

「本当にありがとう。これもみんなのおかげです」

まだテストは終わっていないが、泣きそうになる。

「ルセリア様、まだテストは残っているのですから、次のテストに集中しなさい」

ステラに怒られるが、その顔は怒ってはなく、笑っていた。







最後の国語のテストも危なげなく、解答することができた。この世界に転生して半年が経過したが、子供の身体は呑み込みが早く。今では文字もきちんとかけるようになっていた。テストが終わり、腕を上げ背筋を伸ばす。

「んんー。終わったわ」



私は満足した顔で、後ろを向きみんなと顔を合わせた。みんなテストが出来た顔をしていた。まぁ、私よりも成績が優秀なみんななら、私が心配する必要もないだろう。みんなとテストの話をしながら、この後に待っている私からのご褒美について話をした。

「それじゃ、みなさん、この後、私の屋敷に来てください」



「おい、本当に大丈夫なんだろうな」

ロベルトが不安なのか聞いてくる。

「大丈夫です。作るは屋敷の料理人たちですから」



「でも、ルセリア様の創作料理なのでしょう」

ステラも不安なようで聞いてくる。

「大丈夫です。料理人たちにも食べてもらい、おいしいと言っていただきましたから」

自信をもって私かみんなに言う。



今回も高級レストランでみんなにお礼をしたかったが、あくまでそれは両親がしてくれたこと。なので今回は私自らお礼をするため、みんなを私の屋敷に招待して、私の創作料理でお礼しようと考えた。その話をしたとき、みんな驚いていたが、創作料理に興味がわいたアトラン、シルフィ、リーネットが賛成し、多数決で私の創作料理に決まった。



荷物をしまい、自分たちの馬車にのる。リーネットは私の馬車に乗ってもらう。馬車に揺られながら、私はみんなが驚いてくれるかなぁとわくわくしていた。

何せ創作料理は私の前世の世界の料理、つなり異世界の料理なのだから。
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