魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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36話 念写の魔眼

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私たちは三人で一生会が会議をしている部屋に向かった。まだ、会議は行われているようだったが、かまわず私はドアをたたきノックをする。

「どうぞ」

アトランの声が中から聞こえてくる。

「失礼します」

私がドアを開けて、中に入れば、ステラとシルフィが入ってくる。中には一生会のメンバーの6人と担当のグローバー先生がいた。

みんな驚いた顔をしていたが、気にしない。



「実は、私から一生会の皆さんに相談があります」

「何ですか?」

「生徒間のいじめについてです」



「いじめ、ですか」



「そうです、この問題は早々に対応しなければならないことですわ」

「わたしも、そう思います」



「ルセリア、何かあったのか?」

ロベルトが私に尋ねて来る。

今この部屋には予知の魔眼のことをしならない生徒がいるから、魔眼でみたことと、いじめられた生徒が自殺しようとしていたことを除いて、偶然いじめられている現場を目撃したという形にして、一生会のメンバーに話していった。



私の話を一生会のメンバーは真剣に聞いていた。

「いじめていた生徒といじめられていた生徒は誰でしょうか?」

この男子生徒は確かハリソンだったっけ。

「いじめられていた生徒は、ロイス・カシアートです。いじめていた生徒は、・・・」



「バーカ・ムースーコとサン・マイメです。どちらも男爵子息です」

シルフィがいじめている生徒の名前を皆に言う。ステラ以外の生徒がみんな驚いているが、私は別の意味で驚いていた。

「まったく、貴族でありながら、許せませんね」

マリーが怒ったように言うが、私とリーネットは苦笑いをする。



「結論から言いますと、もし一生会で解決できないのであれば、先生の力をお借りしたいですが、相手は貴族の生徒、言いにくいことは分かっていますので、その時は私たちの親の力を借りようと考えています」

ステラが素直に言う。グローバー先生も痛いところを突かれ、何も言えない様子だ。

「でしたら、最初は注意をし、改善が見られないのであれば、権力で対応していきましょう」

「貴族には王族ってか?腹黒いよなお前は」



「ハァー、わかった、いじめていた生徒には、明日俺から注意をしておこう。それで、直らなかったら、学園長にも相談しよう。お前たちの親の力に頼るのは最後だ」

グローバー先生があきれたように言ってくる。



今回は魔眼のおかげで、いじめられている生徒を助けることができたが、他にもいじめられている生徒はきっといるはずだ。そういった生徒にも対応をと私がお願いし、予定の時間よりも長く会議の時間はかかっていった。







会議が終わり、リーネット、マリー、ハリソン、リーズ、グローバー先生が部屋から出ていく。部屋に残ったのは、私の予知の魔眼を知っているみんなだ。



「それで、ルセリア、今回はどんな予知をみたのですか?」

アトランが改めて、私に尋ねて来る。私はシルフィのほうを向くが、

「どうせ、しゃべったんだろ、シルフィ嬢には」

ロベルトが推測する。

「はい」



私は予知した内容を話し、ここに来るまでの事を話していった。

「まさか、自殺しようとした生徒を止めていたとは、それで私たちのところに来たわけですか」

「よくその生徒を説得で来たなぁ」



「たまたま、話が合ったので、何とか思いとどまらすことができました」

改めて、一人の生徒の命が救えたと思い、うれしくなる。



「そういえば、シルフィ嬢はいじめていた生徒の名前よくご存じでしたね」

アトランが疑問に思ったことをシルフィに尋ねる。

それは私も気になっていた。全員がシルフィのほうを向くと恥ずかしくなったのか顔が赤くなる。

「シルフィ様も魔眼をもっいるのよ」

ステラが当たり前のように言ってくる。

「魔眼ですか?」

私が驚いてシルフィに尋ねると「はい」と答えが返ってくる。

「私の魔眼は見たものを記憶するものです。みたいと思った過去の記憶が絵のようになってみることができる。念写の魔眼です」

私たちは驚いているが、その説明を聞いて納得できた。なぜ、廊下をよぎっただけのいじめの生徒の名前と顔がわかったのか。まさに、絶対記憶と言える魔眼だと思った。



「私よりもすごいのが、ルセリア様の予知の魔眼ですよ」

シルフィが喜んでくれるが、

「シルフィ嬢、予知の魔眼のことは秘密でお願いします。知っているのは王族とルセリアの両親、騎士団長とその息子、そして、ここにいる我々だけです。」

アトランの真剣な顔に

「わかりました。決して誰にも言いません」

シルフィが強くうなずてくれる。



「ありがとうございます。シルフィ様。みんなも本当にありがとうございます。」

と私がお礼を言う。みんなは笑いながら、帰りの支度をしていき、学校から帰宅していった。

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