魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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19話 学園の初日

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今日は、ユースティア学園の入学式だ。聖堂のような体育館に入学生の私たちは椅子に座っている。右側に貴族が並び、左側は庶民が並んでいる。私は貴族側にいながらも、これは、、、どうなの!と、早くも頭を悩ませていた。
しばらくすると学園長の挨拶が始まる。

そして次は新入生代表の挨拶だ。代表はアトラン王子だ。代表と言っても、試験をして1番優秀というわけではなく、王族の第1王子という身分によるもの。そのため昨年は伯爵家の子息が挨拶したようだ。
この学園は貴族ならば試験をしなくてもはいれる。しかし庶民は厳しい試験に合格しなければ入ることはできない。

「学園を変えていくなら、こういうところから変えていかないと、入学式だけでも、直していかなければならないんところはたくさんあるわ」

身分というのも大切だが、ここは教養を学ぶところ。やっぱり成績優秀者が挨拶をしないと。
入学式も終わり、私は自分の教室に行く。教室の中に入った私は、中にいた生徒に驚いた。アトラン、ロベルト、ステラ、シルフィ、見事に私の友達が揃っていた、、、これズルしてるよね?
おそらく王子たちかと考えるが、私にとってはありがたかったので、何も言わず笑顔のままで席に座る。゛それでいいのか私は゛自分で自分にツッコミを入れていた、、
今年はどうやらクラスが6クラスあり、1クラスあたり30人のようで、およそ貴族が1/5と庶民が4/5。そのため私はクラスを見渡すと、明らかに緊張している人達、余裕を持った人達がいて、態度で貴族と庶民かがわかってしまう。

「ハァー」

大きなため息をとともにドアが開き、私たちの担任が入ってくる。

「君たちの担任のグローバーだ。一年間よろしく」

とても、フレンドリーな先生だ。少し熱血漢のようなひとで、筋肉質な体型がそう思わせるのかもしれない。

「では、最初に自己紹介をしていってもらう。本来は、身分が高いものから、紹介してもらうのが普通なんだが、学園はあくまで生徒の関係は対等だ。このクラスはそれにならい、貴族であっても特別扱いしない」

大きな声で言い切る先生。

クラスメイトのみんなが驚いた顔をする。

納得できないといった顔の人、口を開けてポカーンとした顔の人、興味がなくすまし顔の人、うなずく人、、、、

「それでは、窓際から紹介を」

一人一人が自分の名前を言い、出身、趣味、将来の夢など話していく。ただ、貴族の子息・令嬢は自身の家名を名乗ってから自己紹介するものが多かった。

そして、私の番が来る。まだ、私の友達の王子達は順番が来ていないが、



「ルセリア・アストライアです。私は貴族ですが、先ほど先生がおっしゃったように、身分などは関係ありません。あくまで、この学園で学ぶ一生徒としてこれからみんなと学園生活を送れたらうれしいです。これから一年間よろしくお願いします」

貴族の生徒も庶民の生徒も驚いている。驚いていないのは、私の友達だけだ。
そして次はアトラン王子の番だ。

「アトラン・フォン・ユースティアです。先ほど、ルセリア嬢が言ったように、僕も身分などは関係ないと思っています。確かに貴族の皆さんは気にされることだと思います。しかし、ここはあくまで学園で、ぼくも一生徒にすぎません。皆さんとも交流を深めたいので、よろしくお願いします」

王子が自己紹介をおえると、またクラス内が騒がしくなる。貴族の者たちは自国の王子の名前や顔をしているから驚いている。「王子が、、、」「アトラン様が?」と。

逆に庶民の生徒は周りが‘王子‘と言ったり、名前しか知らないため、同じクラスに王子がいることに驚く。

「静粛に皆さん。」

先生が注意し、教室が静かになる。
自己紹介が再開される。

「ロベルト・フォン・ユースティアだ。よろしく」

「シルフィ・ミネルウァです。わたしは本が大好きです。もし皆様の中に本がお好きな方がいましたら、ぜひわたしと本のことについて語り合えたら、うれしいです////」

「ステラ・アルテミスです。皆様、学園のことや勉学について知りたい方は、わたくしを頼ってください。力になると誓います」

近くに座っていたため、友達の自己紹介が連続で続く。誰も家名の身分(階級)を名乗らない。そのためか、それ以降の自己紹介で家名を名乗る貴族はいなかった。
自己紹介も終わり、先生から明日の予定が話される。学園の一年間の流れ、行事などを聞いていく。今日は入学式ということもあり学校は半日だった。先生の話が終わると

「今日はここまでだ。みんな、気を付けて帰りなさい」

友達のみんなと話し合いながら校庭を歩いている。校舎以外に大きな建物、貴族寮と庶民寮がある。内装や設備が違いそのため、家賃が違いすぎる。名前の通りに貴族寮は貴族が、庶民寮は庶民が住んでいる。私たちは屋敷から通うため、寮暮らしはしない。ただ、地方から出てきた貴族や庶民たちは、毎日帰ることはできないため、必然的に寮暮らしとなる。
そんなことを考えながら歩いていると、同級生だろうか、別のクラスの生徒がすでにグループを作って下校していた。貴族だろうか?と思い彼らが話していることに耳を傾ける。

「俺たちのクラスで身分が高いのは伯爵家の俺と、同じ身分のやつが1人で、次が子爵家の2人で、男爵家の3人、あとが庶民かぁ」

「はいそうです、ボッジャン様が私たちのクラスの中で一番身分が高いです」

「そうです。自己紹介の時も一番初めに話され、かっこよかったです」

「アハハ、なんてったって、俺は伯爵家の子息だ。ほかの奴よりも特別に偉いんだ」



三人仲良く、下校しているが、

「あれが、この学園の典型的な貴族の子供だぞ」

ロベルトが私に言ってくる。よく周りを見てみると、身なりがきれいなものたちがグループになって帰っている。学園が始まる前から交流があった貴族達はすでにグループになっているようだ。逆に庶民の者たちは、今、教室や廊下でお互いに緊張しながら話しかけ、友達を作っている。
庶民同士は話しかけるが、身分が高いものへの話は、身分が高いものから話しかけられるのを待つか、断りを入れて話しかけるかだ。この日、庶民から貴族に話しかける一年生はいなかった。


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