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29話 一生会メンバー

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今日は全校集会で一生会のメンバーが発表される日だ。入学式の時のように、貴族と庶民が分かれているわけではなく、クラスで列になり、始まるのを待っている。ただ、その並び順は、身分が高いものが先頭だ。そのため、私たちのクラスの先頭はアトランだ。まぁ、アトランは成績が優秀なので、誰も文句はないだろうし、不満を抱く者もいないだろう。

私は公爵令嬢なので、先頭から3番目だ。私の後ろにはステラがいる。



全校集会が始まり、学園長の話が始まる。

「みんなが学園に入り、およそ一か月が過ぎましたが、もう学園にはなれたかなぁ。仲の良い友達もたくさんでいたのですか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

話が長い。学園長の話は、思った以上に長かった。



「野外学習では少し問題があったようだが、人生は長い、これからも予定外なことは何度も起こるだろう。みんなも心に止めといてください。」



やっと学園長が話を終える。

次はグローバー先生が引き継ぐ。

「今から生徒会のメンバーになる一生会の生徒を発表して聞く。呼ばれたものは、ステージの上に上がってきてください」

生徒のみんなが、先生に注目する。

「アトラン・フォン・ユースティア。ロベルト・フォン・ユースティア。マリー・ケレース。リーネット・パーシー。ハリソン・ニコ。リーズ・タレイア。以上呼ばれたものはステージに上がってくれ」



            「「「「「「はい」」」」」」





呼ばれた順にステージに上がっていく。

呼ばれていない生徒は、呼ばれた生徒を見て、少し騒ぎが起こる。貴族の生徒も庶民の生徒もざわついている。

「静かに、それでは代表のアトラン・フォン・ユースティア。挨拶を」

先生の言葉で、聖堂体育館?が静まる。

「はい、一生会のメンバーのアトラン・フォン・ユースティアです。この度、貴族の生徒である皆からすれば、思うところはあると思いますが、僕は貴族、庶民、関係なくこの学園生活を送ってほしいのです。身分というものは、生まれたときから決まっているもんかもしれません。しかし、だからこそ、せめてこの学園生活だけでも身分は関係なく交流を深めてほしいのです。それは、きっと皆さんのプラスになると私は思います。そのために、今回は貴族ではない生徒を選びました。ぜひ、一生会に意見がある生徒は言ってきてください。共に素晴らしい学園にしていきましょう」



アトランが挨拶を終えると、生徒から大きな拍手が起きる。

私も拍手していた。庶民の生徒を選ぶことにより、一生会に意見が言いやすくなる。今まではメンバーが貴族だったため、庶民の生徒は意見が言いにくかったが今回それが解決された。庶民の生徒からすれば、嬉しいことだろう。



他の一生会メンバーが挨拶していく。アトランよりも、会話量は少なったが、一人一人が自分の気持ちを口にいく。

一生会メンバーの紹介も終わり、ステージを降りたメンバーが自分のクラスの列に戻る。私は戻ってきたアトランとロベルトに笑顔で迎える。二人は少し顔を赤くして、すぐに前を向いた。それから、私たちは、自分たちのクラスに戻ってきた。





次の休み時間では、さっそくリーネットが生徒に囲まれていた。この調子だと、他の貴族以外のメンバーもこうなっているのだろうなぁと考える。少なくとも、一生会メンバーなら生徒から一目置かれるし、貴族の生徒に話しかけても、おかしくはない。こうやって、貴族と庶民の壁がなくなれば、学園はもっと良くなっていくはずだ。私は、よりこれからの学園生活が楽しみになった。



学園から帰宅した私は、夕食時に両親に一生会のことについて話した。

「学園の空気が変わっていくといいね。私が学生の時は、そのようなことを考える者はいなかったよ。

一生会のメンバーもみんな貴族で、その時はそれが当たり前だと思い、不満や不安を考えたりもしなかったよ」

父親のカイムは昔をかたる。

「私もそれが当たり前だと思っていました。でもその方が生徒達からすればうれしいことですね」

母親のティアナも今の一生会に同意してくれる。



「ところで、ルセリア、次の休みに国王陛下から、お茶会の招待が来ているんだが、どうする?」

また、私王城に呼ばれたの、私何かしたかしら?

「それって、断ることができますか?」

カイムが笑顔で「できると思うかい?」と言ってくる。‘ですよね‘と思う。



「はー、わかりました。行きますよ」



私は参加することを伝え、部屋に戻ってきた。部屋に戻った私は机に座り、勉強をしていく。この一か月学園で勉強してきたが、私が思っていたよりも授業のレベルが高い。数学や化学は何とかなるが、歴史と国語がついていけていない。歴史は私の天敵だからだが、国語は簡単にまだこの世界の言葉に慣れていないためだ。前世で言えば、今の私の国語力は小学2年生くらいだろう。簡単に言ってしまえば、小学2年生の国語力の私が中学一年生の国語を勉強をしているようなものだ。一か月後には中間試験がある。なるべく、休みの日は勉強していきたいのだが、国王陛下の誘いは断れない。そのため、今日も私は、夜遅くまで勉強していった。
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