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15話 王女の生誕祭

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エクリシアの生誕祭がある日。
ドレスを着て、王城に来ている。
両親と一緒に来ているが大人が多い。エクリシアがまだ幼いから、子息や令嬢はあまり参加していないのだろう。しかし、それでも上位貴族の方々は、子供を連れた方々が何人かいた。男の子が多く、おそらく自分の息子を王女に紹介するためかなぁ、と考える。
広いホールで、王族だけがつかえる王族専用のドアを眺めていた。おそらく、あそこから出てきて、あの立派な椅子がある前で、挨拶してから乾杯でもするのだろうと考える。だからまだ、誰も料理や飲み物に手を付けていない。
王城の料理人が作った豪華絢爛と言える料理の数々。サンドイッチ、ポンジケーキ、スコーン、ストロベリータルトのデザートがある。赤ワイン、白ワインと様々なお酒も並んでいる。
どんな生誕祭になるのか、想像していると、突然私の眼が熱くなる。
私の眼が未来をみる。

「うぅ、、、ハァーハァー」

口から血を流し、苦しそうにしているエクリシア。乾杯の時に飲んだ、ジュースが入っていたグラスが床にこぼれている。

「医者を、医者を呼べーー」

「エクリシア、しっかりして、しっかりして」

「エクリシア、しっかりしろ」

「エクリシア!!」

国王陛下、王妃、王子達がエクリシアの近くに駆け寄る。横になり苦しそうにしている。周りの貴族たちは騒然としている。
王族の皆がエクリシアを心配する。しかし、容態は変わらない。
苦しんでいる。エクリシアが小さな声で

「お父様、ハァー、お母様、ハァ、お兄様」

首を少し動かしたエクリシアの目に駆けつる私の姿が映る

「お姉様・・・」

ウソでしょ!!! こんなの?
信じられないという気持ちで、まだ誰もいない国王と王妃が座る椅子を見る。こんなのどうすればいいの?と考えるが、私ひとりではどうにもならない。それなら

「お父様、お母様」

「どうしたんだい、ルセリア?」

「ルセリア、どうしたの」

一人でできないなら、頼ればいい。私には今、頼れる家族がいるのだから。

両親に今みた予知を伝える。両親は私が予知の魔眼を持っていることを知っている。そのため、私の言葉を信じ、すぐに行動を起こしてくれた。父親のカイムは早歩きで、部屋を出ていく。そして、母親のティアナも誰かを探すかのように、周りを見て歩き出す。私は両親を見送ることしかできなかったが、私は私で考える。前側に移動し、いざというときにな、身体をはって止めようと。

5分くらいが経過したころ、にぎやかな音楽とともに王族専用のドアが開き、王族が姿を現す。国王陛下、王妃、王子達、そして王女が順に歩き出す。王族の方が全員、国王と王妃が座る椅子の前までくると、国王陛下が全体を見渡す。見渡した後、前側に来ていた私と目が合い、うなずくように首を縦に振る。

それを見た私は肩の力がぬけた。
国王陛下が挨拶でエクリシア王女のために集まってくれた貴族たちに感謝の言葉とこれからも王国のために尽くすようにと激励の言葉を送る。問題はこの後、全員がグラスを持つ、ワインやジュースが注がれ、国王がグラスを上に持ち上げ

「乾杯」

国王陛下が大きな声で言い終え。

「「「「「「「「「乾杯」」」」」」」」」」

全員がグラスを口に当て飲んでいく。
グラスを傾け飲む動作をするが、とても飲もうとは思わなかった。
王族の様子をよく見ていると、私と同じなのか、グラスを傾けるが飲んではいないようだった。

「よかった」

と声が漏れる。
しかし、それを見てうろたえているものが何人かおり、中には部屋を出ていこうとする者がいた。
それから、王女の挨拶が始まる

「皆様、今日は私のために集まってくださり、ありがとうおございます。11歳を迎えることができたのも、私を支えてくれるみなさまのおかげです。わ、わたしは、、わたしは・・・」

突然、王女様が泣き出され言葉が詰まる。貴族たちが驚いている。それでも王女の挨拶は続く

「これからも、、、この国で、、生きて、、、生きていきたいです。皆様と共に、、、これからも私を支えてください」

泣きながらも、挨拶を終えた王女に、貴族たちから大きな拍手が起こる。無事、王女の誕生祭は進んでいった。
王女の挨拶が終わり、国王陛下と王妃が玉座に座り、貴族たちが挨拶するため列になる。

両親を探すため、部屋の中を見て回る。大きな部屋なので、なかなか両親が見つからない。
しばらく私は両親を探すため歩く。

「ルセリア・アストライア公爵家令嬢」

と突然私の名を呼ばれる。呼ばれたほうに、振り向くと、そこにいたのはシルフィのお兄さん。本屋で2回会った宰相の息子がいた。

「あなたは、シルフィ様のお兄さん。。」

「ああ、本屋以来だが、何か探しているのか」

私がここにいることに、不思議がっていない様子だ。王女の誕生祭ということで彼も呼ばれていたのかと考える。

「両親を探しています、はぐれてしまい探しているのですが、見つからなくて」

「アストライア公爵を。。。ならともに探そう、手伝うよ」



「いえ、一人で大丈夫です。それより、シルフィ様は?」

「妹は、屋敷でお留守番だ、今日は来ていない」

「そうですか、、、」

残念に思うが、少し良かったと心の中で思う。

「あの私がここにいることに驚かないのですか」

「別に驚かないよ、初めて会った時、偶然かと思ったが、2回目になると怪しく思ってね、僕なりに、調べさせてもらったよ。ルセリア嬢」

確かに、2回も同じ場所で宰相の娘に会ったなら、偶然と考えるのは難しいだろう。それで。。

「庶民と身分を偽っていたのは、申し訳ありません」

「気にしていないよ。むしろ、雰囲気や立たずまいから、納得できたよ」

「あの、シルフィ様はこのことを知っているのですか」

「いや、教えいていないよ。伝えてもよかったが、伝えないほうがいいだろう、」

私の考えが読めるといわんばかりの、笑顔を私に向ける。

「ありがとうございます。シルフィ様のお兄さん、私が直接、話をして謝りたかったので」

「ガイア・ミネルウァだ。ずっとお兄さんでは、僕が困るから名前で呼んでくれ」

「わかりました。ガイア様」

茶色の髪に黄色の眼をした少年と私が向き合う。


「ルセリア、ここにいたのか、探したよ」

両親が私を見つけ、声をかけてくる。

「お父様、お母様」

「それでは、また会おう。ルセリア嬢」

「はい、また。。」

ガイアと別れ、両親と合流する。両親がどのように国王陛下に伝えたのか、知りたかったが、今聞くことはできない。私たちは、ほかの貴族たちが並んでいる列に並ぶ。最後尾だ。

そして私たちの番になる。


国王陛下、王妃、そしてその真ん中に今日の主役エクリシア様、王子達は両端でいる。両親が王族に挨拶をしている間、私はエクリシア様と顔を合わせていた。眼が合っている間、エクリシア様がまた涙目になる。それを見た私も眼から涙が流れる。お互いに何も言わないが表情で語り合う。しかし陛下と両親との挨拶が終わり、一礼し、下がるときには、とびっきりの笑顔を私に向けてくれた。
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