魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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25話 心配される

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コレラ菌を病原体とする経口感染症の一つ。治療しなければ患者は数時間のうちに死亡する場合もある恐ろしいい病気だ。最も重要な感染源は、患者の糞便や吐瀉物に汚染された水や食物である。

潜伏期間は5日以内。普通は2~3日だが、早ければ数時間である。症状が非常に軽く、1日数回の下痢で数日で回復する場合もあるが、通常、突然腹がごろごろ鳴り、水のような下痢が1日20~30回も起こる。

治療方法はまだこの世界には薬がないようで、脱水症を予防するための、水分の補給しかない。

予防には、衛生改善と清潔な水へのアクセスが必要だ。



50年前に別の国でコレラが猛威を振るい10万の死者が出たそうだ。そのため、各国の医療機関では、コレラの研究がされていた。



私は迎えに来てくれた、先生と馬車に向かおうとする。後のことは医師の方に任せる。

私が馬車に乗ろうとしたとき、村の人が何人もきて、

「ありがとうございます」

「本当、本当に・・・////」

「また、今度いらして下さい」

「またいつか!」

感謝してくれる。私は、笑顔で村人たちを見てから、

「これからが大変ですよ。けれど皆さんなら、絶対に大丈夫です。頑張ってください」

励ましの言葉を送る。私の言葉を聞いた村の人たちが涙を流し始める。





「お元気で・・」

馬車に乗り込んだ私は村の人たちに手を振る。村の人達も手を振ってくれる。それは馬車が進み始めても続き、見えなくなってもしばらく続いた。
今回のことを思い返す。恐らく、この村だけではないのだろうと、コレラのことは、別国で起こったことであるため、王国では注意はしていたが、それほど警戒していなかった。だが、今回発生したことから考えても、近い将来、流行る可能性は十分ある。私はこのことを国王陛下に進言し、対応を検討してもらおうと考えた。




王都の門をくぐる頃には、夜になっていた。学園には、行かず、そのまま王城に向かう。
王城につくと先生は「学園に戻るから」とここで分かれる。
学生服であるため、湯浴みと着替えをお城のものが用意してくれていた。着替えが終わると私は陛下が待つ部屋に通される。そこには両親がいて、慌てたようすで、私に駆け寄ってくる。

「ルセリア」

「ルセリアー」

父親と母親が私を抱きしめてくれる。大分力が入っていて、苦しいと思ったが私はあえて言わなかった。抱きしめる力がだんだん弱っていき、父親と母親の顔が私の顔と会う。

「ご迷惑をおかけしました。ごめんなさい」

両親に謝り、また抱きしめらる。


「アストライア公爵、その辺でよかろう。これでは話が出来ん」

国王陛下が言う。よく見ると王妃に王子達、王女がいる。つまり、また私は、前門に王族、左右門に両親、後門は部屋を守っている護衛の騎士の状態だ。‘三回目だよ‘と心の中でツッコミを入れる。

国王陛下が私に質問してくる。どう予知をしたのか、なぜ一人残ったのか、疫病の原因は、疫病の対策は、・・・・一つ一つ答えていき、気が付けば一時間が立っていた。ちなみに予知については私は今回魔眼で見たわけではなく、ルセリアノートによるものなので、そこは適当に考え答えた。



国王陛下が腕を組み考える。

「明日一番に各貴族たちに使いを出し、自身の領地を調べさせよう。ルセリア嬢、此度は本当にご苦労だったなぁ」

「本当に、無事に帰ってきてくれて、うれしいわ。アトランやロベルトもすごく心配して、エクリシアなんて、涙目になりな・・・」

「「「母上、余計なことは言わないでください」」」

王子と王女の声が王妃の言葉を遮る。王妃は「ごめんなさい」と笑いながら自身の子供に謝る。それがおかしくて、私と両親は笑い始める。





「時間を取ってしまったな。ルセリア嬢、今日はこのくらいで帰られよ。もうだいぶ遅い。明日も学園があるのだろう」

この一言で話は終わり、私と両親は屋敷に帰った。





「陛下、ルセリア嬢のこと、どう思いますか?」

「素晴らしい娘だ。ここ数か月で私は彼女に驚かされっぱなしだ。是が非でも、王子達のどちらかと婚約して王子妃になってほしいものだ」

陛下が笑う。あの後、陛下と王妃だけこの部屋に残り、王子達と王女は部屋に返した。

「それもありますが、今回のこと、どうされるおつもりですか?規模が小さかったとはいえ疫病をつきとめ、村のものを救ったのです。何か褒美を出した方がよいのでは?」

「おそらくまた、断られるだろう。無欲な娘だからな」

「無欲なことはいいのですが、あまりにも自分を大切にしていません。私はそれが恐ろしいのです」

王妃は本気でルセリアのことを心配していた。同い年の子供を持つものとして、娘を助けてくれた恩人として。

「そうだな。」

陛下は腕で王妃の肩を抱き、自分のほうに傾ける。王妃の頭が陛下の肩に乗る。それからしばらくは、無言の時間が流れていった。
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