魔眼がみつめるこの世界~転生した私は好きに生きる。だから聖女にはなりたくない~

悪転

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12話 私の趣味

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今日の私の一番の目的地、それがここ、書籍をたくさんおいてあるお店、つまり本屋だ。
以前から王都にある本屋に興味があった。屋敷にもたくさん本をしまっている部屋はあるが、そこには私が読みたい本がなく、本屋にならあると思い、今回無理を言って両親にお願いしたのだ。

本屋の中に入ると、本独特のにおいが広がっていた。私が好きなにおい。テンションが上がってくる、初めて入るので、どこに何が置いているのかわからないため、一つ一つの棚を眺めながら目的の本を探す。
1階から順に見て回るが、難しい本が多くならんでいる。探しつかれた私は店員を探し、目的の本が本がどこに置いているのか尋ねる。店員は丁寧に教えてくれる。

「1階は医学・理工学・農業。2階は法律・資格試験・教育。3階は文芸書・文庫・新書がおいています」 

「わかりました。ありがとうございます」

1階には、私が求めている本は置いていないようだったので3階まで上がる。3階もたくさんの本が並んでいた。
目的の本を探していく。

「あ、あった!!!」

目的の本が置いてある棚を発見する。ロマンス小説、ファンタジー小説、ミステリー小説などが並べられている本棚だ。そう、わたしの前世の趣味はラノベ小説を読むことだった。そのため、この世界にも同じような本が置いてあるなら読みたいと思ったのだ。
一冊一冊、題名を読んで面白そうな本を探していく。私の姿を見ているメシスは意外な顔をされているが、気にせず探していく。
そして、面白そうな本が見つかり、棚の上にあった本に手を伸ばす。その横から同じように手を伸ばしてきた人がいて同時に本に手が触れる。横を向くと、眼と眼が合う。

慌てて私は触れている本から手を放す。

「すいません」

「私のほうこそ、ごめんなさい」

丁寧に謝られる。気弱そうな少女だ、私と同い年くらいだろうか?服装は貴族が着ているような服で、どこかのご令嬢かしら?と考える。となれば、今の私は庶民の恰好をしているため、相手が貴族なら、貴族ファーストをしなくてはいけないと思い、

「どうぞ」

と遠慮する。しかし、相手の少女も

「いえ、わたしは、あなたのほうこそ、どうぞ」


「いえいえ、私は」

「わたしは、大丈夫ですから」

5分くらい同じようなやり取りをしていると、

「シルフィ、読みたい本は見つかったか?」

「お兄様」

少女のお兄さんだろうか?心配で見に来たようだった。

「あの、あったんですが、こちらの方と同じ本をとってしまって、ただ一冊しか本がなかったので、お譲りしていたんですが・・・」


「そうか。君、妹もこう言っているんだ、持って行ってくれたまえ」

お兄さんも私に本を譲ろうとしてくれるが

「いえ、大丈夫です。実は今月、おこずかいが少なかったので、今日は買うのをやめておこうかと思っていたので、どうぞお買いください。もしまた会える機会があれば、その時にお貸しいただければうれしいです、では失礼いたします」

お辞儀をしてから、わたしは早歩きで階段を降り、お店から出る。メシスも二人にお辞儀をして私と一緒に早歩きでついてくる。

「あ、ちょっと・・」

「あ、あの・・」

本屋から出た私は家の影から本屋を見ていると、先ほどの兄弟が出てきて、馬車に乗る姿が見える。精神年齢が大人の私が幼い子の楽しみを奪うのはダメよね、と思いながら馬車が見えなくなるまで眺めていた。
それから私は、改めて本屋に入り、5冊くらい小説を買い、馬車の中でうきうきした気持ちのまま、屋敷に帰っていった。
買い物から帰ってきて私は、さっそく母親にお土産を渡す。

チーズケーキを5個買ったので、5つの箱がある。

そのうちの1つを母親に渡す。

「お母様、これ今人気のケーキです。お土産です」

「ありがとう。ルセリア、何のケーキですか?」

「リクリーケーキという名のチーズケーキです」



「ありがとう。ルセリア、私チーズケーキが大好きなんの」

すごく喜んでくれる。
そしてもう1つをメシス様に渡す。

「今日は本当にありがとうございました。メシス様のおかげで楽しい1日を過ごせました」

「こちらこそ、また護衛が必要になったときは言ってください」

「はい」

メシス様が帰るのを見送る。
自分の部屋に帰り、メイドのアリサを呼ぶ。

「どうでしたか?ルセリア様、買い物は楽しまれましたか」

「ええ。楽しかったわ。アリサ」

「あっ。これメイドのみんなへのお土産よ」

チーズケーキが入っている2つの箱を渡す。

「使用人たちのおやつにして」と言って渡す


「ありがとうございます」

母親と同じくらいにアリサが喜んでくれる。
最後のチーズケーキの1箱、これはもちろん私が食べる。
箱に入ったチーズケーキを出して、アリサに紅茶を用意してもらい部屋でマナーを気にせず食べる。本当はきれいに三角に切って食べるのだが、気にせずフォークを使い、大きさは適当にわけていく。そしてフォークでチーズケーキをさして口の中に入れる。まだ半日も経ってないチーズケーキは口当たりがやわらかで、口の中で溶けて消える。

「30分待ったかいがある味です」

半分ぐらい食べたところで私は手を止める。もっと食べたかったが広告に書かれていた



{冷やせば、固まるが決して硬くなるわけではない。冷やした食感がスポンジ}

その状態のチーズケーキを食べてみたいので、私は手を止め残りのチーズケーキを箱の中に戻した。
夕食のときは、父親にもお土産を渡す。

「お父様、これクッキーとチョコレートです」

高級感のある缶を2つ渡す。

「ありがとう。ルセリア。大事に頂くよ」

父親のカイムが私を抱きしめえる。母親以上に喜んでくれたが、それを見ていた母親が「私もそれ欲しいです」とちょっと拗ねる。
夕食を食べ終わると、急いで部屋に戻り、ベットに横になり小説を読む。
しばらくして、メイドのアリサがお風呂の準備ができたことを伝えに来る。
前世の私はよくお風呂の中で本を読んでいた。お湯がぬるくなっても多少我慢できたし、何よりも集中できた。しかし今私は公爵令嬢、お風呂で本を読むことができない。お風呂に入る時間はいつもと変わらない。いつもなら風呂から出て1時間後ぐらいに寝る。しかし今日は本を読むため、部屋の明かりを消したのはお風呂から出て、3時間後だった。      
後日、半分残していたチーズケーキは、広告通り固くなっていたが、スポンジくらい柔らかかった。
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